生物ビッグデータ活用基盤
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がんと遺伝子などの関連を解析 生物ビッグデータ活用基盤の構築へ
産業技術総合研究所と早稲田大学は、国内の生物ビッグデータを統合解析することで利活用につなげる基盤体制を構築すると発表した。
生物ビッグデータ活用基盤体制は、2016年7月に設立の「産総研・早大生体システムビッグデータ解析オープンイノベーションラボラトリ」内に設置し、17年4月からがん転移と遺伝子との関係のリアルタイムでの分析や、腸内の無数の細菌群と疾患の関連性の解明などを行っていく計画。
近年、ゲノムワイド連鎖解析法(GWAS)などの手法により、疾患感受性や薬剤応答性といった生命現象の解明に関する研究が進んでいる。
しかし、研究の進展にあたって、DNAの塩基配列からの分析だけでなく、エピゲノム(DNAおよびDNAが巻き付いているヒストン蛋白質に、メチル化など化学修飾が付着した状態)や、ゲノム・エピゲノム・代謝それぞれの関連性など、さらに複雑な生命現象の解明の必要性に直面している。
AIを活用したゲノムのビッグデータ活用も世界の潮流となっており、エピゲノムデータなど、複数の要因から疾患の原因を推測するための研究基盤の構築が求められていた。
4月から構築される生物ビッグデータ活用基盤では、各分野の第一線で活躍する研究者と連携し、それぞれの領域のデータを横断的に連動させることで、複雑な生命現象の予測などに役立てる。
がんの転移が進むにつれて起こる遺伝子発現の変化や、腸内の多様な細菌の構成と疾患の関連をエピゲノムデータから解明していく。
同拠点では、早大に所属する生物分野の研究者に加え、元国立遺伝学研究所教授で、現在はアブドラ国王科学技術大学に在籍する五條堀孝氏と提携するなど研究者のネットワークを広げ、研究データの連携を進めているとのこと。
ヒトを含めた生物データの収集速度は今後も加速していくと考えられる。
同拠点は、研究者の連携と最先端の研究手法による解析を推し進めることで、生物ビッグデータを有効活用して新たな治療法の開発や創薬につなげる役割が期待される。
〔財経新聞(編集担当:久保田雄城) 2017年3月22日〕