長崎県佐世保こども・女性・障害者支援センター
児相に一定の評価 市長「実効ある体制を」 佐世保・高1生徒殺害2年 /長崎県
佐世保市の高1女子生徒殺害事件の発生から26日で2年を迎えた。
朝長則男市長はこの日の定例会見で、第3種(医療)少年院に送致された加害少女について「報道では、更生教育のしかるべき対応がなされ、被害生徒の家族への謝罪文も作成されたということなので、動向を引き続き注視していきたい」と述べた。
再発防止の関係機関の取り組みに関しては、対応の不備が問題となった県佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)について、「いろんな反省をして新たな取り組みをされていると思うので、一定の評価はしたい。
二度と起こらないような体制づくりを実効あるものにしなければならない」と指摘した。
一方、市の取り組みに関しては、学校での事件事故で児童生徒に対応するスクールソーシャルワーカーの増員など、市教育委員会が独自に進めている再発防止策について「財政的なバックアップをしっかりやっていきたい」と話した。
事件から2年経った心境について、朝長市長は「市政を預かる者としては、時が流れても心が晴れる思いはない」と語った。
□児相、相談業務24時間に変更
昨年4月に職員を大幅に入れ替えて新体制となった佐世保市の県佐世保こども・女性・障害者支援センター。
事件前に加害少女に関する相談の電話を受けながら適切な対応をとらなかった反省から、相談の受け入れ体制を抜本的に見直し、信頼回復に努めている。
事件をめぐっては、精神科医が児相に「このまま放置すれば人を殺すかもしれない」と電話で事件直前に相談したが、児相は医師が匿名とした少女を特定して対応をとろうとせず、父親の電話にも時間外を理由に対応しなかったことなどが県議会で批判された。
昨年4月からの相談業務は、夜間(午後5時45分~翌午前9時)の電話対応のほか、土・日・祝日を含めて24時間体制に変更。
2015年度は夜間にかかってきた電話は計1576件で、これらのうち、継続案件などを除くと新規の相談は97件だったという。
それに先立つ14年11月からは、寄せられた相談は原則すべて受理会議にかけるようにしており、15年度の相談計1333件(事件前の13年度は1130件)のうち、療育手帳の申請などルール化された案件を除いて659件(同268件)で受理会議を開いたという。
また事件では、医師が、児相や警察などが連携して対応を検討する要保護児童対策地域協議会(要対協)を開けないかも相談したが、児相は「要対協で支援するケースとは思えない」と判断し、関係機関の連携を欠くことにもなった。
このため、管内5市5町からの要対協への出席依頼にはすべて応じるなど積極姿勢に転じ、15年度は133回(同72回)の会議に出席した。
柿田多佳子所長は「子どもと家庭の相談対応で自治体と児相は車の両輪。信頼回復に向けて連携を密にし、丁寧な業務を心がけたい」と話す。
業務の見直しに伴う費用対効果についても、検討を重ねていくことにしているという。
〔2016年8月3日・貧困ネット、◆平成28(2016)年7月27日 朝日新聞 西部地方版朝刊〕
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