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無料低額宿泊所の行政処分

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無料低額宿泊所の行政処分

<無料低額宿泊所>行政処分7件 国指針に拘束力なし
無料低額宿泊所とは?
生活困窮者向けの「無料低額宿泊所」を巡り、国が2003年にガイドラインを定めて運営基準を示したにもかかわらず、自治体による行政処分が今年1月までに7件にとどまっていることが分かった。
ガイドラインに法的拘束力がなく、処分が難しい面があるという。
自治体側は10年以上前から毎年、権限強化のための法整備を国に要望しており、国の対応の鈍さが対策の足かせになっている。
厚生労働省の15年調査では、宿泊所は首都圏を中心に537施設ある。
塩崎恭久厚労相は1月に国会で、狭い部屋に生活保護受給者を住まわせ高額の利用料を取る悪質な貧困ビジネスが存在すると答弁した。
社会福祉法によると、施設側が不当に営利を図ったような場合、自治体は行政処分として事業の制限や停止命令を出すことができる。
国は03年に判断基準となるガイドラインを策定。
自治体は要綱や条例を作って対応している。
毎日新聞が施設のある50自治体に取材したところ、事業停止命令は▽東京都で04年に1件▽千葉県で04年と05年に2件▽千葉市で08年に1件。
事業制限命令は▽千葉県船橋市で12年に1件▽さいたま市で15年と17年に2件だった。
うち2件は警察などの捜査で実態が判明した後の処分だった。
事業者が処分は不当として自治体を提訴したケースが2件あり、担当者らは取材に「訴訟リスクがありためらわざるを得ない」「権限が強ければ処分できたケースはある」などと説明した。
国は15年にガイドラインを改定して基準を具体化し、無届け施設を含め指導を強化するよう自治体に求めた。
ただ、無届け施設は実態把握が更に難しいため、東京都や政令市は16年に改めて法整備を要請した。
【大場弘行、山本将克】
◇開設届け出制、基準不明確
無料低額宿泊所は自治体に届け出れば開設できる。
許可制の福祉施設に比べて基準が不明確なうえ、国のガイドラインには強制力がなく、事業開始後に施設に改善を求めるのは容易ではない。
宿泊所に対する自治体の調査・指導権限は管内の施設にしか及ばない。
広域で活動する団体が悪質だと疑われても、調査の権限が弱く、団体全体の収支の把握すら難しい。
船橋市を提訴した事業者は他の自治体で宿泊所の運営を続けており、訴訟でも「他の自治体では認められている」と主張した。
だが、同じ事業者の宿泊所がある別の自治体の担当者は「100人以上いる施設もあるのに職員が異常に少ない。問題があると思っているが調査が及ばず実態が分からない」と明かした。
困窮者に対する生活や就労の支援に取り組む宿泊所もある。
一方で自治体の権限の弱さや対応のばらつきは貧困ビジネスを許す要因になる。
国は悪質事業者の規制に向けた法整備を急ぐ必要がある。
【大場弘行、山本将克】
〔毎日新聞 2017/5/5(金) 〕 
 

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