胃袋感覚と日リズムを結びつける
胃袋感覚と日リズムを結びつける―2の5
(2014年10月2日)
『内臓とこころ』の胃袋感覚に進みます。
空腹感、膨満感という感覚とは様子が違います。
「胃袋の場合は、なんと空っぽのときに収縮する…胃袋の空っぽの収縮は、食物を催促するため営み…。
いっぱいになって中身を十二指腸に送るためにも収縮する。
…じゃあ空っぽになったら、すべて収縮するかというと、そうとは限らない。
…結論から申しますと、胃袋のなかに内容がなくなれば、
…自動的に蠕動が起こって食物を催促する、そのようになるとは限らない
…胃袋にはなにか“わが道を行く”といったところがある」
(45-46ページ)。
この後、「日リズム」の説明になります。
「胃袋はからだと一緒になって、眠ったり起きたりしている」
夜型の人でも朝型の人でも「両者とも胃のなかは空っぽでも、胃袋の顔つきは、まるで違う」
…問題になるのは夜型人間。
夜型については学問的な解釈がついていない。
「人類の形質遺伝にも、こういった日リズムの、さまざまな型が加えられるのではないか、という仮説が現われて不思議ではない」
(48-52ページ)。
人体のなかには、24時間よりももっと長い24時間+アルファという、かなり根強いリズムが巣くっている。
これは特に説明されていませんが53ページの図「動植物の日リズム」としてR.W.Hoffmannの調査が示されています。
* 著者の説明には飛躍があります。
うまい具合に最近『動物の体内時計』を入手しましたのでそれを材料に考えますが、いまは先に進みます。
24時間+アルファの日リズム(体内時計)をもつ人は、24時間に会わせるために毎日を送っています。
しかし、すべてがうまくとは限らない。
「私は、これは一種の軽い“冬眠現象”だと思っているんです」
(56ページ)。
日リズムと年リズム。
「生物というのは、1年のうちの一定期間は休眠状態で過ごすものです。これが生物のほんとうの姿というものでしょう」。
土地が温帯か熱帯か、変温動物と恒温動物、鳥の渡りや魚の回遊、避暑・避寒ができるできない、などの条件により違うとしても。「胃袋もまた、大きく眠ったり、起きたりしている。
……胃袋というものは、中身が空っぽになったら、すぐに食物を催促するーそんな自動機械ではありません。
ちゃんと朝・昼・夜とか、あるいは春・夏・秋・冬などといった、大きな宇宙的な要素、つまり、われわれの所属する「太陽系」の、天体相互の運行法則に、きちんとしたがって動いているのです。
…胃袋そのものが太陽系の一員なのです。太陽系の運行に、いわば「共鳴」している」
(58-60ページ)。
「内臓の働きには、なにか遠い彼方と結ばれた不思議な側面が見られるようです。
内臓の感受性といった時、この問題を抜きに考えることはできないと思います」
(62ページ)。
説明不足の感は免れませんが、人の精神活動に影響する自然界とのつながりは、人間が生物や動物の前史から受け継いでいる。
動植物が自然環境とつながる生物体としての構造と機能を内臓にも引き継いでいるととらえているのでしょう。
そのつながり方を具体的にみつける大まかな方向性や輪郭を描いているように思います。
知人がある大学病院の精神科に通院しています。
なかなか眠れなくて、何かのおりに医師に話しかけました。
「体内時計みたいなものがあって…」。
すると即座に医師が返してきた言葉です。
「体内時計なんてガセネタですよ。脳には海馬というのがあって…」。
あとは何を言ったのか知人はよく聞いていなかったようです。
この医師が、精神科の医師を代表するわけではありませんが…。
つい先日知人が体験したことです。