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「望まない妊娠」に里親 来年度、産科と連携し推進事業 特別養子縁組に 中絶、虐待防止へ /兵庫
県は来年度、望まない妊娠で生まれた新生児の里親委託を推進する事業を始める。試験養育後、家裁が認めれば、特別養子縁組させる。産科医療機関や市町の母子保健センターに未婚などで出産を迷う妊婦を児童相談所につないでもらい、新しい命を中絶させずに救う取り組みだ。
新生児の里親委託は、現状でも産科医療機関の情報提供などがあれば、児相が対応している。ただ、委託数は少なく、産科医療機関と連携体制を組んで推進するのは近畿地方では初めて。厚生労働省の調査によると、2014年度に虐待死(心中は除く)した36人のうち虐待した実母が望まない妊娠だったのは8人で、事業は虐待防止も目的の一つだ。
事業では、協力してくれる産科医療機関を募り、中絶を考える妊婦に特別養子縁組の制度を紹介してもらう。関心を持った親には県こども家庭センター(児童相談所)が出向いて相談に応じる。具体的には、待合室に里親や特別養子縁組を紹介するリーフレットを置き、特別養子縁組への関心などを尋ねる問診票を病院に配ることを検討する。
県は管轄する県内5カ所の児相に登録された里親(15年度で323人)から、互いの条件が合う人を選んで里親委託する。6カ月の試験養育後、家庭裁判所に特別養子縁組を申請する。県の児相がない神戸市はこの仕組みに加わらないが、産科医療機関から情報が寄せられた場合は、里親委託を含めた対応をする。
事業実施に向け、8月25日に県医師会や里親団体など関係者を集めた初会合を開催。産科医側から「望まない妊娠で出産した後、インターネットで特別養子縁組をあっせんしてくれる組織を探す人も多い」との声が上がった。
新生児の里親委託は愛知県が先進的に取り組んでいる。親子関係が円滑に築けるように、出産に里親が立ち会い、すぐに新生児を受け取るようにしており、特別養子縁組は年間8~10人成立している。県は愛知県の児童相談所の講習会に職員を参加させており、こうした仕組みの導入も目指している。
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□ことば ◇特別養子縁組
子どもの福祉のために必要な場合、血縁関係のない夫婦と親子関係を結ぶ制度。養子は6歳未満、養父母は25歳以上、実親の同意が必要であることが原則。半年以上の試験養育期間を経て、家庭裁判所の審判で許可される。実親との親子関係は消滅し、戸籍上も実子と同様に記載される点で、普通養子縁組とは異なる。
〔2016年9月22日・貧困ネット、◆平成28(2016)年9月16日 毎日新聞 神戸版〕