生活保護問題対策全国会議
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ページ名生活保護問題対策全国会議、、(生活困窮者のニュース、厚生労働省のニュース)
生活保護 減額、最大5%に調整 批判に配慮、幅を縮小 厚労省
厚生労働省は、来年度からの生活保護受給額の生活費相当分に関し、減額幅を最大5%にとどめる調整に入った。
2~3年かけて段階的に実施する方針。
厚労省は最大13%減の見直し案を示しているが、与党や有識者から大幅減額に対する批判が出ていることに配慮した。
ただし、厚労省は保護費の減額分を、生活保護に至る直前の状態にある生活困窮者の支援拡充に充てる方針。受給額の減額を抑えると生活困窮者向けの予算が減ることも踏まえ、年末の予算編成で最終決定する。
社会保障審議会の部会は14日、来年度からの生活保護受給額を最大約13%引き下げる厚労省案をデータ分析に基づく案として了承した。
受給額は5年に1度、生活保護を受けていない低所得者層の消費水準に合わせて見直している。
低所得者層の消費が低迷していることなどから、受給額が多くの世帯で下がる。
現在の決め方は、政府が克服を目指す貧困やデフレ、高齢化などの影響を直接受ける。
この決め方について駒村康平部会長(慶応大経済学部教授)は「受給額は低い方に吸い寄せられる」と指摘し、政府に見直すよう異例の注文を付けた。
厚労省案では子育て世帯のうち「母親、中学生、小学生の3人家族」(大都市部)の場合、今の生活費分の受給額より約1万円少ない14万円台になる。
高齢者世帯の多くも引き下げられ、厚労省案通りに見直せば受給水準は中所得層の消費水準の5割台に落ち込む。
これまでの部会では「最低生活水準は中所得層の6割を目指すべきだ」との意見が相次いでおり、委員の一人、岩田正美・日本女子大名誉教授は「注意信号だ」と危機感を示した。
与党内にも「10%超の大幅減額は到底、受け入れられない」との声が上がっていた。
受給者「節約にも限界」
厚生労働省の庁舎前では14日、生活保護の受給者や市民団体約20人が、受給額の引き下げ反対を訴えた。
生活保護問題対策全国会議の田川英信事務局次長は「母子世帯は、子どもの制服が小さくなっても買い替えができないような状況だ。これ以上に引き下げると、子どもの貧困対策に逆行している」と憤る。
減額される可能性が高い高齢者世帯も不安を募らせる。東京都足立区の都営住宅で1人暮らしをする男性(76)は約10年前に胃がんを患い、手術後も体調不良で働くことができず生活費として月約7万3000円を受給している。
医師から野菜や肉をバランスよく食べるよう言われているが「光熱費の節約ももう限界。体調が悪くなったとしても食費を削るしかない」と話していた。
【西田真季子】
〔◆平成29(2017)年12月15日 毎日新聞 東京朝刊【熊谷豪】〕
県・15市に「是正を」 生活保護しおり、誤解招く記載 弁護士ら/神奈川県
小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」と書かれたジャンパーを着て職務にあたった問題に絡み、弁護士などの法律専門家や行政担当者、生活保護利用者らでつくる「生活保護問題対策全国会議」(代表幹事・尾藤広喜弁護士)は、県と県内15市の生活保護のしおりに誤解を招く記載があるなどとして、是正を求める要望書を県に出した。
同会議によると、しおりはおおむね、どの自治体の担当課にも置かれている。
今年8月から、しおりを作り直した小田原市を除く18市と県に生活保護のしおりの提出を求めて内容を調査。
答がなかった厚木、大和、南足柄の3市以外の15市について分析した。
調査は同会議が作成した制度の法的位置づけや権利、義務、資産、扶養義務など41項目のチェックポイントに基づき、◎から×までの4段階で評価。
藤沢、座間両市は×が最多の9項目あったという。小田原市のしおりに×はなかった。
同会議は「全般的に、良い点と悪い点のばらつきがある。
窓口対応する職員も使うが、正しい内容でないと正しく運用できず、非常に問題だ」などと指摘する。
提出を受けた県生活援護課は「意見として承る。政令指定都市へも会議の場で伝える」としている。
調査結果は同会議のウェブサイト
(http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/)に掲載されている。
〔◆平成29(2017)年10月21日 朝日新聞 東京朝刊地方版〕
生活保護の希望者説明「多くの自治体で問題」「ジャンパー問題」県に是正など要請
全国の弁護士らでつくる「生活保護問題対策全国会議」は六日、県内の多くの自治体が生活保護の希望者に示す説明文に問題点があるとして、是正を求めるよう県に申し入れた。
ケースワーカーが不適切なジャンパーを着ていた問題の発覚後、小田原市は従来の説明文に希望者を萎縮させ、相談しにくくさせる表現があるとして、内容を見直した。
これを受け、ほかの自治体でも同様の問題がないか調べようと、全国会議が県と各市に説明文の送付を要求。
四十一項目のチェックポイントに基づき精査すると、「ご親族に援助を頼んでください」などと、全国会議が問題視する表現が散見された。
申し入れ後、記者会見した全国会議の代表幹事・尾藤広喜弁護士は「かなり問題があると判明した。不正受給対策に偏らず、支給漏れを防ぐという観点を大切にしてほしい」と訴えた。
説明文が回収できなかった厚木、大和、南足柄市を除く十六市と県の調査結果は、全国会議のホームページで公開する予定。
詳しくは、インターネットで「生活保護問題対策全国会議」を検索。
〔◆平成29(2017)年10月7日 東京新聞 朝刊神奈川版〕
憲法の生存権復権のとき 生活保護全国会議が10周年集会/京都
生活保護問題対策全国会議の10周年記念集会が24日、京都市で開かれました。
同会議事務局長の小久保哲郎さんが、生活保護バッシングや法「改正」による基準の大幅引き下げなどが行われた10年間を振り返り、「厳しい中で皆さんと力を合わせ、たたかいで勝ち取れたものも少なくない」と開会あいさつしました。
パネルディスカッションでは、生活保護をめぐる裁判を多く手がけてきた弁護士の尾藤廣喜さんが、憲法25条の生存権の復権が大事だと指摘。
「憲法全体が危機的な状況の中で、貧困問題にも大きく影響し、生活保護を含めた社会保障が全体的に後退している。
弁護士は裁判に勝つだけでなく、運動に取り組んでいかなければならない」と語りました。
花園大学教授の吉永純さんがこれまでの活動成果を資料で振り返り、元生活保護受給者の女性が経験を語りました。
リレートークでは、筑紫女学園大学准教授の高木佳世子さんが、2007年の北九州市小倉北区での餓死事件を調査し、「亡くなられた当事者の日記に、〓法律は飾りか〓と書かれていた。飾りにしてはいけないと思う」と話しました。
精神科医の松尾徳大さんは、診察する患者の約半数が生活保護を受けており、「弱い立場の人の声を代弁する活動が本当に大切」と語りました。
集会には作家の雨宮処凛(かりん)さん、弁護士の宇都宮健児さん、元首都圏青年ユニオン書記長の河添誠さんがビデオメッセージを寄せました。
〔◆平成29(2017)年6月25日 しんぶん赤旗 日刊〕
〈保護なめんな問題〉市民団体が調査と再発防止を小田原市に要請 日比谷正人・福祉健康部長(左から2人目)に要望書を手渡す対策全国会議の稲葉幹事
生活保護受給者を支援する神奈川県小田原市生活支援課のケースワーカーが「保護なめんな」などとローマ字や英語でプリントしたジャンパーを着用。
保護世帯を訪問していたことが明らかになった。
同市は着用を禁止し、不適切な表記を見落としていたとして、福祉健康部長ら7人を厳重注意とした。
この問題で弁護士や学者らで構成する「生活保護問題対策全国会議」(大阪市、尾藤廣喜代表幹事)は24日、小田原市を訪れ、調査と再発防止を要請した。
ジャンパーの胸にはローマ字で「保護なめんな」や不正受給を許さないという意味で「悪」に「×」を重ねたデザインのエンブレム、背中には「不正受給するような人間はクズだ」などの文章が英語で書かれていた。
同市生活支援課によると、ジャンパーは2007年に職員が自発的に製作した。
これまで他課に転出した職員や現職を含め64人が、1着4400円で購入した。
同年7月に市役所内の生活保護担当窓口で、職員3人が生活保護を打ち切られた男に切りつけられるなどした事件が発生。
業務量も多く、職員のやる気が低下していたことから、気分を高揚させ連帯感を高めようと製作したという。
生活支援課には現在33人が在籍しているが、このうち28人の職員が所持していた。
同課の栢沼教勝課長は「受給者を威嚇、脅迫する意図はなかった。
冬場に保護世帯を訪問する際、防寒着として着用していたようだ」と説明している。
この問題で同市の加藤憲一市長は「理由はどうあれ、配慮を欠いた不適切な表現。市民に誤解を与えることのないよう指導を徹底したい」とコメントした。
24日に小田原市を訪れた対策全国会議の稲葉剛幹事らは、組織的、構造的な問題があると指摘。
「なぜ10年の長きにわたって是正されることなく続いてきたのか」「生活保護制度の運用について、どのような改革をするのか」などを明らかにするよう求めた。
これに対し福祉健康部と市民部は、職員の人権意識の点検や研修を実施。
外部識者を交えた検証委員会の設置を検討することを明らかにした。
〔福祉新聞 2017年01月30日〕
特集ワイド:生活保護受給者への医療扶助削減 「健康管理強化」は誰のための政策?
◇自治体が申請者圧迫の懸念も 病気予防指導に人手回るのか
一見するといい政策のようだが、なぜかひっかかる。
政府が生活保護を受ける人の健康管理を強化する方針を決めたことに、だ。
受給者の生活習慣病の発症や重症化を予防し、医療費抑制につなげるというのだが、貧困問題に詳しい識者に話を聞くと、誰のための政策なのかという疑問が拭えないのだ。
「この政策が貧困からの脱出にどう役立つというのか。病気だけに着目しても意味がありません」。
雇用や格差の問題を研究する和光大教授の竹信三恵子さんは、「健康管理の強化」にこう憤る。まず、政策を説明しよう。
受給者が医療機関を受診した場合、窓口での自己負担はない。
国と地方自治体が費用を負担しているからだ。
これが医療扶助だ。
ただ、厚生労働省の調査(2014年度)によると、受給者の43%は何らかの障害やけが・病気を抱えており、医療扶助費は生活保護費の約半分を占める約1兆7000億円に上った。
この問題は、安倍晋三首相が議長を務める経済財政諮問会議でも検討課題に上がり、昨年12月に医療扶助費の削減を決めた。
これを受け厚労省は今年7月、医師や自治体関係者らによる検討会を設置し、具体策を詰めている。
各自治体の福祉事務所は、既に通院中の受給者に対し、職員が自宅訪問したり電話をかけたりして通院や服薬の状況を確認している。
政府は今後、健康診断の結果などを活用し、生活指導を強化して生活習慣病の予防につなげたい考えだ。
受給者は一般の人に比べ、糖尿病や高血圧、さらに「予備軍」の割合が高いとのデータも提示した。
竹信さんは「『受給者には病気を抱えている人が多い』と聞くと、『保護に頼って体がなまっているのだろう』などといった偏見を強めてしまう恐れがある」と懸念する。
その上で、こう指摘した。「実際には病気やけがで仕事を失い、受給者になるケースも少なくありません。
受給者のためを思うなら、それぞれの健康状態を問題にするよりも、なぜ生活保護に追い込まれたのかを把握し、貧困から抜け出すための支援をすべきではないでしょうか」
もう一つの懸念は、健康管理を盾に自治体職員が、受給者や申請者を圧迫する言動を取りかねないことだ。
「『健診を受けなければ受給を認めない』と威圧するような指導を誘い出すのが心配」と竹信さん。
生活保護の現場では、一部の職員が「なんで働かないのか」と申請者を追い返したり、受給者に対し差別的な対応をしたりして、何度も問題になってきた。
厚労省保護課は「生活指導にどんな配慮が必要なのかも議論し、自治体に通知したい」と説明するが、
竹信さんは「健康状態を知られたくない、生活を監視されたくないという理由で、申請をためらう人が出てくるかもしれない」と心配する。
政策の実効性に疑問を抱くのは、ケースワーカーの経験があり、生活保護制度に詳しい関西国際大の道中隆(りゅう)教授だ。
「受給者の病気予防は見過ごされてきた。実現できればメリットがある」と一定の理解を示しながらも「現体制で病気予防の指導に人手が回るのか」と語る。
ケースワーカー不足は深刻だからだ。
厚労省によると、受給者は、1995年度の88万人が過去最低だったが、景気低迷を背景に増え続け、2014年度は過去最多の216万人に。
これに対し、ケースワーカーは1人当たり90世帯以上を受け持つ計算だ。道中さんは「現場は支給額の計算などで手いっぱい。
今でさえ、生活実態をつぶさに見たり、体調を把握したり、といったことはできていない」と説明する。
このような状況なのに、業務が拡大しても適切な対応は期待できないというのだ。
高齢者の貧困生活に光を当てたベストセラー「下流老人」の著者で、聖学院大客員准教授の藤田孝典さんも、今回の政策への疑問を隠さない。
貧困に苦しむ人々の生活相談に応じる活動の経験も交えて語る。
「国の社会保障費削減の流れの中で、生活保護費が減額され、受給者は食費などを切り詰めざるを得なくなっている。
そんな状況で『健康管理をしろ』と言うのは酷だ」
実際、食費や光熱費に充てる「生活扶助費」は、13年から3年間で平均6・5%減額された。
引き下げに反対する訴訟も全国で起きた。もちろん、社会保障費が増える中、「医療扶助費の削減も仕方がない」という意見もあるはずだ。
だが、田さんは「僕はむしろ、生活保護への支出がこの程度の額で済んでいることに驚きます」と語り、三つのデータを示した。
一つは、人口に占める受給者の割合「保護率」だ。
日本の14年度の数値は1・7%(厚労省調査)だったが、弁護士らでつくる「生活保護問題対策全国会議」の調べでは、フランスは5%台、ドイツやイギリスは9%台(いずれも10年)と、日本より高い。
また、国内総生産(GDP)の規模に占める生活保護(公的扶助)費の割合も、日本は先進国の中では低い。
経済協力開発機構(OECD)の07年のデータによると、加盟国平均が2・0%なのに対し、日本は0・6%。
米1・2%▽独3・3%▽仏4・1%▽英5・0%――と比べても、日本の公的扶助に対する支出は経済規模の割に少ない。
藤田さんが重視するのが、前出の全国会議が算出した「捕捉率」。
生活保護基準以下で暮らす世帯のうち、実際に受給している世帯の割合を示す数字で、07~08年時点で、日本18%▽独64%▽仏91%▽スウェーデン82%――だった。
「日本は生活保護を『恥』と感じ、受給しない人が多いことも一因ですが、必要な支援が十分行き渡っていないのです。
ここからさらに費用を削ること自体に無理がある」。
藤田さんはそう指摘した上で「健康管理の強化より、貧困対策を」と訴える。
「つまり『川上』の対策です。低額の年金で困窮する高齢者や安定した仕事のない若者は増えている。
住まいの提供や雇用対策などを進め、彼らが生活保護を受給せず、自立して暮らせるようにすること。
それが結局は生活保護費の削減につながるはずです」
受給者の生活は決して楽ではない。
それなのに「生活保護バッシング」がやまないのはなぜか。
竹信さんは「病気や災害などで突然、貧困に陥る恐れは誰にでもある。でも、今の日本はセーフティーネットが弱く『転落したら終わり』という、安心感のない社会。だから社会的弱者をバッシングして、その恐怖を見ないようにしているのではないでしょうか」と語る。
生活保護制度は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法25条に基づいて設けられた。
受給者の健康管理は、この理念を実現する道と言えるのか。
〔◆平成28(2016)年9月12日 毎日新聞 東京夕刊〕