子どもの生活調査・大阪市
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小中学生「朝食抜き」12% 中2「家で勉強せず」13%
◇大阪市、5.5万人実態調査概要
大阪市は15日、市内の小中学生や幼児約5万5000人を対象に実施した「子どもの貧困」実態調査の結果概要(速報値)を発表した。週2回以上、朝食を食べない小中学生が12・7%(3558人)、夕食でも1・4%(387人)いたほか、放課後に一人で過ごす小中学生も2割近くに上った。市は専門家によるデータの詳細な分析を進め、来年度以降の新たな対策に生かす。
調査は6~7月、市立校・園に通う小学5年、中学2年、5歳児と、その保護者らが対象。生活・学習環境、保護者の年収や就労状況について、各30~42項目を質問した。回答率は77・6%(4万3275人)。この日は小中学生(2万8206人)の食事や学習時間、放課後の過ごし方に関する6項目のみ公表された。朝食を「一日も食べない」とした子供は549人。小学生は161人(1・1%)、中学生は388人(2・9%)で、2015年度の全国学力テスト(小6、中3が対象)に合わせて行われた調査の全国平均より小学生は0・2ポイント、中学生は1ポイント高かった。夕食は「週3回まで」が81人、一日も食べない子供も18人いた。放課後に「父母や祖父母、親戚などと過ごす」子供は57・4%で、17・8%は一人で過ごしていた。家庭での勉強は「全くしない」が小5は6・8%、中2は13・6%で、いずれも全国平均の2倍以上だった。吉村洋文市長は「家庭で夕食を食べられず、勉強を全くしていない子供が多いのは問題」と指摘。地域で夕食を無償提供する「子ども食堂」への助成や無料塾などの対策を検討し、来年度予算に盛り込む考えだ。
◇子ども食堂 地域で見守る
大阪市が初めて実施した調査からは、家庭で食事を満足に取れない子供たちの姿が浮かぶ。市が貧困対策として注目するのが、地域で活動する「子ども食堂」だ。「きれいに盛りつけできたで」「お肉、めっちゃおいしそう」
9月上旬。西成区の福祉施設で週2回開かれる「にしなり☆こども食堂」に、乳幼児から高校生まで約50人が集まった。地域のNPO法人が食材を市民の寄付などで調達し、夕食を無償提供する。この日は焼き鳥、牛肉と野菜の煮浸し、エノキダケのポン酢あえが、温かいご飯と一緒にプレートに盛られた。大阪市は、就学支援を受ける家庭の割合を示す就学援助率が29.5%(2013年度)と、全国平均(15.4%)の2倍近く。中でも西成区は、生活保護受給者が市内24区で最多で、子育て世代の30歳代の受給者は計655人(昨年7月)と、市内24区の平均(307人)の2倍を超える。この食堂にも、低収入などの事情で給食以外にほとんど食事をとれない子供が通う。ひとり親が夜に働く間、普段は一人でコンビニ弁当、という子供もいる。支援団体でつくる「こども食堂ネットワーク」(東京)によると、全国の子ども食堂は約300か所。大阪市でも数団体が活動する。「にしなり☆こども食堂」スタッフの川辺康子さん(50)は「貧困や寂しさから精神的に不安定になる子供は多いが、食堂があれば地域の大人が見守ることができる。小学校区ごとにできれば、もっと多くの子供が救える」と、行政による支援の充実を求めた。
〔2016年9月26日・貧困ネット、◆平成28(2016)年9月16日 読売新聞 大阪朝刊〕