旭川子ども食堂
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旭川「子ども食堂」1年 孤食の子に温かな経験 学生、NPOなど活動 「親とも接する場」課題
旭川市で貧困や孤食などの問題を抱える家庭の子に手作りの食事と居場所を提供する「子ども食堂」の活動が今月で1周年を迎えた。
活動は月1回だが、支援の輪が広がった一方、保護者との関係構築などが課題となっている。
13日には1周年記念イベントが行われ、12月には専門家を招いた勉強会も開かれる。
北門町8の北星公民館。
昨秋に「子ども食堂」が開催され、1周年を翌日に控えた今月13日、館内では黄色いのれんの奥で、子どもら手作りの記念イベントが開かれ、笑い声が響いた。
旭川での子ども食堂は、旭川大短期大学部幼児教育学科の清水冬樹准教授と研究室の学生、北星公民館近くの市北門児童センター、親子寺子屋、NPO法人ワーカーズコープなどが毎月1回、開催している。
この日はライスバーガーやコーンスープ、ケーキ、果物のカキなどが並んだ。
子どもやボランティアら60人近くが昼食とクイズゲームを楽しんだ。
小学5年の女子児童は「ここに来るのは楽しい」と話す一方、別の女子児童は「親は共働きで一緒に夕食を食べることは少ない」と話した。
1年間の活動を振り返り、清水准教授は「ボランティア登録は100人を超えた。開催日は限られるが、子供たちは『会いたい人がいる行きたい場所』と感じている。1食でも楽しく過ごすことは大切な経験になる」と話す。
活動を通じ、食事を安価で提供できるよう食材を提供してくれたり、同様の取り組みを行う個人や団体とのつながりもできたことも成果という。
一方、食堂に顔を出していたが、家庭の事情で旭川を離れた子もいるといい、「家庭の状況や年齢に応じた適切な支援につなげられなかった例もある」という。
市北門児童センターの青塚美幸館長も「親と接する場所にもしたかったが、参加がなく、簡単ではない」と話す。
子どもの参加者が増え、会場が手狭となる課題も出てきたという。
学生も学ぶことが多く、同大短大部幼児教育学科2年の金崎都海(さとみ)さん(19)は「子供たちと深く関わることで家庭の事情が見えてきた一方、学生の立場では解決できない無力感も感じた」と話す。
それでも「卒業後も何らかの形で関わり続けて子供たちを支えたい」と力を込めた。
12月4日には1人親世帯の支援団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道」の平井照枝代表を招いた勉強会を旭川大まちなかキャンパス(ハルニレカフェ2階、旭川市7の8)で開く。
午後4時~同6時。定員20人で参加費千円。
申し込み・問い合わせは主催する「旭川おとな食堂」のメールアドレスasahikawaotonashokudo2016@gmail.com
〔◆平成28(2016)年11月16日 北海道新聞 朝刊地〕