ひきこもりを考える全体像
ひきこもりを考える全体像 ひきこもりの直接的・間接的要因にいくつかが指摘されています。よく知られたものからあまり知られていないもの、要因として考えるのはどうかと思うものまであります。 身体症状としては発達障害、不登校、LGBTQ、HSC/HSP、愛着障害、いじめ・虐待の後遺症……などです。 これらはひきこもりのより直接的要因になりますが、それもまた1つの結果です。その背景と考えられるもの、ひきこもりの遠因にあたる自然的・社会的(人工的)原因には次のことが挙げられています。 社会関係の変化……親族の分離状態による家族関係の変化、子どもの教育における「よい学校・よい就職先選択」傾向、就業における非正規雇用の急速な拡大、インターネットの普及と情報社会の形成。 食品添加物(残留農薬、洗剤)、排気ガス、人工乳。 個人差(個体差)……身心状態の表われの個人差。その個人がおかれる文化的環境の影響、表現・発想の社会的条件。 医学進歩の裏側……障害児治療等の前進による乳幼児死亡率の減少、生存寿命の延長と高齢妊婦による出産増加。 これらをながめていると、人類(霊長類ヒト科ヒト属)は、地球という自然環境において大きな進歩を刻んできたことがわかります。しかし、一つの達成には百パーセントはありえず、変種要因ややり残した部分をその後の生存のなかで直面していくことがわかります。それを社会課題や社会問題としてとりくんできたのが人間の歴史になる、という印象をもちます。 「乳児死亡率が低下することと、人が幸福に生きることとは同じではない」といいますが、「人が高齢まで生き続けられるようになることとその人が幸福に生きていることは同じではない」ともいえます。 人は意識するにしろ無意識にしろ、大筋では「幸福な長寿」をめざしたと思います。それは一律ではなくある人にはより順調に、ある人にはより苛酷であったというわけです。これを運ということにします。 それぞれの部分はいろいろな研究や報告があります。これら全体を通して考える試みが「ひきこもりパラドクス」です。大まかなことは考えていますが、それぞれのところで迷ったりしながら書き進めます。経済社会と働き方と歴史、家族と学校の状況、子ども時代と寿命の延長、生活環境の変化、医学と身体科学の進歩、心身の表現の文化的な背景などをいろいろな文献と私自身の経験を織り交ぜて書いてみます。 参考になればさいわいです。