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くるみを食べると「精子の質」が改善する!?
子どもを授かりたいと願い、少しでも妊娠力が高まるようにと生活を改善し栄養に気を付けるなど、地道な努力を続けているカップルも少なくないはず。
そんな妊活中の人にとって、気になる報告がある。米国のデラウェア大学のグループが行った研究から、くるみを摂取すると、男性の生殖能力にとって重要な「精子の質」が改善し、その要因として精子細胞の損傷抑制が関係しそうなことが分かったという。
研究の詳細は、2月20日発行の学術雑誌「Heliyon」(2017;3:e00250)に掲載されている。
世界で約1割の夫婦が不妊
厚生労働省によると、日本では1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」が2015年に1.45となり、2005年の1.26を底に緩やかな回復傾向にあるという。
その一方で、2016年の出生率(人口1,000人当たりの1年間の出生児数の割合)は7.8と推計され、2015年の8.0(確定値)からは減少傾向だ。
現在、世界中の夫婦の約10%が不妊であると言われている。
男性不妊症は、不妊の原因の25%を占めるとされることから、解決すべき重要な課題である。
過去に、カリフォルニア州立大学の研究グループが、21~35歳の健康な男性を対象に、生殖能力におけるくるみの役割についての検討を行った。
それによると、通常の食事に加えてくるみを1日75g摂取した群では、くるみを摂取しなかった群に比べて、精子の活力、動き、形状に改善が見られたという。
くるみは栄養価が高く、健康や美容、ダイエットにもよいとされている。
他のナッツと違うのは、多価不飽和脂肪酸(PUFA)が豊富に含まれていることで、くるみ約28gのうち約13gをPUFAが占めている。
このPUFAは、細胞の成長や維持にとって重要な役割を果たす。
過去の研究をベースにマウスで検討
米国デラウェア大学のパトリシア・A・マーチン-デリオン博士らのグループは、2012年に報告されたカリフォルニア州立大学の研究結果に着目。
マウスにくるみを加えた餌を与え、精子が改善されるメカニズムを解明する研究を開始した。
生殖能力のある健康な雄のマウスと、遺伝子が部分的に欠如し生殖能力を失ったマウスに、くるみを加えた餌、またはくるみを含まない餌を与えた。
9~11週間観察したところ、くるみ入りの餌を与えたマウスのうち、生殖能力のあるマウスでは、精子の動きと形状が明らかに改善した。また、生殖能力のないマウスでは、精子の形状には明らかな改善が見られた。
どちらのグループも、精子細胞の細胞膜を構成する脂質が酸化されることによる細胞の障害は明らかに改善されていたが、生殖能力のないマウスでは、精子の動きを改善するには至らなかった。
この研究結果は、くるみが精子の健康に役立つ可能性を示しており、2012年に発表されたカリフォルニア州立大学の研究結果を裏付けるものとなっている。
今回の研究を牽引したマーチン-デリオン博士は、「くるみを摂取することで、マウスの精子の質が改善された」とし、その要因として「精子細胞の損傷が減少するからではないか」と分析した。
さらに、博士は「くるみのどの成分が有効であるかを突き止めるには、さらなる研究が必要だ」と今後の課題を語った。
カリフォルニア州立大学のウェンディ・A・ロビンス博士は、今回の研究結果について「精子の質を改善する要因に目を向けた本研究は、今後の研究にとって大変価値のあるものだ」とコメントしている。
妊活中の人が摂るとよい栄養は種々あるだろうが、くるみもその1つ。
特に男性は積極的に摂るとよさそうだ。
〔あなたの健康百科編集部 2017年05月12日〕