フリースクール
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フリースクール「幽霊」宣言
■「幽霊」
前世紀、日本の教育界には「幽霊」が出ていた、フリースクールという幽霊が。
古い日本の教育界は、この幽霊を自分の世界に入れないようにするためにあらゆる手段を尽くしていた。
そこが不登校の実質的な受け皿になっていたとしてもその名は公的な会議では語られない、不登校の子どもたちがフリースクールに通っても「登校」とはみなされない。
その存在は実際に存在するのに記録などには現れず残らない、あるのだがないようなもの、まさし く幽霊的ポジションにフリースクールはいたのだった。
それが今世紀に入った頃から徐々に世界に顔を見せるようになり、特にこの 10 年ほどは、法律化 (教育機会確保法)の過程でもフリースクールたちは大きな存在感を示し、その法律の中に組み込まれていった(第 13 条「学校以外の場の重要性」等)。
そのこと自体には大きな意味があったと考える。
長らく幽霊だったフリースクールがようやく個別の具体的な名前をもって実体化した。
その実体化したフリースクールに通う子どもたちの存在が 認められ、フリースクールに通うことが「教育の権利」として公的に承認されたのであった。
■ 「現代教育への問い」が、「フリースクールという形態」に内包
同時に、幽霊でなくなったことで大きなものを失ったのではないか、とも思える。
それは、実体化という行為により、現在の教育制度そのものを肯定してしまったのではないか、という問いだ。
義務教育9年という期間を始め、「不登校の高止まり現象」が続くこの20年近くを通して、そもそもその「義務教育」という概念のあり方が問われていると思う。
また、明確に階層社会(あるいは階級社会)となった今、貧困と虐待の連鎖の中にいる数十万人の子どもたちにとって、従来のすべての分野(理系・文系・生活・アートまで)をフォローする授業体系を見直す時期が確実にきている。
これは義務教育9年という議論とも重なるが、従来のすべてをフォローする授業体系ではなく、「職業教育」にもっと早期から触れたほうがメリットがある階層(つまりは下流・貧困階層)は現実に存在するという意味だ。
また「ディシプリン(規律)権力」 の代表である「学校」という装置への問いもある。
つまりそれは、フランス革命を源流とした「兵士養成機関」 ではないのかという問いである。
これらの根源的な「現代教育への問い」が、実は、「フリースクールという形態」そのものに内包されていた。
■ フリースクールは永遠に幽霊でいてほしい
フリースクールは、「幽霊」であり続けることで、現代教育システムへの根源的な問いを発し続けていたと僕は考える。
その幽霊化は実は、東京シューレの性暴力事件で明からなったような負の側面も含む(フリースクールの子、性暴力から守れ 10代でスタッフによる被害、今も苦しむ30代女性)。
マイナスの幽霊は、マイナスになってしまったことの分析と反省をし続ける必要はある。
それと同時に、システムのなかに取り込まれず、教育と法システムという「体制」のもつ矛盾(たとえば、次世代育成のために、子どもたちを死と裏腹の「兵士育成」システムに義務的に投げ入れる)をその存在と行為と発言そのもので示すことのできる存在が「幽霊」なのだ。
これは、哲学者デリダの哲学の方法論であった「脱構築」を行なうための、テクニックでもある。
メジャー(ここでは現状の教育とステム)というあり方と、それとは別の可能性を持つが現状はマイナーな価値のあり方を並べる。
その両者の境界に存在する出来事とキーワード(これが今回はフリースクール)を取り出し、そのキーワードがなぜ境界に位置してしまうのか、それがなぜメジャー内に存在することになったのか、そのことを執拗に分析する作業を通して、メジャー(ここでは現状の教育・法システム)の矛盾点を暴き出していく。
そういう点で、フリースクールは永遠に幽霊でいてほしい存在だ。
だからこそ、法の中でその力を発しながらも、いつまでも法システムとその外の可能性(現代教育 システムとは別のかたち)の境界に存在する「幽霊」であってほしい。
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表
〔2020年2/17(月)田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表〕
夏休み明けで不安“不登校児”が無料で通えるフリースクール
学校は始まったが…/(C)日刊ゲンダイ
9月から新学期が始まる学校はたくさんあります。
夏休みボケを直そうと、先生がテンパっていることも多く、子供のストレスは増加しがちです。
中高生の自殺は9月1日、小学生は11月30日が最も多いという統計もあります。
私の子供も不登校気味。そんな理由もあって不登校訪問専門員の資格を取得しました。
前原幸子さん(仮名=45歳)の娘も、「学校に行く意味がわからない」「勉強する気がなくなった」とハッキリしない理由で突然、不登校が始まりました。
でも、塾や図書館、フリースクールなどに定期的に外出させないと、親まで一緒にひきこもるハメに……。
フリースクール「東京シューレ」は大学まであり、都内の王子、新宿、大田校のほか、流山校(千葉)があります。
授業料は毎月5万円余り、入学金は15万円程度です。
東京・目黒区にある中高生向けのフリースクール「Riz」の授業料は月5万円から、入学金は10万円です。
同足立区の「みらいフリースクール」は小4から中3までが対象で授業料は月6万円余り(教材費など含む)、入学金は5万円です。
私も見学に行きましたが、全寮制のフリースクールも沖縄や奈良、岡山、兵庫などにあります。
ただ、年間150万円の費用がかかることもあります。
でも、関東、関西の「八洲学園中等部」(高校は通信教育)は授業料、入学金とも無料。
東京都では不登校特例校として八王子市立高尾山学園(小中)、調布市立第七中学校もあります。
専門のカウンセラーがいて、出席率も厳しくないなど配慮されています。
とはいえ、フリースクールに通えるのは数%。
多くの不登校児は「電車に乗るのが怖い」「集団が怖い、囲まれてイジメに遭う」など部屋から一歩も出られないのが現実です。
だから、最近はネットを使って自宅で勉強し、リポートを提出すれば、公立学校の出席扱いになる塾や家庭教師もあります。
高校生になると不登校用の私立高校も多くなります。
学校に行けなくても、児童館やYMCAのオープンスペースなど無料で使える場所もあります。
ムリせずに子供の居場所があるだけで十分かもしれません。
不登校になり始めたときの注意点もあります。
「年間30日以上、病気以外で欠席」すると不登校児と指定されます。
そうなると、児童相談所などから執拗に連絡が来て、親のストレスも倍増。
学校に「子供が行きたくないと言っている」と正直に話したところで配慮されず、逆効果になることも。
過去最高を更新している不登校児数ですが、隠れ不登校もたくさんいます。
親は心配ですが、少しずつ少しずつで大丈夫です。
〔2019年9/4(水) 日刊ゲンダイDIGITAL(柏木理佳/生活経済ジャーナリスト)〕