兵庫県立リハビリテーション中央病院
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筋電義手:安くて軽量、見た目も本物 国産第1号、量産へ
兵庫県立リハビリテーション中央病院が開発した筋電義手を装着してお茶をコップに入れる小寺正健さん=神戸市西区で2016年11月24日、山崎一輝撮影 独社製の3分の1の50万円に 兵庫の病院など開発兵庫県立リハビリテーション中央病院(神戸市西区)などが開発していた、本人の意思で指を動かせる「筋電義手」が完成、24日夕に装着実験があった。シェアをほぼ独占するドイツ社製の3分の1の約50万円と低価格で軽量、見た目を人の手に近づけるなど生まれつき手のない人や事故で失った人の声を反映させた。来年度中にも量産に入り、国産第1号として販売開始。高価なため利用を諦めていた人たちに普及を図る。筋電義手は、筋肉が収縮する際に生じる微弱な電気をセンサーで読み取り、指を開閉させる。「使いこなせる」という医師の意見書があれば購入の際に補助金が支給されるが、訓練用は公費支給の対象外。国産製品はまだなく、ドイツ社製は150万円以上と高価なため、訓練用の義手をそろえる医療機関は限られる。コストの大半を占めるのは、人の手首から指先部分に当たる「手先具(てさきぐ)」。その原材料を従来の金属からプラスチックにすることで価格を抑え、重量も4分の1の125グラムと軽量化につなげた。シリコーン製の手袋にシワや肌の色などを付けて人の手に似せると共に、従来品は義手を腕に固定するソケットの表面に取り付けていたバッテリーも薄型にして内蔵し、見た目も改善された。さらに、関節部分に通した糸をリールで巻き上げる仕掛けにして、従来品ではできなかった指の屈伸が自在になった。同病院ロボットリハビリテーションセンター長の陳隆明医師(56)と特別研究員の本田雄一郎さん(45)が2014年度から、大阪産業大・入江満教授(57)の研究室と共同開発してきた。厚生労働省の「障害者自立支援機器等開発促進事業」に採択されている。開発に当たり陳医師は、同病院の患者ら約20人にアンケートを実施。「価格を安く」「軽量で見た目が人の手に近いものを」などの要望をくみ上げた。24日の装着実験では、右腕を事故で切断して16年間筋電義手を利用する障害者就労支援事業所職員、小寺正健さん(51)が開発された義手を装着。バナナやミカンの皮を自然な感じでむいたり、ネクタイを締めたりした。小寺さんは「軽くて扱いやすい。物を押さえる機能もあり、慣れればいろんなことができそうだ」と語った。17年度に女性専用、18年度には小児用モデルも開発する予定。陳医師は「カジュアルな義手で外出が楽しくなるようにしたい。製品化が一番難しいが、一日も早く必要とする人に届けていく」と話す。【桜井由紀治】
〔◎2016年11月25日(金)毎日新聞〕