長崎フードバンクシステムズ
NPO法人 長崎フードバンクシステムズ
所在地 | 長崎県長崎市西海町 市民センター「琴海南部しらさぎ会館」 |
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TEL | 095-865-7947 |
FAX | |
長崎フードバンクシステムズ 「食」届け 貧困脱出促す 「職」生む仕組みも模索
個人や団体の善意で寄せられた食料を生活困窮者らに届ける「フードバンク」活動。
長崎市内でも年明けから、NPO法人が本格的に取り組みを始めた。
生活相談に訪れるバス代にも困る人、フルタイムで働けず収入が少ない母子家庭。
スタッフは活動を通して見えてくる社会の実情に戸惑いつつも、効果的な解決策を日々模索している。
□ 原 点
長崎市西海町の市民センター「琴海南部しらさぎ会館」1階。この一角にNPO法人「昴(すばる)」が運営する「長崎フードバンクシステムズ」の事務所がある。
スタッフは代表の松本正人さん(47)と神原諒さん(29)の2人。テーブルの上には「6月」「7月」とマジックで書かれた紙袋や段ボールがずらりと並ぶ。
中には、そうめんやカレールーなどの食料品、ドレッシングや調味料、全国のお寺から届いた供え物のお菓子…。
松本さんは「食料は賞味期限が切れる月ごとに仕分けしている。切れたものを渡すと信頼関係が崩れるから」と話す。
日本で最初のフードバンク団体、セカンドハーベスト・ジャパン(東京)によると、フードバンクは1967年に米国で発祥。日本では格差が深刻になり始めた2000年代に徐々に広まり、現在は全国で40~50団体あるという。
子どもとともに高齢者の貧困も社会問題となり、内閣府の高齢社会白書によると、14年の65歳以上の生活保護受給者は92万人に達した。
松本さんの活動の原点も高齢者だ。約10年前、長崎市内の障害者の就労支援施設に勤めていたころ、急にやせてきた60代の知的障害者の男性宅を訪問。
高齢の母親は寝たきりで、部屋中にごみが散乱していた。
料理ができない男性はカップ麺やおかゆばかりを食べ、松本さんが行政に相談しても対応できる部署がないとたらい回しにされた。
□自 助
その後、精神的なストレスから施設を退職。
心が落ち着いてきた昨年の春、「食の支援をしたい」との長年の思いを実現するため、父が理事長を務める「昴」に就職。
当時、障害者の就労支援を目的としながら活動実績がほとんどなかったため、メディアで存在を知ったフードバンク事業を立ち上げた。
本格的に活動を始めて5カ月。うつ病で就職できず食材を買うお金がない人、収入が減ったのに高級マンションの暮らしが捨てられない人。
関わる世帯が増えるにつれ、貧困世帯の多さと多様さを痛感した。
ただ、最初に1週間分の食料を渡した後は、生活の相談窓口や就職先を紹介したりして、自助努力の意欲を失わせないようにしている。
松本さんは「まずは食べて元気になってもらい、次のステップを踏めるよう支援したい」と話す。
今後は「食」から「職」を生み出す仕組みをつくりたいと思っている。
「例えば、出荷はできないけれど食べられる農作物を提供してくれる農家がある。農家は高齢世帯が多いので、生活困窮者が農作業を手伝えれば、お互いにとってプラスになる」という。
そんなことを模索しながら、今日もさまざまな人々に食料を届けている。
長崎フードバンクシステムズ(電095・865・7947)。
〔◆平成28(2016)年6月12日 長崎新聞 本紙〕
長崎県/子どもに明日を=貧困、官民連携し支援 長崎市で初の実務者会議 県や大学、NPOなど20人
行政や民間団体が子どもの貧困問題を考える実務者会議が23日、長崎市の県勤労福祉会館であった。
子どもの貧困の現状を理解し改善策を考えようと、県青少年育成県民会議が初めて企画。
県や長崎市、大学、NPO法人などから約20人が参加した。
実務者会議は今後も不定期に開かれ、情報共有の場にしていく。
意見交換に先立って長崎大教育学部の小西祐馬准教授(児童福祉)が講話。
長崎市内の保育所に通う児童の保護者を対象にしたアンケートで、低所得者層ほど医療機関の受診が難しく、子どもを大学まで進学させたいと希望する人が少なかったことを紹介した。
その上で「子どもの貧困はさまざまな将来の可能性を奪う。行政が支援の必要な子どもを見落とさないよう、母親の妊娠時といった早期から切れ目ないサービスを提供することが必要」と訴えた。
意見交換では、民間団体から県や長崎市に対し「子どものいる貧困世帯を対象にした共同住宅をつくれば支援が行き届く」「学習支援施設に通うための交通費を支給してほしい」などの提案があった。
昨年4月から貧困世帯に食事を届けている長崎市のNPO法人「長崎フードバンクシステムズ」の神原諒さん(29)は「会議でさまざまな人と知り合えた。このつながりを生かして長崎の子どもたちの状況をよくしたい」と話した。
〔◆平成28(2016)年3月24日 西日本新聞 朝刊〕