日本学生支援機構
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新奨学金、所得の9%返還 文科相会議が制度案了承(共同通信)
卒業後の所得に応じて返還額が変わる「所得連動返還型奨学金」について、文部科学省の有識者会議は30日、3月の1次まとめ通り、所得の9%を返還額とする制度案を了承し、審議を終えた。
2017年度に新規で無利子奨学金を借りる学生から適用する。
現行制度は貸与額に応じて返還額を固定しているが、大学卒業後の所得が低く、返還に苦しむ人が多いため、新たな制度を検討していた。
制度案によると、マイナンバーを利用して貸与者の年収を把握。
最低返還月額は2千円で、年収ゼロでも返還可能だが、年収300万円以下の場合は、最長10年の返還猶予が申請できる。
連動型は返還が長期になる可能性があるため、連帯保証人ではなく、日本学生支援機構の関連機関に奨学金の一部を保証料として支払う形で、返還を担保するとした。〔共同〕
〔◆平成28(2016)年8月30日 日本経済新聞 電子版〕
奨学金 給付型なお慎重 来春に所得連動返還型 首相表明
安倍晋三首相は十四日の参院予算委員会で、大学生らを対象にした給付型奨学金の導入について「さらに検討が必要だ」と慎重に対応する姿勢を強調した。
返済の必要がない給付型は、経済的に厳しい当事者らが導入を求めている。
だが、政府は当面、貸与型の拡充にとどめる方針だ。
奨学金をめぐっては卒業後の返済が重荷となり、返せないケースが目立っている。
日本学生支援機構によると、延滞期間が三カ月以上で、個人信用情報機関に登録した件数(ブラックリスト入り)は二〇一四年度で約一万七千件。
一〇年度に登録を始めてからの累計は約五万一千件に上る。
同委で、民主党の桜井充氏は「取り立てがかなり厳しくなっている。ブラックリストに載るとクレジットカードが作れなかったり、住宅ローンが組めなくなったりする」と指摘。
返せない人は、失業者や非正規労働者が多いとした上で「返済のない奨学金を考えていく時代に入っている」と強調した。
首相は卒業後の所得に応じ月々の返還額を決める所得連動返還型奨学金制度を一七年度から導入する方針を表明。
無利子奨学金の対象者を増やす考えも示したが、給付型については「財源の確保や対象者の選定など、さらに検討が必要だ」と、慎重姿勢を崩さなかった。
文部科学省の有識者会議が二月に大筋で了承した所得連動返還型は月々の最低返還額を二千~三千円に設定。
年収が増えれば返還額を引き上げる。年収が三百万円以下で、申請が認められれば通算十年間は返さなくてもいい。
だが、その期間が過ぎれば、年収がゼロでも返還する必要がある。
給付型は一四年八月に政府が「子供の貧困対策大綱」を定めた際、学生の支援団体などが明記を求めたが、見送られた。
〔◆平成28(2016)年3月15日 東京新聞 朝刊〕