不登校応援ユーチューバー
不登校 動画で励ます 熊本市の栗山さん、自作を投稿
パンダのかぶり物をして、ユーチューブに自作の動画を投稿している栗山幸奈さん 熊本市中央区
「かあちゃんは不登校応援ユーチューバー」－。
熊本市中央区八王寺町で弁当店を営む栗山幸奈さん（４２）は、長男の不登校を機に動画投稿サイト「ユーチューブ」に、パンダのかぶり物をした「びゃんびゃん」にふんし、自作の動画を投稿している。
作品には「不登校でも大丈夫。明るく生きていこう」との思いを込めている。
この春、中学３年になる直前、長男が「不登校になる」と宣言した。
「理由は分からない。まさか息子が…と戸惑った」。
どうすればいいのか分からず、不登校に関する本を探しては読んだ。
思いついた“答え”がユーチューバーだった。
長男が小学生の時から憧れていた。
長男に「やりなよ」と声を掛けたが、反応はいまひとつ。
「それなら私が…」。７月から動画を撮り始めた。
投稿した動画は２０本ほど。「びゃんびゃん」が体操をしたり、木に登ったりする「超ゆるゆる系」の作品だ。
最多再生回数は約５００回。広告収入が見込める回数ではないが、今後も投稿は週１回のペースで続けるという。
栗山幸奈さんがユーチューブに投稿している動画
肝心の長男は、家の中で好きなゲームをしたり、仲のいい友達と遊んだりするなど「毎日が充実している」そうだ。
県内の不登校の公立小中高生は１７年度２３７２人と、この１０年間で最多。
全国的に増加傾向だ。もはや特別なことではなくなったが、「現実から逃げている」「甘えだ」などの声は根強い。
しかし、栗山さんは「社会は変わり続けているのに学校は変わらない。そこに息子が気づけただけでも、幸せだと思う」と語る。
実はユーチューバーであることは、長男に内緒。
「びゃんびゃん」の動画チャンネル登録者が千人を超え“実績”をつくったら、伝えるつもりだ。
「動画を見て、『僕も頑張ろう』と思ってくれるといいな」
〔2019年9/4(水) 熊本日日新聞（臼杵大介）〕
