カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


体験記・ナガエ・私の物語(4)

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
2011年2月17日 (木) 22:39時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
(差分) ←前の版 | 最新版 (差分) | 次の版→ (差分)
移動: 案内, 検索

私の物語(4)

子どもしだい?!

病院のカウンセリングにはまだ通わなければならなかった。今回のカウンセリングでは進路を相談するために、とりよせた学校の資料を茶色い紙袋に全てつめて持っていくことにした。前回は1人で行ったので終わりに次回は母を連れてきてほしいと医者に頼まれた。だから2人で行った。  「学校どこへ行こうか迷っている、というか検討しているんです」  そう私は言うと持参した学校のパンフレットを医者に見せた。それを目にとめると眉を上げるように動かし、口元をひきつらせるようにして顔全体の表情筋を驚きととも笑みともつかないように変動させた。  「どこへ行きたいと思っているの?」  医者は訪ねた。  「全寮制の高校です」  私がそう言うと、先ほどの顔とは逆のしぶったような表情になった。  「通信制の高校とか……ムリ?」  全寮制の学校は私には務まらないと思っているのだろうか。さまよっていた視線を医者にあわせると、聞き返すように見つめた。  医者はその無言の会話を読むことができたのか答えた。  「どの学校もメリットとデメリットがあると思う。だから僕としては、また同じ人間関係をくり返して失敗するより、通信でゆっくりした方がいいような気がします……。お母さんはどうです?」  家にいてグチをこぼしている母からは想像もつかない態度で、緊張しているのか体を縮こめ、にじむ手汗をハンカチでふきとりながら指を遊ばせている。  「本人しだいですわ。本人が望むところに行けばいいと思います」  母は小さく返事をした。私はそれを聞いて家にいる時言ったことと違うではないかと少しばかり腹を立てたが、他人の見ている前で親子ゲンカなどみっともないと思い、怒りの感情を抑さえるため、口をへの字に曲げ、両目の視線を左隅によせた。  実際はどう思っているのだろう? 母は医者の前に行くと弱った老人か小さな少女のように振るまうのだ。人からの評価を過剰に気にする性格なのだろうか。私だけでなく母も「よい子に見られたい族」なのだろうか。  医者は私の怒りを感じとったのか顔を虫眼鏡で昆虫でも観察するかのように眺めると、カルテに、素早く何か書きこんだ。  今回のカウンセリングで私の意見は全寮制の高校へ行きたいということになっていて、子どもがそう願うなら母はそれを尊重しますよ……という、家で言い争いになったことなどなかったかのように、医者に誤解されて受けとられているに違いない。  人と人との関係が円滑に進んでいない時は、他の人の関係もうまく行っておらず、その関係にも嘘があるという言葉を何かの本でよんだことだあるがその通りだ。誰ともうまくいっていない。  母と父とも学校もそして近所でもよくない私の噂が流れているだろう。私は何もかも置いていかれ、ぐらつく地面の上に取り残されてしまったマネキンのようだった。  人間に似せてつくられた人形。遠くからみるとマネキンは人間そのものだが近づくと、動くことのないポーズをとり続けて、仮面をつけたように表情も変わることがない。 ショーウィンドウで、きらびやかな服を着せられ飾られ、人々に見られるためだけにつくりだされたマネキン。流行の洋服を次から次へと着せられ脱がされて、嘆くでもなくそれは使命なのだろというふうにすましている。  私の着せられている服はどんなのだろうか。売れない服を着たまま、人前でさらされてそれでも誰もその服をとり替えてはくれない。寂しく、悲しいマネキン人形の姿。 今回のカウンセリングで得られるものはなかった。相談もあいまいだったし、なんだか冴えなかった。  病院から帰ってくると、学校のことばかり考えた。親のいうように全寮制の高校を受験してみようか。家にいる時は矛盾した発言を病院でした母に「病院の先生も通信がいいって言ってるんだし、そうしたいんだけど」と怒りの意味の口調で言った。  思えば、医者に家庭内のことについても話せばよかったのだ。親の言いなりになって医者の前でいい子ぶってなく、私は通信制の高校へ行きたいと主張しているが親がもとめていると言えばよかったのだ。  しかし母は「本人が言うようにさせてあげたい」と医者の前にいた態度とは豹変した様子をみせ、  「あんた通信なんかあほの行く学校。価値も何もないのよ。家にずっといてもらっても鬱陶しんだから全寮制にしなさい」  ときっぱりと言った。そしてつけ加えた。  「バイトなんかねぇ、あんた流されやすいんだからすぐ遊ぶようになって変な男につかまるに決まってるじゃない」  言い返そうと言葉を探したが、家にいても鬱陶しいと言われたことがショックだったのか、はねのけるだけの言葉を見つけだすことができなかった。  私の自我ブロックは弱りつつある。言い返すどころか、ひいてしまい固い殻のように閉じこもりつつあるのだ。  私は何だかむしゃくしゃした気持ちになって、ここらで一発気晴らしに出掛けることにしようと思った。何か、変えてみたい。今のままじゃ、今の私じゃ満足できない。そして実行した。

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス