富山県の子ども食堂
富山県の子ども食堂
所在地 | 富山県 |
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県内「子ども食堂」続々 大崎さん(富山国際大)調査 貧困・孤食に支援の輪 きょう氷見で6カ所目開設
小中高生らに無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」が県内で増えている。
2016年に高岡市で始まり、8日には氷見市で6カ所目がオープンする。
経済的な理由で満足に食べられない子どもの支援や孤食の防止を目的に全国で設置され、県内でも有志の輪が広がってきた。
現状を調査している富山国際大4年の大崎はるきさん(21)は、食堂を地域の居場所づくりにつなげる動きも目立つと指摘し、「貧困率が低い富山では幅広い世代が集まる拠点にもなり得る。若者がもっと関わっていけばいい」と呼び掛ける。
厚生労働省によると、「子どもの貧困率」(平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合)は2015年時点で13・9%。
過去最悪だった12年の16・3%より改善したものの深刻な状況が続き、貧困状態の家庭は地域社会で孤立しがちとされる。
子ども食堂は全国で相次ぎ誕生し、県内では16年2月に高岡市の女性有志グループが社会貢献したいと「オタヤこども食堂」を本格オープンした。
有志の一人の田辺恵子さん(65)は「食材の寄付など地域に支えてもらっている」と言う。
今後は子どもの食育や参加者の交流の場にしたいとも考えており、「長く続けられるように人材の確保を進めたい」と意気込む。
子ども食堂の名を冠した取り組みはこの他に富山、射水、氷見の3市であり、ロータリークラブや住民有志などが運営する。
県も支援のため、市町村と共に子ども食堂を実施する団体への補助を本年度から行っている。
氷見市は子ども食堂の“先進地域”で、8日に宮田学童保育館でオープンする「ひみキトキトこども食堂みやだ」を含め市内の食堂は計3カ所。
市社会福祉協議会が支援し、JAの協力で野菜や果物を食堂に寄付してもらう「ベジタブルバンク」も4月にスタートさせた。
全食堂で「ひみキトキトこども食堂ネットワーク」を発足し、食材の共有や情報交換をする。こども食堂みやだは地区の高齢者も対象で、準備を進める屋敷夕貴さん(65)は「世代を超えて集まる場所になればいい」と話す。
取り組みに共感する若者も現れた。
子ども食堂を大学の授業で知った大崎さんは卒業研究のテーマに選び、現状を調べている。
県内は全国に比べ貧困状態にある子育て世帯の割合が低く、食堂は子どもを中心に住民が集う場としても期待されている。
子ども食堂の名称ではないが、滑川市社会福祉協議会も幅広い世代が昼食を楽しむ「地域食堂たんぽぽ」を6月に始めた。
大崎さんは地域食堂たんぽぽの準備にも関わり、9日に富山大五福キャンパスで開かれる「子どもの貧困対策全国キャラバン」で食堂の現状を発表する予定だ。
大崎さんは「それぞれ地域の特色が見られる。拠点づくりをさらに進めるためには、私たちのような若い世代が関わっていくべきだ」と話している。
〔◆平成29(2017)年7月8日 北日本新聞 朝刊〕