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こんぴら鞘橋荘

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こんぴら鞘橋荘(さやばしそう)

所在地 香川県仲多度郡琴平町
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あの日取り戻す/4 自立援助ホーム 夢・希望、持たせたい 教養や建築技術、手ほどき/香川
「木材と鉄はどちらに強度があると思いますか」。
「そりゃ、鉄やろ」。
講師の問い掛けに金髪の少年(17)が答えた。
昨年11月、琴平町の自立援助ホーム、NPO法人「こんぴら鞘橋荘(さやばしそう)」であった建築基礎の座学。
講師を務めた地元工務店の社長が、鉄より折れにくいとされる木材の特徴を説明していた。
自立援助ホームは、非行や虐待などで家庭に居場所がなくなった原則15~20歳の少年が暮らす場所だ。
児童福祉法で位置付けられ、NPO法人や社会福祉法人が運営する。
厚生労働省によると、昨年10月現在で全国143カ所にあり、516人(定員934人)が入居している。
鞘橋荘は昨年4月、廃院した病院を改修して開設された。
理事長の白川勝さん(62)は、経営する建設会社で里親としてこれまでに35人ほどの少年を受け入れたこともある。
「親から育児放棄され、施設で育った子どもたちを少しでも助けてやりたい」と話す。
鞘橋荘にはこれまでに4人が入居し、うち1人は職を得て卒業した。今は3人の少年が生活している。
併設されている建築職人育成学校「匠の学舎」で、英語や書道といった一般教養、建設現場での実習を受けている。
手に職をつけてもらい、ホーム退所後のスムーズな就労や自立につなげるのが狙いだ。
厚労省によると、自立援助ホームが本格的な就労支援に乗り出すのは珍しいという。
広島県出身の少年は「将来は職人になりたい」と話す。
生まれてすぐに児童養護施設に預けられ、小学6年の頃、夜遊びを覚えた。
「家庭がうまくいっていなかった。親や大人への反抗」が理由で、その後も非行はエスカレートした。
少年は中学卒業後、知人のつてで白川さんの元に来た。
初めて行った道路工事の現場で親方に教えてもらった通りに仕事ができ、喜びを感じた。
「やってみて面白いと思った。現場があったらすぐにでも飛んでいきたい」。
そんな意欲を語る。
一方、朝寝坊をしたり、授業中に居眠りをしたりする少年もいるといい、白川さんは指導の難しさにも直面している。
それでも期待を込める。
「少年たちは夢や目標がないため、さまよっている。彼らに夢や希望を持たせ、職人に育てたい」。
〔◆平成29(2017)年4月15日 毎日新聞 地方版〕 

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