Job:翻訳者
翻訳者
〔2003年原本〕
外国語を日本語にするものと日本語を外国語にするものがあります。
圧倒的に多いのはビジネス用の文書を扱うもので、実務翻訳者とより専門的な科学技術翻訳士があります。
(社)日本翻訳協会がトランスレーターという技能審査(1級~4級)を設けています。
商業用文書では、設備プラントの資料、製品カタログや使用方法のマニュアルの翻訳や多く、会社案内や調査報告書もあります。
ビジネス用語は、同じ企業の扱う文書なら同傾向の用語が多く、慣れてしまえば比較的短時間でできるようになります。
一方、機械を導入した翻訳も実用化され、人工知能(AI)の開発がどんどん進んでおり、機械翻訳技術が導入されています。
しかし、マシーンは人間の助手以上にはなれないものだと思います。
実務翻訳者は輸出入製品メーカーや販売会社に所属し、翻訳スタッフとして働く人、翻訳事務所に勤務する人、フリーの翻訳者などに分かれます。
はじめは易しいものから始めて、慣れるにしたがって各自の専門分野を深めていくことが多いようです。
しかし、商業用文書の翻訳は慣れるにしたがって無味乾燥な気分になる人もいて、文学作品の翻訳に向かう人も少なくありません。
文学専門の翻訳者は外国文学翻訳者ということもあります。
仕事としては、一日机に向かって、辞書を見ながらの仕事です。
女性が多いのは、根気のいる仕事への忍耐力があるからでしょう。
文学作品の日本語への翻訳になると、対象の外国語よりもむしろその国の歴史とか風俗の知識や日本語の表現センスです。
日本語には“省略の美”があり、これがスムーズでないと、へんな日本語になってしまします。
文学作品の翻訳では一流文学者の翻訳の助手的役割からスタートをする人もいます。
日本の市販用出版物のうち翻訳物は5.2%(1985年)で、ミステリー作品の翻訳が多くなります。
企業に属し、商業用文書の翻訳にかかわる場合は、給与面で特別の優遇はありません。
科学技術翻訳士(1~3級、士補)は科学技術翻訳協会実施の技能資格です。
英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語が対象。
受験資格はとくにありませんが、実力は必要。
文学作品の翻訳では、発行部数による印税収入になります。
翻訳助手のばあいは、印税の一部を定額ないし定率でもらうことになります。
しかし独立の翻訳者としてこのような形で収入を得るには一定の経験が必要です。
経験と実力を身につけるまでは、企業に属するか、内職的なものになると考えていたほうが安全です。
日本科学技術翻訳協会の登録者5千人うち約80%がサラリーマンであるといわれています。
実力経験とも認められると翻訳家といわれるようなります。
〔参考〕(社)日本翻訳協会(JTA)
〒135-8017 東京都江東区有明3-1
TFTビル
TEL03-5530-2206
http://www.jta-net.or.jp
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