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エンゲルスの学説と扱い

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エンゲルスの学説と扱い

先に、物品の価値はそれを生産するのに必要な社会的平均的な労働時間によるとする労働価値説を紹介しました。
これは『資本論』(第1部・生産過程)で詳しく述べられた点です。
そのうえで日常の生活場面では需要・供給の関係、それには世相や流行や個人的感情や好みが加わって変動すると説明しました。
この二つの面は物品の価値とTPOにより変動する価格が相反するものではないことの論理的な説明になります。
同じことは生産のもう1つの大問題、すなわち人間の生産(家族関係)にも言えることです。
F.エンゲルスは『家族・私有財産・国家の起源』で、家族の形態が、人間の生産力の水準により変化した事情を説明しました。
その際、バッハオーフェンが「母権制」という用語を使い、それが一般化している状況のなかで、「母権制」を便宜上使いました。
エンゲルスのこの著作は1885年発行(一般には1891年改訂版を利用)です。
それ以降130年以上の期間に、特に人類学に多くの発見がありました。
母権制という用語も使用されなくなり、別に母系制という用語も登場し、より多く使用されています。
エンゲルスの家族に関する記述はいくつかのところで通用しません。
それでも家族形態の変化は、その社会の生産力により変化し、近代社会の生産力に見合う今日の一夫一妻制に至っている事情を変えることはありません。
そして、ジェンダー平等が広がる今日において、家族の歴史が変化し始めたという印象を私はもっています。
各国あるいは各民族いろいろな姿をとると思います。
日本においては、夫婦別姓、同性婚などを含む方向に行きますが、それさえも通過点になると推測します。
家族の変化に関して、中国のソン族(スォン族)が母系家族を続けているというエッセイを見ましたので、これにも感想程度を書いてみようと考えています。
他にも多くあります。
エンゲルスは「生命とはタンパク質の存在のしかたである」と、これは『反デューリング論』のなかで書いています。
これもまた同じ色あいを感じます。
「生命とは何か」の定義は、私の知るところでは決着がついていません。
それでも19世紀のエンゲルスのこの表現は否定されません。
ただそれは今日求められる生命論に関しては不十分です。
生命に関する生物科学の研究は発展していますが、エンゲルスのこの表現は否定はされないのです。

1883年に盟友K.マルクスが亡くなり、エンゲルスは盟友の仕事をひきつぎ、多くの貢献をしました。
⑴ 遺稿に基づきマルクス『資本論』の第2部(流通過程)、第3部(総過程)を編集しました。
⑵ マルクスのノート(L.モルガン『古代社会』)をベースに『家族・私有財産・国家の起源』を著しました。
⑶ 原始キリスト教の起源など、キリスト教の発生と普及に関する研究をしました。
⑷ 『共産党宣言』や『フランスにおける階級闘争』などに新たな序文を書き加え、労働者革命が、その時の情勢によるだけではなく、各人の理解に基づく、選挙制度や議会制度により、達成することを論証していきました。

これらの学説が単純に古くなったのではなく私がエンゲルスの信奉者を名乗るのは、学説の方法論の正当性によります。
弁証法的唯物論というものでヘーゲルの観念論的な弁証法に代わるものです。
モノゴトの理解の論理学、認識の仕方は少なくとも現代においてはこれ以上ないと考えるからです。
私はこれに加えて、「目線を低く置く」(最も負荷のかかる人の立場で見る)や「自分なりに経験して楽しみを見つける」の2点を、モノゴト理解のしかたに置いています。

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