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東京インターナショナルスクール

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2018年10月8日 (月) 22:31時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
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東京インターナショナルスクール

所在地 東京都
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秘境「インターナショナルスクール」を徹底解剖 教育の理想郷なのか、それとも…
「インターナショナルスクール」という秘境――おおたとしまさ(1/2)
元来は海外赴任者の子供が通うインターナショナルスクールが、日本人の保護者にも大いに注目されている。
国際感覚が育つ、バイリンガルに育てられる、と。
教育の理想郷なのか、それとも――。良くも悪くも日本の学校とは異質のこの「秘境」を徹底解剖する。
緊張感がない。いい意味で。
子供たちの全身からにじみ出る雰囲気のことである。
日本の学校では、子供たちが見えない鎧を着ているように感じることも少なくないが、それがない。
東京都港区にある「東京インターナショナルスクール」を訪れた。
校舎に入ってすぐ目に留まるのは、お風呂とピアノをそれぞれモチーフにした2つの大きなオブジェ。
ポップでカラフルに表現されている。
まるであのテーマパークの名物アトラクション「itʼs a small world」の世界観だ。
そう。この学校自体がまさに「itʼs a small world」なのである。
年長から中2に相当する9学年合計で定員は360人。世界60カ国から子供たちが集まっている。
日本国籍しかもたない生徒の割合は5~8%。
入学時には、入学金が30万円、および施設開発への寄付金が50万円かかる。
年間授業料は学年によって187万~241万5千円。
ほかに施設維持料が10万円、送迎バスを希望する場合は別途費用が年間34万円かかる。
しかし約8割の生徒については、母国か親が所属する政府、企業が費用を負担しており、自腹の家庭は少ない。
「おそらく東アジアで最も自国籍のみの生徒が少ないインターナショナルスクールです」
と言うのは、創立者の坪谷ニュウエル郁子さん。
日本の受験社会に疑問を感じ、1970年代にアメリカの大学に進学した。
9年間を過ごし、帰国後、理想の教育を実現するため、英語で学ぶテーマ探求学習スタイルの私塾を開いた。
それが現在の東京インターナショナルスクールに発展する。
とにかくパワフルで一本気。
同校理事長のほか、国際バカロレア(世界トップレベルの初等中等学校教育を提供する2年制の教育プログラム)機構日本大使、内閣官房教育再生実行アドバイザーほか、数々の委員や客員教授の肩書きを併せもつ。
日本の学校とは何から何まで違う
校舎を案内してもらった。日本の公立小とは雰囲気がまるで違う。
各学年の教室の一角には必ずラグが敷かれ、授業は毎回、ラグの上でのディスカッションから始まる。
休み時間やお昼休みは決まっているが、専科の授業以外の時間割はない。
そもそも算数や理科や社会といった教科の概念がない。だから教科書もない。
「各学年を6週間ずつ6つのタームに分けてカリキュラムを構成しています。
タームごとに取り組むべきテーマが決められており、それに沿って学際的に学びます」(坪谷さん、以下同)
たとえば、あるタームでは「恐竜」について、あるタームでは「芸術家」について学ぶ。
理科的な側面からも、社会科的な側面からも、数学的な側面からも、言語的な側面からも、多角的にアプローチして対象を捉える。
議論し、調べ、まとめ、さまざまな方法で表現する。
「恐竜は入口にすぎません。
恐竜をテーマに学習することで、絶滅や死、サバイバルや進化といった上位概念を自然に理解できるようになることが本当の目的です。
私たちはこれを『普遍の真理の追究』と呼んでいます。
この学校の生徒たちの大半は、海外からの駐在員の子供たち。
数年後には世界のどこの学校で学んでいるかわかりません。
だからこそ、どこの国に行っても学習が継続できるように、カリキュラムを構成しています」
音楽の時間もディスカッションから始まる。
「広告はひとの選択に影響を与える。だとすれば広告に使われる音楽も、ひとの選択に影響を与えていることになる。広告における音楽の役割について議論してみよう」などとお題を振るのだ。
「それはどのようなものか」「どのように機能するのか」「なぜそうなのか」「どのように変わっているのか」「他のものとどうつながっているのか」など、1つのテーマについて8つの観点の問いのうち、少なくとも3つを教師が投げかける。
議論の際には、あえて感情的に考えたり、ネガティブな視点で考えたりと、意識的に視点を調整する方法も教える。
授業は英語で行われ、英語を母国語としない生徒のためには、英語の速習プログラムが用意される。
日本語は「外国語」として学ぶ。
生徒には1人1台のノート型パソコンが貸与されており、休み時間に小さな子供たちがパソコンを抱えて教室を移動する姿は微笑ましい。
毎日の授業での態度や成果は、その日のうちに担任が、生徒ごとに用意されたオンラインの「連絡帳」に書き込む。
成績は、アメリカの「U.S.A.コモン・コア」と呼ばれる基準と「国際バカロレア」に準じて付けられる。
生徒たちはそれぞれの能力に応じて自分の目標を定め、学習の成果を自分でプレゼンテーションする。
数学および読解と作文については、世界中のインターナショナルスクールで採用されている標準テストも受験する。
何から何まで、「日本の学校」とは違う。
雨後の筍で玉石混淆
東京インターナショナルスクールは、学校教育法上では各都道府県が認可する「各種学校」に分類され、義務教育機関とは認められていない。
また、「各種学校」ですらなく、実質的に「私塾」と変わらないインターナショナルスクールも多数存在する。
つまりインターナショナルスクールだけに通っても、義務教育を受けたとは認められない。
義務教育課程でインターナショナルスクールに通うためには、たてまえ上、公立の小学校や中学校に籍を置き、「不登校」の扱いにしてもらう。
それを積極的に認めてくれる学校と、そうでない学校とがあると、坪谷さんは言う。
そもそも「インターナショナルスクール」という概念が非常に曖昧だ、と坪谷さんは指摘する。
「もともとは、親の都合でやむなく外国で教育を受ける子供たちのための多国籍な学校という意味合いでした。
しかし、その概念が揺らいでいます。
この5年で、中東やアジアではインターナショナルスクールが倍増しましたが、生徒の7~8割が自国の子供たちだったりします。
『欧米式のプログラムを取り入れた、もしくは英語を教授言語とする学校』というほどの意味合いで受け入れられています」
学校の教育課程を規定する主要な国際基準は、ケンブリッジ大学のAレベル、アメリカ式のSATおよびAP、そして国際バカロレアの3種類。
このいずれかに準拠している学校をインターナショナルスクールと呼ぶ傾向にあるという。
「中には白人や黒人など、いかにもインターナショナルスクールっぽい外見をしていれば、授業料を無料にするという学校もあります。そうやって“環境”を整え、自国民のお客さんを呼び込もうという戦略です」
グローバルな教育を受けさせたいと思う富裕層をターゲットにしたインターナショナルスクールが、雨後の筍のようにできているというのだ。
安価で注目の「インド系」
東京インターナショナルスクールは、国際的なインターナショナルスクール認定機関CIS(国際学校協議会)と、アメリカの学校評価機関であるNEASC(ニューイングランド学校協議会)、そしてIBO(国際バカロレア機構)からの認定を受けている。
それがいわゆる「品質保証」になっている。
CISに認定されている学校は国内に19校。
東京で老舗として有名なのは、セント・メリーズ、清泉、聖心の3つ。
横浜インターナショナルスクールは、世界で2番目に古いインターナショナルスクールだ。
いわゆる「アメリカンスクール」は趣旨が違う。アメリカ人が、国外でアメリカの教育を受けるための学校で、「日本人学校」と同じ意味合いだ。
「ブリティッシュスクール」や「朝鮮学校」も同様。これらは俗に「民族学校」とも呼ばれる。
比較的安価に英語による教育を受けられることで最近注目されるインド系のインターナショナルスクールもこの仲間だ。
「インディア・インターナショナル・スクール・イン・ジャパン(IISJ)」は日本で最も古いインド系インターナショナルスクールで、東京の江東区と横浜の緑区に校舎がある。
年間授業料は60万円。さらに設備費・スクールバス送迎費が20万円かかる。
国際バカロレア準拠の教育課程を受けると、年間の授業料は150万円に。
そのほか国際バカロレア登録料2万円や高3相当での卒業認定試験料16万円などがかかる。
一般的な私立小学校の学費よりも、それでも高い。
玉石混淆の部分はあっても、インターナショナルスクールは、日本の学校教育に疑問をもつ家庭には数少ないオルタナティブ(別の選択肢)である。
特に東京インターナショナルスクールのようにユニークで、かつ国際的な「品質保証」を受けている学校なら、高額な学費を払ってでも「わが子を通わせたい」と思う保護者はいる。
ただ、入学は英語ができることが前提なので、「インター幼稚園」や「プレスクール」と呼ばれるオールイングリッシュの幼稚園に通わせるのが、都心に住む一部の保護者の間で流行っている。
かつての「お受験」熱が、幼児期からの「グローバル教育」熱に移行しているのだ。
あるメディア関係者は、「かつては子育て中のママを対象に、『お受験』がテーマのセミナーを開くと、大勢集めることができました。しかしこの数年は『グローバル教育』というテーマのセミナーが大人気です」と証言する。
しかし坪谷さんは意外なことを口にする。
「日本に軸足を置いて生きていくことを前提にするのなら、少なくとも義務教育期間中は、インターナショナルスクールに通わせるべきではありません」
おおたとしまさ 育児・教育ジャーナリスト。
1973年東京生まれ。麻布中高卒、東京外国語大中退、上智大卒。
リクルートから独立後、教育誌等のデスクや監修を歴任。中高教員免許を持ち、私立小での教員経験もある。
『ルポ塾歴社会』など著書多数。
〔平成30(2018)年8/15(水)デイリー新潮「週刊新潮」2018年7月19日号 掲載〕

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