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『漫画 君たちはどう生きるか』

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2018年5月26日 (土) 05:43時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
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『漫画 君たちはどう生きるか』

池上彰が解く「君たちはどう生きるか」の真髄
大ベストセラーの真髄を池上彰さんが解説します(写真:毎日放送提供)
2017年8月の発売後、爆発的な勢いで売れ続ける『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。
わずか半年で、漫画版と原作の新装版と合わせて200万部を超える大ベストセラーとなった。
原作は1937年に出版された吉野源三郎の同名小説。これを昨年漫画化して大きな反響を呼んだ。
原作のファンも少なくなく、スタジオジブリの宮崎駿監督が「次回作のタイトルは『君たちはどう生きるか』にする」と発表したことでも話題をさらった。
「君たちはどう生きるか」再現ドラマの主人公はあの加藤清史郎さんが演じる
なぜ、少年向けに描かれた古典が80年も読み継がれているのか。
また、なぜ今、世代を問わず多くの人たちの共感を得ているのか。
5月1日(火)にTBSテレビ系で放送される3時間特番『教えてもらう前と後 池上彰と日本が動いた日「君たちはどう生きるか」SP』(制作:毎日放送=MBS)でも取り上げる池上彰氏の解説を軸に真髄を探る。
■生きるために本当に大切なことはなんなのか
「この本は生きるために本当に大切なことはなんなのかを考えさせてくれる名著です」
池上氏はそう語る。原作は第2次世界大戦の始まる2年前に出版され、著者である吉野源三郎は雑誌『世界』初代編集長としても知られる人物だ。
「ざっくり言うと子どもに向けた哲学書です。今は現代版の道徳の書として読まれているのではないでしょうか」(池上氏)
主人公は加藤清史郎さん演じる旧制中学2年生のコペル君こと本田潤一、15歳。
銀行員だった父親を早くに亡くし、父親に代わって相談役を買ってでたのが母親の弟で“無職でインテリ”の叔父だった。
インテリで無職であるのには理由がある。『大学は出たけれど』という映画があるように、原作が出版された第2次世界大戦直前の日本は不景気だった。
東京帝国大学を出ても就職先がないという人が当時はたくさんいたのだ。
「おじさん」は、潤一の鋭い視点に感心し、「コペル君」というあだ名をつけた。天文学者のコペルニクスからとった名前だ。
「こんな立派な人と同じ名前だなんてなんだか恥ずかしいよ。でも心のどこかで願ってるんだ。周りの人にどんなに間違っていると言われても自分の考えを信じ抜く立派な人間に僕もなってみたい」(コペル君)
物語の中心は「いじめについて」。
主な登場人物は物静かな水谷君、男らしくガッチンと呼ばれる北見君、豆腐屋の長男で家業を手伝いながら幼い弟や妹の面倒を見ている浦川君、そしていじめっ子の山口君だ。
同番組では、物語を要約した形でドラマ化しお届けする。
浦川君は、山口君からいじめの標的にされていた。
豆腐屋のせがれであったことからお弁当のおかずがいつも油揚げだったからだ。
山口君は浦川君の貧しい境遇をさげすむように「アブラアゲ」と呼んでからかった。
クラスメートは山口君の愚行をどう見ていたのか。
実は「いじめられている浦川君を助けたい」というのが本音だった。
しかし山口君には乱暴な男兄弟がいた。「文句のある奴は兄貴に言いつけてやる!」そう豪語する山口君にクラスメートはおびえ、抗うことができなかった。
いじめの背景にあったのは貧困や格差だ。
現在、中学校は義務教育だがコペル君が通う旧制中学とは現在の高校にあたり、受験という難関を突破したエリートが通う狭き門だった。
同級生の多くは有名な実業家や役人などの子どもばかり。
そんな中、浦川君の存在は異色だった。家庭が貧しかったのだ。時代は変われど、いじめの根っこの部分は変わらない。
「今でいう『空気を読む』という同調圧力の概念は80年前にも存在した。
読者は作中に描かれる『いじめっ子』『いじめられっ子』、当事者になろうとせずはたから黙って眺めているだけの『傍観者』のいずれかに自分を投影し、物語を自分ごと化するのではなかろうか。
だからこそ世代を問わず、多くの人が共感するのではないでしょうか」(池上氏)
■弱者と強者は一瞬にして入れ替わる
ある日、山口君のいじめを見るに見かねたガッチンが、いじめっ子に食ってかかる。
「誰が何と言ったって、もう許さん!」
それを見たクラスメートらはどう出たのか。
ガッチンに賛同し次々と援護にまわったのだ。山口君とガッチンの力関係は一瞬にして逆転した。
ところが、「ガッチンに同調する流れ」にただ一人抗う者がいた。
殴り合いのケンカを必死になって止めたのは、被害者であるはずの浦川君本人だった。
「よくわからないけど、痛いって感じがしたんだ」
そうつぶやく浦川君は、なぜ自分を苦しめ続ける相手をわざわざ助けたのだろうか。
「一方的にやられるのがどれだけ寂しいか。周りの流れに勇気を出して逆らった浦川君は本当に立派だと思う」
これはコペル君の言葉だ。
つまり浦川君は自分自身が悲しい体験をしたからこそ、いじめられる痛みを理解することができた。
山口君にも同じ思いをしてほしくないと願っての行動だった。
ガッチンと浦川君の勇気ある行動に感化されたコペル君は、ガッチン、浦川君、水谷君の3人にこんな誓いを立てる。
「僕、ガッチンが(山口君の兄貴に)呼び出されたら一緒に行くよ。止められるかどうかはわからないけど、ガッチンの前で壁になる。
絶対に逃げずにみんなでガッチンを守って戦おう」
■正しい方向に向かうため人は悩む
それから2週間後、山口君の兄貴たちが仕返しにやってきた。
約束どおり、浦川君と水谷君はガッチンの壁になる。3人は上級生の暴力に屈さず、友情を守りきった。
一方、コペル君は――。
偶然、その場を離れていたコペル君は、事態を把握しながらも隠れたまま出てこられなかった。
上級生のゲンコツが怖くて足がすくんでしまったのだ。
傷を負った3人は手を取り合って立ち上がり、「悔しい」と泣いた。
そして裏切り者のコペル君を無視してその場を立ち去ってしまうのだった。
「自分がこんなに卑怯な人間だったとは。死にたい――」
仲間を裏切ってしまった自責の念にさいなまれ、不登校を繰り返してしまうコペル君。
追い込まれたコペル君はあることを思いつく。
「そうだ、おじさんに仲裁役を頼めないだろうか。僕を許すよう説得してもらおう」
しかし、「おじさん」から返ってきたのは意外な答えだった。
「コペル君、君の考えは間違っているぞ! 君は勇気を出せずに大事な約束を破ってしまった。苦しい思いをしたから許してもらおうなんてそんなことを言える資格はないはずだ」
さらに「おじさん」はコペル君にこんな言葉を送る。
「コペル君、今君は、大きな苦しみを感じている。なぜそれほど苦しまなければならないのか。それは君が正しい道に向かおうとしているからなんだ」
コペル君は自分の過ちを受け入れ手紙を書いて謝罪することにした。
■本がメンター役を担ってくれる
「おじさん」はコペル君に多くのヒントを与え、コペル君もまたそれらを素直に受け取る。
「それは、『おじさん』とコペル君が「斜めの関係だからにほかなりません。『おじさん』の言葉はどれも『まっとう』ですが、親子という近い関係で、親から『まっとう』なことを言われたところで、子は聞く耳を持つでしょうか」(池上氏)
池上氏は、同作は「親から子へのプレゼントとしても売れている」と分析する。まずは大人が読んでみて大きな気づきを得る。そしてわが子にこそ読んでほしいと願う。しかしメッセージがあまりに「まっとう」であるために、面と向かって伝えるのは難しいと考える。
だからこそ本をプレゼントして、「読んでほしい」とだけ伝える。
実は、池上氏が原作と出会うきっかけをつくってくれたのも父親だったという。
「ある日、父親が『読め』と言って買ってきてくれたんです。親が薦める本など……と最初は反発しました。しかし当時はテレビゲームなどない暇な時代です。なんとなく読み始めるとこれがすごく面白くて、すぐに夢中になりました。父も私に伝えたいことがあったからこそ、本を託してくれたのではないでしょうか」
社会でも同じことが言える。
たとえば上司と部下の関係だと本音で話せないことも、利害関係のない隣の部署の先輩になら腹を割って語り合えることがある。
「斜めの関係」は精神的な指導者、つまりメンターの役割を担ってくれるのだ。
作中に、池上氏が印象に残っている一節があるという。
“僕たち人間は、自分で自分を決定する力を持っている。だから誤りを犯すこともある。
しかし、僕たち人間は、自分で自分を決定する力を持っている。だから、誤りから立ち直ることもできるのだ”
私たちは不透明な時代を生き抜かなければならない。
世界中のあちらこちらで戦争や紛争が起きており、そしてシリア内戦は今なお解決の糸口が見えていない。
しかし争いを決めたのも始めたのも人間であり、また人間だからこそ誤りから立ち直ることもできる。
では、世の中のために今私たちにできることとは何だろうか。
「君たちはどう生きるか」
その答えは、個人の内側にある。
〔2018年4/29(日)東洋経済オンライン(構成:両角 晴香/ライター)毎日放送「教えてもらう前と後」制作班〕

スマホ時代に『漫画 君たちはどう生きるか』が売れたワケ
『漫画 君たちはどう生きるか』と原著の新装版が合計で百万部突破と聞いて驚き。
ボクの少年時代からの愛読書がまさか八十年の時を経て今、脚光を浴びるとは。感無量よ。
漫画版は発売当初、特に四十~六十代の男性中心に購入されていたよう。
ボクのように、若い頃に自分が読んで影響を受けた層が改めて読みたいと買い求めたり、自分の子どもや孫に読ませたいと購入したことが、ブームに押し上げたようね。
普遍的な内容が幅広い世代に響き、若者や中高生も挙(こぞ)って読んでいるとか。
原著は決して易しい本ではない。漫画版だって物語の舞台は八十年前でしょ。
着物に下駄姿の中学生・コペル君が、人間の存在は分子なのかもと気づき、そこから天体の運行に考えを進めたり、万有引力について何頁にもわたってインテリ風の「叔父さん」と議論を交わしたり。
読み進めるには、相当根気がいるはずよ。
しかも、今やスマホ・ネット時代。
自分の頭で考える前にスマホが答えを教えてくれるし、SNSでは友達とも即レスの会話が当たり前。
漫画とはいえ、活字離れ甚だしい中高生がこの内容を読みこなせるのかなって、ボクも初めは半信半疑だった。
でも、若い時期、特に思春期は、自分と向き合い、生き方を突き詰めて考える時期。
「自分は何者か」などとじっくり考える中で、自らを相対化し、自立に向かって成長していくもの。
考える時間を奪われているスマホ時代の若者にこそ、真正面からの問いかけがズシリと響くのかもね。
本書がリバイバルし広がっていることに希望を感じたわ。
原著が書かれたのは日中戦争が始まった一九三七年。
世界でテロが頻発し、北朝鮮を巡る情勢も不穏な今の世相と見事に重なる。
いじめや不登校、貧困は今も未解決の課題。
大人も子どもも、ひとまずスマホを置いて、「どう生きるか」、一緒に考えたいわね。
〔2017/12/27(水) 文春オンライン 尾木 直樹〕

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