フードバンク山梨
NPO法人 フードバンク山梨
所在地 | 〒400-0214山梨県南アルプス市百々3697-2 |
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周辺ニュース
ページ名フードバンク山梨、、()
子どもの貧困 「貧困世帯の子いる」 NPOアンケ、保育施設長の4分の1回答 家庭状況見えにくく連携支援検討/山梨
県保育協議会に所属する保育施設を対象にしたアンケートで、4分の1の施設長が、貧困世帯で育てられていると思われる園児が在園しているとの回答を寄せていたことが明らかになった。
調査を行った認定NPO法人「フードバンク山梨」(南アルプス市)は「個々の家庭状況が見えにくくなっていることもあり、保育施設と連携した支援を検討したい」としている。
アンケートは昨年12月、県内222の保育園・認定こども園の施設長ら責任者と、現場の保育士を対象に実施。責任者139人、保育士628人から回答を得た。
「貧困」を定義づけずに回答者の主観に任せ、2017年4月から同11月の間に貧困世帯の園児がいたかを聞いたところ、「いる」と回答した割合は、施設長が25・4%、保育士が15・3%だった。
「いる」とした理由については「1週間以上、洗濯されていない同じ服を着ていた」「衣類がかびている」など、子どもの身だしなみから気付いた例が多かった。
教材費などの未納や、風邪を引いたり、虫歯があったりしても病院を受診しないとの回答も寄せられた。
園や担任として十分な対応ができたかとの問いに「分からない」と回答したのは施設長が48・4%、保育士が68・9%。
「できていない」「あまりできていない」と回答したのは施設長が16・5%、保育士が16・8%だった。
◇ ◇
約4年前にフードバンク山梨から食料支援を3カ月間受けたことのある県内在住の30代の女性が毎日新聞の取材に応じた。
現在は1、4、10歳の3人の母。当時は、同世代で工場勤務の夫の手取り給料が月15万円弱だった。
水道光熱費や自治会費などの必要経費を除くと、使える食費は1万数千円だったという。
無償で食料支援を行っているフードバンク山梨の存在を知り合いから聞き、行政を通じて申請した。
月に2回、米や乾物、お菓子などが届き「非常に助かった。おかずはモヤシが多かったがもう一品増えた」と振り返る。
子育てのため、今もフルタイムで働くことができず、生活は苦しいという。
ただ、親族や近所からの協力もあって以後は食料支援は受けていない。
将来は夫婦ともフルタイムで働きたいとの希望を持っている。
「家計が一番苦しい時にフードバンクに助けられ、感謝している。私たちと同じような家庭も少なくないのでは」と話す。
〔◆平成30(2018)年5月11日 毎日新聞 地方版【野呂賢治〕
子どもの貧困調査発表 フードバンク山梨 厚労省で救済訴え
認定NPO法人フードバンク山梨(米山けい子理事長)は13日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し、山梨県内の保育所などを対象にした幼少期の子どもの貧困に関する調査結果を発表した。
ミルクを薄めて与えるなど深刻な事例もあるとして、米山理事長は「幼少期の貧困への理解を深めてもらい、早急な支援につなげたい」と訴えた。
調査は昨年12月、施設長や保育士に実施。
貧困世帯とみられる園児が在園しているとの回答は施設で25・4%、保育士で15・3%。
貧困世帯とみられる園児への対応は、保育士の約7割が「十分なのか分からない」と答えた。
全国フードバンク推進協議会の米山広明事務局長は会見で、7人に1人とされる全国の子どもの貧困率を踏まえると「施設が貧困世帯の園児を十分に把握できていないことが分かった」と説明。
「把握しても支援につなげるのが難しい」「施設で支援に差がある」ことも明らかになったといい、乳幼児が貧困を感じさせるサインや、十分な対応を取っている施設の事例を保育施設間で共有することが対策として必要とした。
乳幼児の貧困を調査した事例は少なく、全県的な調査は全国初とみられる。
米山理事長は「乳幼児期から貧困を把握し、支援することが必要という社会の認識を高めていくべきだ」と指摘。
フードバンク山梨が保育現場と連携し、ミルクやおむつの提供などの支援をスタートさせ、活動を広げる考えを示した。
〔◆平成30(2018)年4月14日 山梨日日新聞 朝刊〈小沢甲吾〉〕
「多くの子に笑顔を」 クリスマス県内で支援の贈り物 困窮世帯へ食料品
クリスマスイブの24日、山梨県内で、生活困窮世帯などの子どもたちに贈る食品の箱詰め作業や、手作り絵本のプレゼントが行われた。
「一人でも多くの子どもに支援を届けたい」「サンタクロースのように、成長を見守っている大人がいることを伝えたい」。活動に携わった人たちは子どもたちへの思いを語った。
南アルプス市の認定NPO法人フードバンク山梨(米山けい子理事長)は、甲府東高で、子どものいる生活困窮世帯へ送る食品の箱詰め作業をした。
給食のない長期休暇に合わせた「子ども支援プロジェクト」の一環で、582世帯、1197人の子どもたちに計約7トンの食品を発送。
クリスマスの25日に各家庭に届く見込み。
箱詰めに先立ち、11月から1カ月半、家庭で余った食品を募るフードドライブを行い、約12トンの食品を回収。
24日は学生や協力企業、一般市民のボランティア約200人が参加。
サンタ帽と赤い手袋を身に着け、米や缶詰、レトルトカレー、菓子などの保存食を段ボールに詰めた。
クリスマスプレゼントとして、子ども1人につき千円分の「こども商品券」も入れ、ノートやカードとともに、学校や自治体を通じ支援申請のあった582世帯に発送。
米山理事長は「山梨では10人に1人の子どもが貧困状態にある。少しでも多くの子どもに届けられるよう、活動を広げていきたい」と語った。
甲府東高では生徒60人が作業前日から体育館に食品を運び込み、作業場を設営。
作業前に映像で子どもの貧困の実情を学んだ。
1年の榛原玲花さん(16)は「フードバンクの活動を初めて知った。想像以上に多くの食品やボランティアが集まっていて、それだけ必要とされているのだと驚いた」と話していた。
〔◆平成29(2017)年12月25日 山梨日日新聞 朝刊〈中嶋寿美子〉〕
貧困家庭アンケート 6割「中学進学前から困窮」南アのNPO調査/山梨
南アルプス市のNPO法人が生活困窮世帯を対象にアンケートを実施したところ「第1子が中学校に進学する前から経済的に苦しくなった」との回答が全体の6割を占めていたことが分かった。
子どもが乳幼児期の段階から生活苦を感じている世帯も多く、同法人は早期支援の必要性を訴えている。
生活困窮世帯に無償で食料を届けている「フードバンク山梨」が各世帯の生活実態を調べるため、昨年12月24~31日、支援先の511世帯にアンケート用紙を送付。
171世帯(回収率33・4%)から有効回答を得た。
経済的に苦しいと感じるようになった時期を尋ねたところ、第1子が中学生になるより前との回答が全体の62・6%に達した。
うち31・6%は「乳幼児期」と答えており、内訳は第1子の出産前が9・9%▽出産直後が8・2%▽幼児期が13・5%だった。
経済的な理由でおむつやミルクが不足したことがあるかについては、41・5%が「あった」と回答。
57・3%が「まったくなかった」とした。
世帯別に分析すると、回答者の約7割が母子家庭だった。
母親の収入は9割が月収20万円以下で、正社員・正職員は16%にとどまった。
同法人は、収入の低い母親が1人で世帯を支える家庭ほど子どもが幼いうちから困窮しやすくなるとみて、母親の収入と貧困の関連を今後調査する。
フードバンク山梨では、小中学生に食料支援や学習支援を行ってきたが、今回の結果を受け、乳幼児期の子どもを抱える世帯への支援も検討する。
米山けい子理事長は「社会全体で貧困に関心を持つことが必要」としている。
〔◆平成29(2017)年6月21日 毎日新聞 地方版〕
食料買えない経験、7割 フードバンク、子どものいる困窮世帯を調査/山梨県
生活に困っている世帯への食料支援に取り組むNPO法人フードバンク山梨(南アルプス市)は、子どものいる困窮世帯を対象にした生活状況の調査結果を発表した。
出産前や子どもが幼い時期から経済的な苦しさを感じた世帯が3割に上り、7割近い世帯が昨年1年間に食料を買えない経験をしているなど、厳しい実情が明らかになった。
調査は湯沢直美・立教大教授の協力を得て昨年12月24~31日に実施。
昨冬にフードバンク山梨が食料支援した県内の511世帯に調査票を送り、171世帯(33・4%)から回答があった。
経済的理由で昨年1年間に食料を買えない経験をした世帯は67・3%。文房具や教材も50・0%が買えない経験をしていた。
また、子どもが生まれてから経験したこととして「カウンセリングや精神面での治療を受けたいと思った」は32・7%、「過労(極度の疲れ)で寝込んだ」は25・7%、「自殺したいと思った」も22・2%が挙げた。
心身ともに生活の負担が大きい様子がうかがえる。
経済的に苦しいと感じるようになった時期は、第1子の出産前、出産直後、幼児期が計31・6%。半数以上が小学校低学年までに苦しさを感じ始めていた。
子どもが乳幼児のころオムツやミルクが不足したことがある世帯は41・5%で、比較的早い段階から困窮状況にあった世帯が多いこともわかった。
米山けい子理事長は「これまでは主に小中学校と連携してきたが、今回の結果を踏まえて幼稚園や保育園とも連携を進め、幼児期の子どもがいる家庭を支援したい」と話した。
〔◆平成29(2017)年6月17日 朝日新聞 東京朝刊地方版〕
生活苦の家に食料を NPOと山梨市 協定 小中学校で申込書配布=山梨
生活が苦しい家庭に食料を届けて支援しているNPO法人「フードバンク山梨」(南アルプス市)は2日、山梨市と協定を結んだ。
市立小中学校を通して食料支援の申込書を家庭に配り、給食がない夏休みや冬休みに食料を届ける。
多くの保護者に申込書を届け、利用しやすくすることを目指す。
同法人は2015年夏から、子どもがいて生活が苦しい家庭に、夏休みと冬休みには5回ずつ食料を届けるプロジェクトを実施。
これまで延べ2000人以上の子どもに食料を届けた。
これまでは、市の福祉部門を通して申し込んできた家庭に食料を届けていた。
ただ、食料支援のことを知らなかったり、生活が苦しいことを市に相談しにくかったりする家庭も多かった。
このため、同法人は山梨市と協定を結び、市立小中学校を通して、食料支援の申込書を学校で配る。家庭が申込書を同法人に送ると、夏休み中に、米や乾麺などの食料が2回送られてくる。
2日は、山梨市役所で、米山けい子理事長と望月清賢市長が協定に調印した。
米山理事長は「多くの子どもの生活を改善するために、市と連携して、より多くの家庭に食料を届けたい」と話している。
3日には、食料や資金の寄付を呼びかけるイベントを南アルプス市榎原の市ふれあい情報館で開く。
問い合わせは同法人(055・298・4844)へ。
◇教諭47%「貧困感じた」
17歳以下の子ども全体のうち、所得が少ない家庭で育つ子どもの割合は「子どもの貧困率」と呼ばれる。
国内では2012年、1年間の所得が122万円未満の家庭で暮らす子どもは過去最悪の16・3%で、およそ6人に1人に上った。
フードバンク山梨が昨秋、県内の小中学校の教諭153人にアンケートを行ったところ、47%の教諭が「子どもが貧困状態にあると感じたことがある」と回答。
感じた場面として一番多いのは「何らかの支払い、集金の未納」(63%)で、「二千数百円の学校の集金が払えない」「運動靴がボロボロでも『これしかない』と言う」などという記述もあった。
栄養状態が影響しているとみられる「体格」が17%、「体調・健康面」も20%あった。
子どもへの貧困の影響として、「自己肯定感が低い」と考える教諭が73%、「学習意欲が低い」が76%で、子どもの成長への懸念も強い。
〔◆平成29(2017)年6月3日 読売新聞 東京朝刊〕
子どもたちの食料支援など貧困問題に取り組む「NPO法人フードバンク山梨」は、中央市布施の田富総合会館で毎週土曜の午前10時に開いている。
これまでは夏休み期間に単発で行っていたが、初めて来年3月まで継続的に行う。
中央市と南アルプス市の貧困家庭の小中学生などが対象。
パズル学習や個人学習の後、全員でお昼ご飯を食べる。
6月25日から、都留市中央3の「ぴゅあ富士」でも開校する予定だ。
県教委は、2014年度から、土曜日や放課後を利用してフォローアップ授業をするよう各市町村に委託している。
今年度も新たに3市町村を加える予定。
県教委は「個別に学ぶことで理解が深まった子どもたちもおり、参加者の満足度は高い」と話している。
〔◆平成29(2017)年5月25日 毎日新聞 地方版〕
子どもの貧困:5割痛感 学習意欲に影響も 小中学校教員アンケ/山梨
南アルプス市のNPO法人は「子どもの貧困」をめぐり県内の小、中学校教員に尋ねたアンケート結果をまとめた。
5割は「子どもが貧困状態にあると感じたことがある」と答え、教育現場の課題になっていることを改めて印象づけた。
ただ「学校が対応できた」との回答は約3割にとどまり、十分に手を差し伸べられていない現状を浮き彫りにした。
アンケートは「フードバンク山梨」が昨年9月29日~10月20日に実施した。
子どもの支援活動で関係の深い小中学校に、アンケート用紙を送った。
計212人の教員のうち153人(回収率72%)から有効回答があった。
「昨年度以降、子どもが貧困状態にあると感じたことがあるか」を質問したところ、53%は「ない」と答えた。
47%は「ある」と回答し、ほぼ半数の教員が、貧しさに直面する子どもの存在を目にしていることになる。
深刻な状況にあることに気付いた「場面・状況」を11の選択肢から複数回答で選んでもらったところ、最も多かったのは「支払い、集金の未納」の26%だった。
これに「衣服の汚れ、ほころび」の18%が続いた。
さらに「貧困状態にある子どもを発見した時、学校として十分な対応ができていると感じるか」と質問。
五つの選択肢から選んでもらったところ、過半数の51%が「わからない」と答えた。
次いで多かったのは「あまりできていない」の20%。
「できていない」は5%だった。
逆に「できている」は7%で、「ややできている」は18%だった。貧困が子どもに及ぼす影響については、8割が「学習意欲が低い」と回答した。
7割は「自己肯定感が低い」と答えた。
フードバンク山梨の米山けい子理事長(63)は「子どもたちが貧困から脱出できるよう、より一層、学習支援にも力を入れたい」と語る。
そのうえで「活動には資金も欠かせない。行政だけでなく、多くの人たちに、この問題を理解してほしい」と話した。
〔◆平成29(2017)年2月12日 毎日新聞 地方版〕
子どもの貧困「感じる」47% フードバンク山梨、小中教員にアンケ/山梨県
NPO法人フードバンク山梨(南アルプス市)が、県内の小中学校の教員を対象に、子どもの貧困についてアンケートしたところ、
服装や集金の未納などから「子どもが貧困状態にあると感じたことはある」と答えた教員が半数近くいた。
貧困が子どもに及ぼす影響として、自己肯定感や学習意欲の低さを危惧する教員が多かった。
フードバンクは「連携して支援する第一歩にしたい」と話す。
調査は、学校給食のない夏休みに、子どものいる生活困窮世帯へ食料を送るプロジェクトで知り合った県内の小中学校教員らを対象に、昨年9月から10月にかけて実施。
212人中153人から回答があった。
2015年4月以降に「子どもが貧困状態にあると感じたことはあるか」との質問には47%が「ある」と答えた。
また「子どもが貧困状態と感じた場面」を問うと、「支払い・集金の未納」が26%、「衣服の汚れ・ほころび」が18%と上位を占めた。
「貧困の子どもを見つけた時、学校として十分な対応ができているか」との質問には「分からない」が半数、「できている」「できていない」が4分の1ずつを占めた。
学校が家庭の問題に踏み込むことへの戸惑いも見られた。
貧困が子どもへ及ぼす影響について、いくつかの項目を挙げて聞いたところ、「学習意欲が低い」は「思う」が76%で「思わない」は4%。
「自己肯定感が低い」も、「思う」73%、「思わない」5%で、多数の教員が危惧していた。
「いじめの対象になりやすい」は、「思う」45%、「思わない」11%だった。
フードバンク山梨の米山けい子理事長は「先生も心を痛めていることが分かる。政策面も含め、関係者が連携して取り組む第一歩にしたい」と話した。
〔◆平成29(2017)年2月4日 朝日新聞 東京地方版朝刊〕
クリスマスプレゼント:困窮家庭の子どもたちに お菓子や食料品箱詰め NPO「フードバンク山梨」発送作業 /山梨
経済的に苦しい家庭を支援しているNPO法人「フードバンク山梨」は23日、子どもたちへのクリスマスプレゼントの発送作業に取り組んだ。
サンタクロースの赤い帽子をかぶったボランティアが、お菓子や食料品を箱に詰めた。
511世帯に、クリスマスイブの24日届けられる。
子どもたちにクリスマスプレゼントを贈るのは昨年に続いて2回目。
昨年の133世帯を大きく上回る申し込みがあったため、寄付を改めて呼びかけ、必要な資金をぎりぎりで集めることができたという。
南アルプス市寺部の「若草生涯学習センター」であった発送作業には、お年寄りから子どもまで約100人が参加した。
米やレトルト食品、ジュース、お菓子などが梱包(こんぽう)された段ボール箱を開けて仕分けたり、箱に詰め込たりした。
プレゼントが入った箱は重さ約10キロ。
子どもたちが服や文房具などを自由に買える1000円分の「こども商品券」も入れた。
母親と一緒に作業に参加した甲府市西田町の小学1年、石川菜月さん(7)は「メリークリスマスという気持ちを込めて、品物を箱に詰めました」と話していた。
フードバンク山梨の斉藤加代子事務局長は「困窮家庭が増えるなかで、少しでも温かい気持ちでクリスマスを過ごしてほしい」と語った。
(◆平成28(2016)年12月24日 毎日新聞 地方版)
フードバンク、子ども支援強化 米・カレー… 冬休みに500世帯へ
おかず、学習スペースに提供
暮らしに困っている人に食料支援をするフードバンク=キーワード=が、子どもの支援に力を入れ始めている。
給食がない冬休みの家庭に食材を送ったり、塾に行けない子の学習支援スペースにおかずを届けたり。
活動の現場を訪ねた。
□米・カレー… 冬休みに500世帯へ 山梨
クリスマスイブの24日。
小学2年の長男(8)と保育園に通う長女(6)の兄妹と、30代の母親の3人が暮らす山梨県内の賃貸住宅に一箱の荷物が届いた。
「あ、お菓子だっ」 箱を開いたとたんお菓子の袋詰めを見つけた長女が歓声をあげた。長男は人気キャラクターのペンを見つけて「これで絵を描きたい」と目を輝かせた。
子ども1人1千円の「こども商品券」もあった。
その下から出てきたのは6キロのお米とレトルトカレー、カップ麺といった食料。
「おにぎりいっぱい食べられるね。
塩むすび好きだもんね」。
母親が子どもたちに話した。
母親は営業の仕事をするが、出来高制で月収2万~3万円の時もある。
元夫は養育費を払わない。
児童扶養手当や飲食店アルバイトなどでやりくりするが、家賃支払いが遅れることもある。
「食べることだけはきちんとさせたい。冬休みは学童保育にお弁当を持たせねばならず、お米は本当に助かる」と話す。
*
<学校通じ募る> 荷物を送ったのは、フードバンク山梨(山梨県南アルプス市、電話055・298・4844)。
2015年の夏、給食のない長期休暇の夏休みと冬休みに子どものいる困窮世帯を支える「フードバンクこども支援プロジェクト」をスタートした。
最初の利用者は山梨県内127世帯、子どもの数は288人。
4回目となる今年の冬は、山梨県の中央、南アルプス、笛吹の3市で小中学校との連携にも取り組む。
学用品や給食費などが支給される「就学援助」を受けている世帯を中心に、学校を通じて申請書を手渡す仕組みだ。
利用者は511世帯、子どもは1077人に急増。
クリスマスプレゼントを買うお金は寄付で賄い、23日の箱詰め作業には大学生や企業からのボランティアら100人が参加した。
「子どもがいつも『おなかすいた』と言い、それを黙って聞くしかない」。
申請書などにつづられた言葉からは、厳しい生活環境が浮かぶ。フードバンク山梨の米山けい子理事長は「食料を届けるだけでなく、学校との連携で見えにくい子どもの貧困を特定できる利点もある。支援を必要とする子はまだたくさんいる」と話す。
今後も、連携する自治体・学校を増やしていきたいという。
□おかず、学習スペースに提供 東京・足立
東京都に拠点がある「セカンドハーベスト・ジャパン」(2HJ、電話03・5822・5371)は11月から原則週2回、足立区内に3カ所ある区運営の学習支援スペースにおかず類を無償で提供し始めた。
*
<寄贈品を活用> 寄贈食品と購入した食材を組み合わせ、ボランティアと調理してから計45人分を配る。
昨年8月からおやつを提供してきたが、今年10月に協力企業などから寄付や助成金を受け、専用の大型キッチンが都内に完成。
おかずや弁当を届けられるようになった。
提供先の一つで、ビルの一角にある学習支援スペースには、経済的事情などで塾に行けない中学生が通う。
利用者は1日十数人。
スタッフや大学生に勉強を教えてもらえるだけでなく、本を読んでくつろぐこともできる。
「めっちゃ豪華じゃん」「ケーキもあるの? すごいね」。
22日夜、ハンバーグデミグラスソース、小松菜とちくわの甘辛炒め、たらこスパゲティといった2HJから届いた夕食を見て、テーブルを囲む中学生やスタッフから明るい声が響いた。
クリスマス前なので企業から寄贈されたケーキもついた。
足立区の学習支援スペースは「居場所」として長時間過ごせるのが特徴だ。
この施設では平日は午後3時から夜9時まで。
土日祝日も開いていて、冬休みも年末年始を除いて午前10時から夜8時まで利用できる。
切り離せないのが食の提供だ。
委託先のNPOがごはんやおにぎり、汁物、シリアルを中心に軽食を出していて、2HJからのおかずはそれを補うものになる。
区くらしとしごとの相談センター・橋本忠幸所長は「長期休みは給食もなくなり、十分な食事がとれていない子もいる。
(2HJからの)食支援は栄養面を考えてもありがたい」と話す。
2HJスタッフで、メニューを考えている管理栄養士の武田幸佳さんは「生活に困った人にお弁当を届ける活動はさらに広げたい」。
不足する配送ドライバーのボランティアを募集中だ。
◇キーワード<フードバンク>
企業や個人から食品の寄贈を受け、支援団体や施設を通すなどして生活に困った人に届ける取り組み。
賞味期限内なのに捨てられる食品を減らし、困窮者に届ける意義がある。
日本では2002年に本格的活動をはじめたセカンドハーベスト・ジャパンが先駆けとなった。
農林水産省の14年の調査では全国で約40団体が活動。
その後も新団体が各地でできている。
(◆平成28(2016)年12月28日 朝日新聞 東京朝刊)
フードバンク山梨:貧困家庭にXマスプレゼント、子ども1000人に 笑顔が見たくて 袋、箱詰めのボランティア募集 /山梨
NPO法人「フードバンク山梨」(南アルプス市)は12月24日、約1000人の子どもたちにクリスマスプレゼントを贈る。
対象世帯に宅配便で届ける予定で、3日と23日にラッピング作業を行うボランティアを募っている。
米山けい子理事長は「多くの人に参加してもらい、子どもの貧困を知ってほしい。子どもたちに笑顔でクリスマスを迎えてほしい」と話す。
フードバンク山梨は2008年に設立。
昨年から、「子どもの貧困」に歯止めをかけようと、学校給食がなくなる長期休みに、行政などに届け出があった世帯へ、米や缶詰、レトルト食品などを送り届けてきた。
冬休み期間中にはクリスマスに合わせ、食料と共にプレゼントも贈った。
服や文房具などを1000円分買える「こども商品券」とお菓子を箱に詰め、305人に届けた。
2回目の今年は昨年の3倍にあたる約1000人(500世帯分)にプレゼントを用意する予定。
資金はインターネットで広く呼び掛けた。
ボランティアを募集するのは、米の袋詰めと食品の箱詰め作業。
米の袋詰めは、12月3日午前10時から南アルプス市飯野のフードバンク山梨飯野作業所であり、約50人を募集する。
箱詰め作業は、同23日午後1時半から同市寺部の若草生涯学習センターであり、定員は設けていない。
問い合わせはフードバンク山梨(電話055・298・4844)。
〔◆平成28(2016)年11月28日 毎日新聞 地方版〕
グッドデザイン賞にフードバンク山梨 夏休み、困窮の子どもへ食料 /山梨県
南アルプス市のNPO法人「フードバンク山梨」が、学校給食のない夏休みに、子どものいる生活困窮世帯へ食料を送る「フードバンクこども支援プロジェクト」で、今年度のグッドデザイン賞を受賞した。
プロジェクトはこの夏、企業や一般市民から寄付された食品を活用して、222世帯(うち83%の185が母子世帯)、808人(うち488人が19歳以下の子ども)に延べ1085回食品を配った。
前身は1957年にグッドデザイン商品選定制度として始まった。
その後グッドデザイン賞となり、現在はフードバンク活動のような「地域・コミュニティづくり/社会貢献活動」も選考対象としている。
困窮世帯の子どもたちに企業や市民から寄付された食品を届けるシステムについて、審査員に「同時に社会の食品のロスを減らすという意味でも二重に意義深い」と評価された。
一方、ロゴ以外にももっと活動を広くアピールできるデザインを、とアドバイスされたという。
受賞について米山けい子理事長(63)は「大変うれしい。見えない子どもの貧困について、社会の関心が高まるきっかけになれば」と話した。
〔◆平成28(2016)年10月1日 朝日新聞 東京地方版朝刊〕
フードバンク山梨
フードバンク山梨(山梨県南アルプス市)は昨年から、給食がない夏冬の長期休暇の間に困窮世帯の子どもへ食品やプレゼントを届けている。
この夏休みは県内の218世帯約500人の子どもが対象。年齢を考え、離乳食やお菓子も詰め合わせる。
1人で子ども3人を育てる30代の母親は「誕生日もお菓子やケーキなんて買ってあげられないから、(支援の食品は)宝の山のようです」と話す。
フードバンク山梨は今年度から山梨県中央市と市教育委員会と3者協定を結び、小中学校を通して必要と思われる家庭に支援の申込書を届けることにした。
□地域格差の懸念も
だが、フードバンク活動の有無によって、困窮者支援の地域格差が広がる懸念もある。
全国フードバンク推進協議会の米山けい子代表(フードバンク山梨理事長)は「財政基盤も弱く、法制度など課題も多い。
全国的には行政との連携もまだ進んでいない」と指摘。協議会では、行政への要望や新団体の支援などに取り組む考えだ。
フードバンク信州(長野市)の美谷島越子事務局長は「食料提供はあくまで緊急対応。それだけでは生活困窮の解決にはならない。必要な支援につなげることが重要だ」と話す。
支援窓口の運用しだいで、実際には生活保護が必要な人を申請から遠ざける「水際作戦」にもつながる恐れがある。
セカンドハーベスト・ジャパンは、フードバンクを水際作戦に利用しないよう求める注意書きをあえて利用案内に明記。
連携する自治体などと確認書を交わしている。
〔◆平成28(2016)年8月18日 朝日新聞 東京朝刊〕
フードバンク山梨:夏休み中、生活困窮家庭へ食料支援 「子どもを笑顔に」ボランティアら缶詰など箱詰め /山梨
学校給食がない夏休みの間、子どものいる生活困窮家庭の食生活を支援するため、南アルプス市のNPO法人「フードバンク山梨」は30日、支援食料の箱詰め作業を行った。
昨夏に続き2回目の試み。同NPOの米山けい子理事長(63)は「子どもの貧困の実態はまだまだ理解されていない。
皆さんも行動に移して」と県民に呼びかけた。
この日は、同市百々で、中高生や市民ボランティアら74人が、コメや缶詰、レトルト食品などの箱詰め作業をした。
乳児がいる家庭には、粉ミルクや離乳食を加えるなど、支援先の状況に合わせた物資を選んでいた。
この支援プロジェクトは8月27日まで毎週土曜、箱詰め作業をし、県内の218世帯に計約7トン分の支援食料を発送する見込み。
30日の箱詰め作業に参加した県立白根高2年の土橋裕太さん(17)は「夏に(十分)食べられない子どもがいることを知らなかった。支援を受ける子が笑顔になればいい」と話した。
「ガールスカウト山梨第4団」所属の大沢瑞穂さん(31)=甲府市=は「支援先の家族を想像しながら物資を選んだ。今後も活動に参加したい」と語った。
同NPOでは、8月13日、20日、27日に南アルプス市内で行う箱詰め作業に参加するボランティアを募集している。
また、同NPOへの食糧や資金の寄付も募っている。
問い合わせは同NPO(電話055・298・4844)へ。
〔◆平成28(2016)年7月31日 毎日新聞 地方版〕
<子どもの食卓>フードバンク 高まる意義(2の2) 責任者に聞く
*NPO法人「フードバンク山梨」 米山けい子理事長 *法的な位置付けを明確に
フードバンク活動は企業や個人、行政が協力し、日々の食べ物に困る人たちを支える仕組みです。
フードバンク山梨が支援している子どもを対象にした調査では、1日の食費が400円未満の子どものいる世帯が7割です。
生活保護を受ける人を増やさないための生活困窮者自立支援法でも、子どもの食料支援は明記されていません。
学習支援は盛り込まれているのですが、食べ物に事欠く暮らしで、勉強に集中できるでしょうか。疑問に思います。
フードバンク山梨の運営資金の大半が国の補助金で賄われていましたが、生活困窮者自立支援法の2015年4月の施行に伴い、5年間頂いていた補助金を打ち切られてしまいました。
食べ物の宅配料や職員の人件費を賄えず、活動を縮小せざるを得ませんでした。
14年度に年間延べ4千回、食べ物を無償で提供できていましたが、現在、半減してしまいました。
日本は、フードバンク後進国と言われています。
米国や欧州連合(EU)諸国では、行政が後押しする法的な担保が整いつつありますが、日本ではそうではありません。
影響を受けるのは貧困状態の中で暮らす子どもたちです。
フードバンクを支えるためには、法的な位置付けを明確にしてもらいたい。
それに基づき、行政からの補助金で活動を支える仕組みも考えていきたい。
よねやま・けいこ 山梨県南アルプス市(旧櫛形町)生まれ、巨摩高校卒。
04年から生活協同組合パルシステム山梨(旧コープ山梨)理事長を務め、08年に退職。
同年、フードバンク山梨設立。15年に全国フードバンク推進協議会を設立し、代表に就任。62歳。
〔◆平成28(2016)年6月23日 北海道新聞 朝刊全道〕
フードバンク山梨、中央市と情報共有 困窮家庭の子夏休みに支援 /山梨県
生活に困っている家庭へ食料支援を行っているNPO法人「フードバンク山梨」(米山けい子理事長)は12日、中央市・中央市教育委員会と「子どもの貧困対策連携協定」を結んだ。
小中学校などを通じて、子どものいる困窮家庭の把握に努め、給食のない夏休みに食料を送る。
フードバンク山梨がこうした協定を結ぶのは初めてで、今後のモデルとしたいという。
フードバンク山梨によると、食料支援を行っている家庭を昨年度調査したところ、8割弱が1食120円未満で生活していた。
給食のない夏休みに体重を減らす子どももいたという。このため昨年から、夏・冬休みに子育て世帯に重点的に食料を送るプロジェクトを開始。
昨年は県内で133世帯に送った。こうした活動で、学校が把握している困窮家庭を、市町村の福祉担当課が把握していない例もあることがわかり、教育現場との連携の大切さが浮き彫りになった。
今回の提携で、中央市・市教委側から就学援助対象者の情報が提供されるほか、教諭が日ごろ子どもたちと接する中で、食事に困っている様子が見られた場合なども連絡を受ける。
フードバンク側は、学校を通して支援の申込書を対象家庭に配布し、支援を希望する家庭がフードバンクに書類を直接送るしくみ。
夏休みの間、週1回、食料が届けられ、生活相談や就労支援なども受けられる。
田中久雄市長は「『子どもの貧困』は、行政としてもなかなか見えづらい。NPOのノウハウと経験を生かしていただき、何とか支援していきたい」。
米山理事長は「教育機関との連携協定は初めてと思う。大変効果的で、全国的なモデルになるのではないか、と期待している」と述べた。
〔◆平成28(2016)年5月13日 朝日新聞 東京地方版朝刊〕
【くらし】広がる「食」の支援 ひとり親家庭やお年寄りに
生活が苦しく、朝昼晩と3食を取るのが難しいひとり親家庭やお年寄りに食料を届ける「フードバンク活動」が、各地で広がっている。
まだ食べられる食料を無駄にする「食品ロス」の解消にもなるが、企業や個人の寄付が欠かせない。
活動のない地域にも支援を広げようと、NPOなどによる協力も始まった。
▽胸いっぱい
「貯金がなくなり2人で思い詰めていた。『お米がある』と、あんなにほっとしたことはない」
山梨県富士吉田市の70代の夫婦は昨年5月、同県南アルプス市のNPO「フードバンク山梨」から届いた箱を開けた。
中に詰まった米や調味料を見ると胸がいっぱいになり、言葉が出なかった。
収入は妻の年金だけで、そこから家賃や病気で倒れた夫の医療費を支払っている。
今も月2回食料が届くおかげで、食費の支出は、生鮮品など月2万円に節約できている。
貯金を崩してやりくりしてきたが、昨年4月に市に相談。
生活保護は買い物に使う車を持てなくなる恐れがあり、申請しなかった。
市の連絡でフードバンクの支援が始まり生活は落ち着いた。
フードバンクは、へこみのある缶詰などを寄付してもらい、生活保護は受けていないが、収入や年金が低く十分な食事が取れない高齢者や母子家庭、ホームレスや福祉施設に届ける。
約100世帯を支援するフードバンク山梨。
夫の収入が不安定で、子どものミルク代にも苦労する女性には、おむつや離乳食を多めに入れる。
滞納がなくガスを使えるかなど、生活に応じて食品を選ぶため、ボランティアの人手は欠かせない。
▽地域差
農林水産省によると、2014年時点で、団体は全国に40ある。
自治体や独立行政法人の支援を受ける団体もあるが、人手に加え、保管場所や運営資金の確保、寄付する企業の開拓が共通の課題だ。
「取り組みに地域差があり、どこでも同じ支援ができるとは限らない」(フードバンク山梨の米山けい子理事長)。
岩手県の「フードバンク岩手」(盛岡市)は、地場の食品メーカーが少なく、寄付の8割を個人に頼る。
農家からもらう米は多いが、おかずになる缶詰などが足りない。
阿部知幸副理事長は「都市部は缶詰の余裕があっても、お米が足りない。物資を補い合いたいが、遠くなるほど輸送費がかかって難しい」と打ち明ける。
〔◆平成28(2016)年4月26日 共同通信〕
給食ない夏休み 子どもの食支援学校と連携 フードバンク山梨、窓口を拡大
生活保護を受けていない困窮世帯を食料支援するNPO法人「フードバンク山梨」(米山けい子理事長)は、夏休み中の子どもの食を支援する「こども支援プロジェクト」に向け、中央市内の小中学校と連携を始めた。
同法人は市町村の福祉窓口を通して申請を受け付けているが、支援が必要な子どものいる世帯をより幅広く把握するため、学校を通して同プロジェクトを周知し、申請のあった家庭を支援していく。
同プロジェクトは、給食のない長期休暇中、十分に食べられない子どもがいることから、夏休み中に5回、食料を無償提供するなど子どものいる家庭を支援する事業。
運営費は市民や企業からの寄付で賄い、昨年の夏休みに初めて実施し127世帯を支援した。
本年度は新たに、中央市内の8小中学校に協力を呼び掛け、生活保護世帯に近い状態だと市町村が認定した準要保護世帯に対し、学校を通して同プロジェクトを紹介し、食料支援の申請書を渡す。
同法人が生活困窮者自立支援法に基づく委託契約を結んでいる6市の中で、寄付金で支援できる規模であることやプロジェクトの趣旨に賛同してくれたことなどから、連携することになった。
米山理事長は「子どもの貧困は見えにくく、支援が必要な家庭を十分把握できない。
学校に協力してもらうことで、子どもたちを救うきっかけが増えるのではないか」と連携の目的を語る。
プロジェクトの詳細を説明するため各校への訪問を始めていて、18日は米山理事長らが田富北小を訪れ、食料支援の申請書を手渡した。
米山理事長は「私たちには教育現場から見える子どもの状況は分からず、学校との連携は欠かせない」と言い、鷹野晃校長は「家庭が孤立化している今、食料支援は、社会から見えにくくなっている家庭に手を差し伸べられる良いツールになると思う」と話した。
〔◆平成28(2016)年4月22日 山梨日日新聞 朝刊〕