北海道の労働と福祉を考える会
北海道の労働と福祉を考える会
所在地 | 北海道札幌市 |
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<くらしのしくみ> 自立支援法10年延長(2の2)継続的な対応が不可欠 札幌の現場は 60代以上多数 若者も 見えぬネットカフェ生活者
全国と同様、道内のホームレスの数も減り続けている。2017年調査では44人と、10年前の3分の1程度に減った。
しかし課題はなお解消されていない。道内でホームレスが最も多い札幌市(17年調査で37人)の支援の現場を歩いた。
「調子どうですか?」 今月15日、ホームレス支援を行う団体「北海道の労働と福祉を考える会」(札幌)の夜回り活動。
メンバーはJR札幌駅や札幌市中央区の狸小路周辺で路上生活を送る人たちに菓子パンなどを手渡しながら、健康状態や困ったことがないかを聞いて回った。
メンバーは大学生が中心で1999年に発足。ほぼ毎週土曜日に市中心部でホームレスへの声掛けや、不定期の炊き出しなどを行う。
副代表の小川遼さん(25)は「(活動を)長く続けて信頼関係を構築することが、支援につながる足がかりとなる」と強調する。
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JR札幌駅近くの地下道の椅子に座って待っていた60代前半の男性は、まんじゅうを受け取ると「いつもありがとう」と言った。道東出身。
7年前、勤めていた札幌市内の会社の事業縮小で解雇され、家賃が払えずホームレスになった。
一時は生活保護を受けてアパートで暮らしたこともあったが、再び路上生活に戻った。
男性は「この生活が楽」と苦笑いを浮かべ、多くは語らなかった。
この日は約2時間で計24人に声を掛けた。
小川さんは「札幌のホームレスの多くが60代以上で、路上生活が20年近い人もいる。
長引くと抜け出すのが難しい傾向にあるが、粘り強く声掛けを続けたい」と話す。
こうしたホームレスの支援を国の責務と位置づけたホームレス自立支援法の延長について、札幌国際大の山内太郎准教授(42)=社会福祉論=は「支援する側として歓迎したい」。
ただし国の調査で、全国だけでなく札幌市内のホームレスもピークだった10年前の132人から、今年1月には37人に減ったことについては「実態とかけ離れた数字だ」と指摘する。
調査ではホームレスの定義を屋外生活者に限定しており、ネットカフェに寝泊まりするなど潜在的なホームレス状態にある人々は反映されていない。
山内准教授は、特に20~40代の若年層で増えているとして、「この『隠れホームレス』に対する支援が行き届いていないのが実情。路上生活の一歩手前にある状態の人の調査も必要だ」と話している。
〔◆平成29(2017)年7月27日 北海道新聞 朝刊全道〕