フードバンクひこね
フードバンクひこね
所在地 | 滋賀県彦根市 |
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TEL | 0749(22)2821(彦根市社会福祉協議会) |
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食料届け子ども支援を 規格外品や包装不良品 必要な人に 彦根市社協 フードバンクひこね設立
【滋賀県】彦根市社会福祉協議会が、規格外の食品や不要になった食材を、必要とする個人や団体に届ける事業「フードバンクひこね」を設立した。
市が三月、県内で初めて策定した「子どもの貧困対策計画」に基づく事業の一環。
食料の提供を通して、生活に困っている子どもなどの支援に役立てる方針だ。
「皆の力で市民が安心して生活できる地域をつくりましょう」
今月二十三日、集まった食材を保管する市総合地方卸売市場で開かれた「フードバンクひこね」の設立イベント。
市社協の圓城治男会長は、ボランティアら約二十人を前に、こう呼び掛けた。
農業組合法人「フレンドリーファームいしでら」の職員は米十六キロなどを圓城会長に届けた。
フードバンクは、包装の不良など、品質には問題ないにも関わらず破棄される食材などを回収し、食事に困っている人に配布する活動。
食品ロスの削減や、食べ物に困る家庭への支援の観点から、注目されている。
市は、国の「子供の貧困対策に関する大綱」などに基づき、「子どもの貧困対策計画」を策定。
その中で、社協と連携してフードバンク事業を進めると明記した。
市社協地域福祉課の森恵生課長は「生活に困っている家庭は声を上げにくい。まずは、子ども食堂や福祉施設への食材提供から始め、支援を広げていきたい」と話す。
市内で月二回の子ども食堂を開く純正寺の住職、漢見(あやみ)覚恵さんは「多くの子ども食堂は財源がない中で活動している。食材の提供を受けられるのはうれしい」と歓迎する。
課題は、回収できる食材の質と量を保ち、困窮世帯に直接届ける仕組みができていないこと。
森課長は「できることから始め、いろんな意見を取り入れながら体制づくりをしたい」と意気込む。
市社協は、日持ちのする野菜、賞味期限が一カ月以上ある加工食品などを募集。食材の運搬や管理などのボランティアも求めている。
(問)市社協=0749(22)2821
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市アンケート 子どものいる家庭 生活困難世帯が11%
子どもの貧困の実態について、彦根市は昨年10月、小学5年生、中学2年生の子どもがいる市内の家庭を対象に「子どもの生活に関するアンケート」を実施。
2103世帯の家庭にアンケートを送り、1202世帯から回答を得た。
「過去1年間に家族が必要とする食料や衣服を購入できなかった」と回答した「生活困難世帯」が11・3%あり、母子世帯では31・4%にも上った。
「生活困難世帯」のうち、93・4%が現在の生活が「苦しい」と回答。子どもの病院の受診を控えた家庭も41・9%あった。
理由として「医療費の支払いが困難」を挙げたのは66・7%だった。
〔◆平成29(2017)年11月29日 中日新聞 朝刊びわこ版(安江紗那子)〕