岡山に夜間中学校をつくる会
所在地 | 岡山県岡山市 |
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ページ名岡山に夜間中学校をつくる会、岡山県岡山市、(夜間中学校)
【特集】「もう一度、学びたい…」岡山初の自主夜間中学校 期待される新たな役割
戦後の混乱や貧困で義務教育を受けられなかった人たちのために、1940年代後半から設置された夜間中学校。
近年「学び直しの場」として新たな役割が期待されています。
そんな夜間中学校には「公立」と民間が運営する「自主」の2つのタイプがあります。
岡山県では初めてとなる「自主」夜間中学校が去年12月から授業をスタートし、多くの生徒を受け入れています。
岡山に夜間中学校をつくる会/代表 城之内庸仁さん
自主夜間中学 立ち上げのきっかけは…
岡山自主夜間中学の授業は月に2回、夜6時から始まります。
上は80代から下は10代まで。年齢も国籍も事情も様々ですが、およそ20人が「学び直しの場」を求めて集まっています。
学校を立ち上げたのは、岡山で中学校教師を務める城之内庸仁さんです。
(岡山に夜間中学校をつくる会/代表 城之内庸仁さん)
「担任を持っていた子が不登校で、何年か経ったときに彼が私を訪ねてきて『仕事をしようと思うんだけど、なかなかうまくいかない』と。『どうしたの?』と聞くと『字が読みにくかったり計算も上手にできない。勉強しなおしたいけど、そういう場所がない』ということを言ってきたときに、学びたくても学ぶ場所がない、それがひいては生活そのものに影響している方々を見ていると、このままではだめだと」
夜間中学校は、戦後の混乱や貧困で義務教育を受けられなかった人のために地方自治体などが設置しました。
およそ70年に及ぶ歴史の中で、岡山に夜間中学校ができたのは初めてです。
槇本早栄子さん(82) 夜間中学校に通うそれぞれの人生
かつて学校に通えず、学びを必要としていた世代はもうすっかり年を重ねました。
槇本早栄子さん(82)は、家の手伝いや農作業に追われ、満足に勉強できませんでした。
(生徒/槇本早栄子さん(82))
「農地の広いところへ手伝いにいったり、そんなことをして…算数はしばらく休んでいたら分からなくなった。自分の得意な科目だったのに分からなくなった。つまずいたのがきっかけで、落ちこぼれていった気がします。私は中で一番年寄りですけど、いくつになっても学びたいという気持ちは捨てたくない」
若くして料理人の世界に飛び込んだ丸山良雄さん(74)は、退職後、もう一度「読み書き」を習いたいとやってきました。
(生徒/丸山良雄さん(74))
「字が書けないし、漢字が読めないし、恥ずかしいということばかり頭にあって…あまりバカすぎたら入れないんじゃないかと思ってね。字は読めない書けない、75歳のおじいちゃんが来ても教えてくださるんかと思ってな。丁寧に教えてくださるんで、うれしくてかなわんです。もっと早くあればよかったと思います。今の目標は、堂々と人様に手紙を書けるようになりたいです」
新たな役割…「形式卒業者」の学び直しの場
多い時には、公立の夜間中学校が全国に80校以上ありましたが、時代の変化とともにその数は減少。
しかし今、「学び直しの場」として、新たな役割を期待されています。
不登校の中学生や、十分な義務教育を受けないまま卒業した「形式卒業者」の増加を受け、2016年、文部科学省が全国に夜間中学校の設置を進めるという方針を示しました。
小児糖尿病を患い、不登校だった井上健司さん(33)。
中学卒業後に、土木関係の仕事につきましたが、病気のため離職。今は人工透析を続けながら、再就職をめざしています。
(生徒/井上健司さん(33))
「パソコンとかできるようになって、デスクワークの仕事がしたいので、頑張ろうと思いました。卒業だけもらっても、勉強分からないじゃないですか、全然できないから。出ても教えてくれる人っていないじゃないですか。だから一人で悩んで考えて…苦しむという感じ。こういうところが岡山にできたら、いろんな人が知って来てくれたら、助かるだろうなって」
2人の兄妹と母 不登校の中学、高校生の姿も…
現在、全国で13万人を超える、不登校の小中学生。
岡山自主夜間中学にも、中学生や高校生の姿があります。取材を行った日は、2人の兄妹とお母さんが、やってきました。
(母親)「娘が不登校気味なのと、上の子も勉強の基礎をやり直したいということで。話しやすい雰囲気でもあったし、とても穏やかにできてよかったと思います」
(岡山に夜間中学校をつくる会/代表 城之内庸仁さん)
「本当にうれしいですね。それぞれがいろんな事情を抱えて、学びたくても学べなかった。でもここに来たら勉強できたんだという、こういう場があるというのはすごく大切なんだと毎回感じます」
公立夜間中学校設置への動き
岡山自主夜間中学の学びを支えているのは、会社員や学生などによるボランティアスタッフ。
生徒が増える喜びを感じる一方で、場所の確保や運営費など、継続への課題を抱えていることから、公立夜間中学校の設置を望んでいます。
実は、公立夜間中学校の設置に向けた動きが、全国的に進みつつあります。
岡山でも県の教育委員会が中心となって、ニーズ調査を行いました。
(岡山県教委 義務教育課/石本康一郎 課長)
「県内に1カ所設置するというよりも、社会教育施設などを活用しながら、広く県内で学び直しの機会を提供することが適切ではないかという結論に達しました」
岡山県教委では、今後も検討を進めるとしながらも、すぐに公立夜間中学校を設置する状況にはないという結果にとどまりました。
(岡山に夜間中学校をつくる会/代表 城之内庸仁さん)
「自主夜間中学校、できるかぎり回数を増やしたいんですけど、資金の問題やスタッフの問題でなかなか難しいんですね。しかし公立夜間中学校になっていくと、月曜日から金曜日まで、そして給食を出すこともできる。そういうことを考えると、やはり公立夜間中学校は各県に1校、必要だと私は思っています」
「もう一度、学びたい」
岡山自主夜間中学はそう望む人たちをいつまでも待ち続けています。
〔2018年4/21(土)KSB瀬戸内海放送〕
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