すまいサポートさが
すまいサポートさが
社会的弱者、住居借りやすく すまいサポートさが、保証・安否確認を支援 /佐賀県
単身の高齢者や障害者が民間住宅を借りやすくするサービス「すまいサポートさが」が6月に始まった。
佐賀市などの社団法人や企業など8団体が協力し、保証人代わりとなる保証システムと入居者の安否確認を組み合わせ、家賃の滞納や孤独死など貸し手の懸念を解消するもの。
現在、賛同する不動産業者を募っている。
日本賃貸住宅管理協会が2014年度に実施した調査によると、障害者に対して大家の約7割、高齢者には約6割が拒否感を持ち、単身の高齢者については11・9%、障害者のいる世帯に対しては7・2%が入居を制限している。
その理由は「家賃の支払いに対する不安」が57・3%、「居室内での死亡事故等に対する不安」が18・8%だった。
すまいサポートさがでは、高齢者や障害者が物件の所有者と賃貸契約を結ぶ際、保証人代わりとなる「すまサポさが保証」(すまサポ)を設立した。
入居した単身の高齢者などに対し、障害者雇用のために設立された合同会社スロープの従業員が巡回して安否を確認し、孤独死を防ぐ。
スロープ社を資金面で支えるのが、すまサポが徴収する保証料。
高齢者や障害者だけの利用では十分な保証料が得られないので、一般の借り主にもすまサポを利用してもらい資金を確保する。
保証料が1カ月分の家賃などの50%とすると、すまサポから所有者に20%相当が渡る。
所有者は10%相当を公益財団法人佐賀未来創造基金に寄付、そこからスロープ社へ業務委託料として8%相当が支払われる仕組みだ。
サービス対象地域は当面、佐賀、神埼、小城の3市。
試算では、この3市で新規に賃貸契約が結ばれるのは年間約7800戸という。
開始から4年目以降の利用率が60%だと、黒字化して累積赤字も解消できると見て、不動産業者に協力を要請していく。
□障害者が働ける仕組み作りを スロープ設立中尾彰宏さん
障害者を雇用する合同会社スロープを設立した中尾彰宏さん(38)=佐賀市神園2丁目=自身も車いすの利用者だ。
障害者が働く場を作りたいと起業した。
歯科医だった中尾さんは30歳のとき、サーフィン中の事故で下半身などが不自由になった。
障害者との付き合いが増え、話すうちに感じたのが「圧倒的に仕事がない」こと。
障害者を対象にしたビジネススクール「ユニカレさが」を知り、2年前に経営コースに入学した。
中尾さんは、できないことではなくできることに注目し、「手が動く人と足が動く人が助け合えば十分に機能する」と考える。
例えば、見守り支援では、車いすの人が車を運転し、精神障害の人が安否を確認するといった具合だ。
今後さらに高齢化が進めば、「障害者の力がもっと必要になるが、その時に始めても手遅れになる」と中尾さんは指摘する。
そうならないためにも、障害者が働ける仕組みづくりを成功させたいと願う。
〔◆平成28(2016)年8月10日 朝日新聞 西部地方版朝刊〕