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技術革新による生産性向上と雇用減少

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技術革新による生産性向上と雇用減少

近所のスーパーマーケットのうち西友にセルフレジが導入され、今年に入りコモディイイダでもセルフレジになりました。
残るオリンピックもそのうちに変わるものと思います。
人の代わりに機械がレジを担い、8台のレジの近くに1人がレジ担当として立っています。
こうしてレジ会計要員は機械に代わり、人員は減ります。
レジ機の技術的向上(イノベーション)により可能になったわけです。
他方では雇用の受け皿が減少しました。
他の産業分野に人手を回せるかどうかは…です。
イノベーション(技術改革)によって経済が発展する、発展してきたのは事実ですが、それが永続的なものでないことは、雇用減の壁につき当たるからです。
それは社会全体でみれば消費力の減少につながり、経済発展の制約になります。
経済的に発展した国・地域では、すでにこういう事態を迎えています。
しかしこの事態の進行はそのときどきの状況によって、一直線にも進まないで、いろいろな要件によって薄められてきました。
いろいろな要件の1つが、労働時間の短縮です。
私が働き始めた1960年代では基準的には土曜日は半日出勤(つまり週休1日)でした。
それが1960~70年代にかけて週休2日制(土日曜日が休み)になりました。
そして現在一部の国・地域、あるいは事業所単位では週休3日制に向かっています。
イノベーションの進み具合によって労働時間を短縮できる一方で、雇用減少にそのまま直結しないように緩和策が進んでいるともいえます。
技術的進歩(イノベーションの改善)がどこまで進み、労働時間の短縮がどこまで広がり、進むのかは必ずしも明確ではありません。
日本全体をみれば全事業所が一律に進むわけではなく、多くの要素を抱えながら業種や個別企業ごとに徐々に、いろいろな形をとって進んでいくと思われます。
その1つが低賃金、ボーナスなしなどの給与制度です。
昨年来の賃金上昇は、企業間の人材とりあいを反映したものであり、根本的・恒常的なものとはいえません。
技術的進歩は過去から積み重ねられたもので、今始まったわけではありません。
日本では高度経済成長期に意識的に大規模に取り組まれてきました。
その結果、商品・サービスの能率性、あるいは性能は相当に向上しました。
言いかえますと生産性が向上したのです。
生産性が向上すれば何ごともうまくいくかといえば、それは「条件による」というのがより正しい言い方でしょう。
効率のよい条件で高品質の商品を大量に生産できるのが一つの到達点です。
問題はその高品質・低価格の商品が十分に販売されなくてはなりません。
それは市場の拡大によります。国内市場が狭くなれば海外への輸出も求められます。
そして日本は(たぶん他の先進諸国でも)、国内市場はもとより、輸出の面でも十分に余裕のある状態を超えてしまいました。
おおよその評価としては、資本主義に基づくこのような高品生産、サービス提供は、窮屈な状態になってきました。
少なくともこれまでの資本主義ではやっていけない、いまのうちに新しいタイプの資本主義のベースをつくらなくてはならない、それは「新しい資本主義」になる。
このような議論が、20世紀末から起こり、現在もつづいています。
スーパーのレジ機械化の例でだけで、新しい資本主義が求められている論拠とするには十分ではありませんが、身近な例として示したものです。
さて前回私は、資源集約型経済活動から労働集約型経済活動に転換すると述べました。
技術革新による生産性の向上は、資源集約型になります。
それが窮屈になったところで、労働集約型に転換するように意図的にすすむと読めるように書きましたが、この転換は並行して起きています。
しかもほかの要素、例えば人口全体の少子化・高齢化などを織り込んで進行中です。

広井良典『ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来』(岩波新書.2015)ではこの事態を次のように説明しています(p148-149)。
「様々な技術革新が進み、“機械との競争”などと言われるように機械が人間の労働を一部代替する領域も増え、それによって労働生産性が依然として上昇している(=より少ない人手で生産が上げられる)わりには、失業率がさほど極端に上昇していないのはなぜだろうか。
実はその重要な要因として、高齢化などの背景も加わって、まさにこうした「労働集約的」な領域(福祉、教育、医療などの分野や、より広く対人サービスないしソーシャル・サービスの領域)が現代社会において増加し、しかもそれらの領域が「労働集約的」であるがゆえに、相対的に多くの雇用が生まれ、それによって社会全体の失業率の悪化が緩和されているからではないか。
つまり単純に言えば、従来の(労働生産性という)物差しをそのまま当てはめれば、“生産性が低い”領域によって、ある意味で社会全体が救われていることになる。
実際、北欧など福祉・教育等の分野——「ケア」ないしソーシャル・サービス関連分野と呼ぶことができる——
に多くの資源を公共的な政策として配分している国において、経済のパフォーマンスも概して高いのは、以上のような背景と関係していると思われる」
たどってきた道を振り返ればこのようになるのでしょうが、ここにこれからの意図的・計画的に進む道が開かれている、と思います。

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