「悩み相談」担当の高校生・観際メル
悩み相談」担当の高校生・観際メル(メルの懺悔室)
所在地 | 熊本県八代市 |
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【令和に咲く】役立つ助言とことん追求 哲学生かし、自分なりに 「悩み相談」担当の高校生・観際メルさん(八代市)
読書で培った哲学を生かして、フリーペーパーに連載を持つ観際メルさん=八代市
「高校生の息子が、スマートフォンを片時も離しません」。
そんな母親からの相談に、当時中学2年だった観際[みきわ]メルさん(ハンドルネーム)=八代市=はこう返した。
「あなたが息子さんに執着してませんか」
フリーペーパーの悩み相談コーナーで回答を担当するメルさん。
不登校を経験し、哲学を愛する。連載は形を変えて続き、メルさんは高校生になった。
哲学との出合いは小学6年のとき。学校では、先生への反論や個性が許されないことに違和感を覚えた。
「人間味あふれる」哲学の本を読み始めた。
2016年、中高一貫校に進学。「哲学のことを話せる友達ができるかも」と期待したが、中学でも環境の変化はなかった。
熊本地震後に不登校となり、6月半ばから保健室や別教室へ登校した。
ブログを始めたのは中学1年。読んだ本の面白さと読みやすさを5段階で評価し、感想をまとめた。
学校や日常生活で思うことも書いたところ、八代市などで配布されるフリーペーパー「やつしろぷれす」が連載を依頼。
17年、「中学生メルのピリ辛アドバイス(メルアド)」がスタートした。
やつしろぷれすに掲載された「中学生メルのピリ辛アドバイス(メルアド)」
「早起きが苦手」-「きちんと生活できているので、それでいいのでは」
「彼氏がデートの時、スマホばかり見ている」-「一緒にいすぎて話題がないのかも。デート回数を減らして、お互いが一緒にいる時間を大切に」
心掛けるのは「客観的に問題を見て、肯定も交ぜつつ、納得してもらえるような答えにすること」。
1日以上じっくり考えて、悩みに真剣に向き合う。哲学書も参考にし、自分なりの答えを返す。
今年4月の高校進学を機に連載は「メルの懺悔[ざんげ]室」となり、読者が打ち明ける過ちを考察し、助言するコーナーにモデルチェンジした。
「理想は包容力のある大人の返しができること」とはにかむ。
将来の夢はまだ分からない。ただ、「大学で哲学を本格的に学びたい」と思う。
「情報と人が多く集まる都会で生活して、哲学を語る友達をつくりたい」(文・写真、中村悠=29歳)
◇みきわ・める 2003(平成15)年生まれ。県内の中高一貫校の中学校卒業後、通信制高校に進学。
勉強や読書の傍ら、スーパーの鮮魚コーナーでアルバイトに励む。
カメラや旅行に興味がある。最近は美術史も勉強中。
「メルの懺悔室」
<取材を終えて>芯の強さ、大人顔負け 観際メルさんの行動基準は「『やりたいか』と『自分が求められているか』の2点のみ」だという。
イギリスへのホームステイに挑戦するなど、「見聞を広めたい」と国内外への旅行にも積極的に出掛ける。
彼女を前にすると「果たして自分はいつも自分の頭で物事を考えているか」と不安になる。
それほど、強い芯を感じる女子高生だ。
その強さと哲学を糧に、どんどん自分の世界を広げてほしいと思う。
〔2019年9/27(金) 熊本日日新聞(八代支社・中村悠)〕