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反貧困ネットワーク大阪

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所在地 大阪府
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ページ名反貧困ネットワーク大阪、大阪府、()
(政策を問う 2017衆院選)生活保護の子に進学の壁 制度、高卒後の就職が前提
昨春から保育士として働く大阪市の女性(22)は毎月、手取り約13万円の給料から1万7千円を借金の返済にあてている。
母子3人の生活保護世帯から専門学校に進み、学費はすべて奨学金を借りてまかなったからだ。
利子も含めた約290万円を、14年間かけて返す。
学生でも生活費はすべて自分で稼ぐ必要があったので、一般的な2年制ではなく、3年制の夜間課程に入学。
ほぼ毎日、日中はたこ焼き屋やコンビニでアルバイトをした。
「時間を見つけて勉強をする、しんどい日々だった」と振り返る。
厳しさに追い打ちをかけ、今の借金の重さにもつながっているのが「世帯分離」という仕組みだ。
生活保護制度は、子どもは高校を出たら就職することを前提としている。
大学や専門学校に行く場合は、親と同居していても、その子どもだけ保護から外れる世帯分離をする必要がある。
その結果、例えば東京23区や大阪市で母と子2人の世帯なら、毎月支給される生活費が約4万4千円減り、住宅費も4千~6千円ほど下がる。
生活保護世帯の子どもの大学などへの進学率は一般世帯の半分以下の約33%だが、進学に前向きになりづらいこの制度も足かせとなっている。
女性は1日に大阪市で開かれた「生活保護でも大学に行きたい!」と題したシンポジウムで登壇し、「誰もが自分の生きたい人生を築いていける社会にしてほしい」と改善を訴えた。
シンポを主催した反貧困ネットワーク大阪の生田武志代表は「子どもたちにとって大学進学はハードルが高すぎて、最初から考えたくないというのが実態。子どもの将来が、生まれた環境で左右されてはいけない」と話した。
こうした教育格差が貧困の連鎖につながるとの問題意識が広がり、政治も動き始めた。
5月には超党派の議員連盟が、生活保護世帯の子どもの進学支援などを求める提言を厚生労働省に提出した。
公約では自民党と公明党が、生活保護世帯の子どもの大学などへの進学支援を盛り込んだ。
さらに多くの党が、返済の必要のない給付型奨学金の拡充や大学授業料の減免などを掲げる。
□見直し進む給付水準
一方で、貧困をめぐってあまり触れられていない大きな論点がある。生活保護の給付水準の見直しだ。
いま厚生労働相の諮問機関・社会保障審議会の部会で、5年に1度の生活保護基準見直しの検討が進んでいる。
公約で共産党と社民党は生活保護改悪や縮小の反対を打ち出す。
一方、自民党は基準見直しに直接言及していないが、2012年の衆院選では「生活保護給付水準の原則1割カット」を掲げた。
それに沿うように、安倍政権下の13年から15年にかけて生活費にあたる生活扶助が3段階で減額された。
物価の下落などを理由に、平均6・5%という戦後初の大幅カットだった。
その後も家賃にあたる住宅扶助、暖房費などの冬季加算が次々と切り下げられた。
引き下げの影響は受給者以外にも及んだ。
保護基準は社会保障の「土台」のようなもので、直接・間接にそれと連動する低所得層向け支援がいくつもある。
例えば引き下げの影響で、家計が苦しい家庭の小中学生に学用品費などを補助する就学援助について一部の自治体は支給対象を縮小した。
介護保険・保育の保険料や自己負担の軽減措置縮小などにもつながる可能性がある。
この引き下げに対し、裁量権の乱用で生存権を保障する憲法違反にあたるなどとして、各地の受給者が提訴している。
訴訟を支援する「いのちのとりで裁判全国アクション」によれば、29都道府県で950人を超す人が争っている。
生活保護基準は最終的には時の政権の厚労相が決める。
受給者には社会保障費抑制の流れで、また引き下げられるのではとの危機感が広がる。
社保審の部会が開かれた12日、同アクションの参加者が厚労省前に集まった。
心の病の妻の看護と医療費負担のため生活保護を利用するという千葉市の男性(66)は「私たちの意見を聞いて、実態に基づいて検討してほしい」と、引き下げの反対を訴えた。
〔◆平成29(2017)年10月21日 朝日新聞 東京朝刊〕
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