ひとり親家庭福祉会ながさき
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「連鎖した支援を」 子どもの貧困に専門家 長崎で集会
「子どもの貧困」について考える集会が1日、長崎市内であり、長崎大教育学部の小西祐馬准教授=児童福祉学=が講演。
子どもの貧困は別のさまざまな困難に連鎖していくとして「支援する側もつながり、ネットワークを構築することが重要」と述べた。
小西准教授は、保育園児がいる同市内約400世帯を対象にしたアンケートなどを基に、親の収入が子どもの教育や医療サービス、食生活、家族旅行など生活のさまざまな場面に影響し、格差が生じていると現状を示した。
こうした「複合的な困難」が子どもの人生の選択肢を制約し、貧困の世代間連鎖につながると指摘。近年は、行政機関や民間の取り組みが広がりつつあるとして、県内の「子ども食堂」運営団体の連携の動きなどを挙げ、「(貧困から)連鎖した問題に対しては連鎖した支援が必要」と説明した。
シンポジウムもあり、「ひとり親家庭福祉会ながさき」の山本倫子事務局長は、長崎市内で週2回、子どもたちに食事の提供や学習支援をする「子ども食堂ながさき」の取り組みを紹介。
利用者に「『子ども食堂』と書いた看板を掲げないでほしい」と頼まれた出来事を明かし「子ども食堂に行くから貧困家庭だと思われたくない人もいる。同様の理由で来ることさえためらっている人たちを、どう支援していくかが課題だ」と述べた。
児童養護施設「大村椿の森学園」の山口和浩園長は「貧困に置かれた子どもが自ら声を上げることはできない。困ったときに助けを求めてもいいと子どもたちに伝えることが重要だ」と語った。
集会は多重債務問題について話し合う「クレジット・サラ金被害者九州ブロック交流集会」の長崎大会。
今年は多重債務問題に絡む「子どもの貧困」を初めてテーマに据えた。九州、沖縄各県の弁護士、司法書士、消費生活相談員ら約200人が参加した。
〔◆平成29(2017)年7月2日 長崎新聞 本紙〕