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ページ名:インクルいわて、岩手県盛岡市、パンくず上(子ども食堂・フードバンク)
子ども食堂:県内でも 一人親世帯を支援、手料理でだんらんの時間 地元企業にも活動の輪 /岩手
一人親や共働きで親が忙しかったり生活が苦しかったりして、子どもが一人で食事をする「孤食」が広がっている。
地域の人がそうした子どもと一緒に手料理を囲み、だんらんの時間を過ごす「子ども食堂」が各地で注目を集め、県内でも一人親世帯を支援する特定NPO法人「インクルいわて」(盛岡市)などが「子ども食堂」を運営する。
学生ボランティアや地元企業などにも、活動の輪が広がっている。
7月下旬、盛岡市本宮の広場で「子ども食堂バーベキューパーティー」が開かれた。
東日本大震災で被災した沿岸部から、内陸部に避難した一人親世帯などを支援する同NPOが企画。
子どもたちや親ら約80人が、スイカ割りやキャッチボールなどをして楽しんだ。
「バーベキューをやってみたい」。子どもや親たちから、そんな声が寄せられていたことから計画した。
同NPO理事長の山屋理恵さんは「お母さん一人だと、キャッチボールしようとは言いづらいですよね。でも(ボランティアで参加してくれた)大学生のお兄さんとなら思い切りできる」という。
同NPOは、子ども食堂を1月から始めた。
月1、2回開かれ、いつも定員を超える約40人が参加する。
活動に賛同する地域住民や地元企業が野菜や果物などの食材を提供してくれ、食卓を彩る。
子ども食堂では、子どもたちが食事をするだけでなく、親同士の交流や相談の場にもなっている。
「入学準備はお金がかかり不安」「制服を譲ってもらえないかな」。
2~3月、子どもの入学を控えた親たちから不安の声が上がり、山屋さんらは盛岡市に相談した。
市の担当者が庁内メールで職員らに制服寄付の協力を呼びかけたところ、多数集まった。
「一つの部署だけでは解決できないことも、民間や地域、行政の両輪で動けば乗り越えられることはある」。
山屋さんは地域の中に、大きな家族のようなつながりや居場所を作り出すことを目指している。
県内では同NPOのほか、別の支援団体も盛岡市内で子ども食堂を開いているという。
しかし、県内の一人親世帯は増えている。
県が調査したところ、県内の一人親世帯数は03年度1万2378世帯、08年度1万3409世帯、13年度1万3546世帯と増加傾向にある。
一方、一人親の就労状況をみると、13年度の調査では「常勤勤労者」は父子世帯71・3%に対し、母子世帯は45・8%にとどまる。
月収をみると、父子家庭で「15万~20万円未満」(43・7%)、母子世帯では「10万~15万円未満」(40・7%)が最も多かった。
厚生労働省の2012年の調査によると、全国の18歳未満の子どもの相対的貧困率は16・3%で過去最悪を更新し、子どもの6人に1人は貧困状態に陥っている。
相対的貧困率とは、国民一人一人の所得を順番に並べ、その中央値の半分に満たない人の割合。
一人親世帯では54・6%で、大人が2人以上いる世帯の12・4%を大きく上回り、厳しい経済状況下に置かれている。
〔2016年9月4日・貧困ネット、◆平成28(2016)年8月20日 毎日新聞 地方版〕