雑談の予約を受け付け
2023年11月10日 (金) 22:10時点における最新版
雑談の予約を受け付け
■よりそう力
身近な地域で「ゆるやかに」あなたを受け止める「まちの保健室」と、あなたの困りごとを「たらい回し」にしない仕組みが名張にはあります。
◇生きづらさを抱える人の状態はさまざま
学校にいても、仕事をしていても、人の輪の中にいても、孤独や孤立を感じることはありませんか。
社会とのつながりがあっても、生きづらさや人とのつながりにくさを感じている人もいて、「外ごもり」と呼ばれることもあります。
生きづらさを抱える人の状態、そこに至る経緯、要因はさまざま。
それだけに、「自分にはこんな支援が必要」「この場合だと、ここに相談すればいい」と、自分の状況を把握し、的確に対応することはすごく難しいことです。
そこで、「まちの保健室」は、雑談や世間話なども含め、皆さんにとって「とりあえず話を聴いてもらえる場所」でありたいと考えています。
話を聴くのは、看護師や介護福祉士などの専門職です。
話の中から、その人の状態を観察し、必要な場合は、病院や福祉施設などの専門機関、地域の支援などに結び付けています。
◇困りごとを「たらい回し」にしない仕組み
大切なのは、多様で複雑、また、制度のはざまにある困りごとを「たらい回し」にしないこと。
市では、高齢、障害、児童、困窮、保健、教育の各分野で「エリアディレクター」(調整役)を置き、市の各部署や専門機関の支援を調整。
また、孤立しがちな人に伴走し、地域での自分らしい生き方を支援する「リンクワーカー」の取組を進めながら、関連機関が一人ひとりに寄り添える仕組みを築いています。
地域の総合相談窓口として、まちの保健室を市内15地域に設置しています。
育児や介護の相談、健康づくり、高齢者などの見守り・訪問などを行い、地域や専門機関などとも連携。
皆さんに寄り添いながら、一人ひとりの歩みをサポートしています。
詳しくは、地域包括支援センター(【電話】63-7833)へ
■まちの保健室では「雑談」も受け付けています
ひきこもりや不登校など孤独・孤立の状況にある人も含め、まちの保健室を活用したことのない人に、その活動をアピールしていこうと、ホームページをリニューアルしたり、ロゴマーク(右上)を作成したりしました。
ロゴマークの中にある「最近、どぉ~?」という言葉は、まちの保健室のキャッチフレーズ。
雑談で会話を広げ、普段の様子や変化を知る手掛かりにしたいという思いを込めています。
生きづらさを抱えている皆さん、地域の活動や、行政・専門職の支援など、あなたらしさを大切にできる「つながり」を一緒に見つけていきませんか。
一人ひとりのペースに合わせて伴走しながらサポートします。
まちの保健室のホームページでは、おそらく全国初となる「雑談の予約」を受け付けていますが、敷居をできるだけ低~く、間口を広~くして、皆さんをお待ちしています。
地域包括支援センター
全世代包括支援係長 上田紀子
■多様で複雑な困りごとに寄り添える連携体制
80代の親が50代の子どもの生活を支える「8050問題」といった複雑な困りごとをはじめ、ひきこもりや不登校などの定義、また、介護や障害者などの福祉制度に当てはまらず“はざま”にあるような困りごとにも寄り添える包括的な連携体制を市では築いています。
◇100 人100 様で複雑に絡みあう課題
ひきこもり|不登校|ヤングケアラー|いじめ|非行|児童虐待| DV |性自認
人間関係|パワハラ|セクハラ|失業|ごみ屋敷|生活困窮| 8050 問題|認知症|介護|難病|依存症 …
■複雑な事情を抱える人を多機関連携で支えます
祖母が要介護状態で、母親は精神疾患があり、子どもは発達障害がある。そんな3人家族がいました。
その子は、祖母の介護もしなければならず不登校で、祖母の年金を頼りに生活していました。
そんな状況なのに、学校が不登校だけを何とかしようとしても、解決できませんよね。
そこで、市役所のエリアディレクター同士で話し合い、例えばこの家庭については、子どもは、子ども発達支援センターや発達外来、祖母は地域包括支援センター、母親は障害福祉室、また、困窮状態にあるので、生活支援室にもつなぎました。
ただ、家庭の状況は、あまり知られたくないデリケートな問題であり、積極的にSOSの声を上げようとしない人が多いのも事実。
そうしたことからも、各機関で知り得た複雑な課題を見過ごさず、多機関で連携できる体制を築いておくことが大切なのです。
市教育委員会
エリアディレクター 西口成貴
■まち保利用者の声
・ひきこもりの息子の存在を知ってもらっているだけで私が心強いです(80 代女性)
・育児・介護のダブルケア、どちらのことも聞いてもらえてありがたかったです(40代女性)
・用事のついでに立ち寄ったのですが、気づいたら、弱音も吐き出しているほど話し込んでいました(30代男性)
・まち保さんに丁寧に対応してもらったことで、次は自分も困っている人の手助けをしたいと自然に思えるようになりました(30女性)
・まちの保健室で話をしたことで、気持ちの整理ができて家族や学校でも思いを伝えられるようになりました(10代男性)
・育児をするのは当たり前だと、褒(ほ)められることなんてなかった…。まち保さんに褒めてもらったとき、涙が出るくらい嬉しかった(20代女性)
〔広報なばり 令和5年10月10日号〕