「きょうだい児」について
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2023年7月26日 (水) 09:40時点における版
「きょうだい児」について
(会報「ひきこもり居場所だより」2023年6月号)
「きょうだい児」という言葉を知っていますか?
きょうだいに重い病気や障害を抱えた子がいる子たちのことを指してこういいます。
近ごろ、やっとこの「きょうだい児」の問題が取りざたされるようになってきました。
過去にかかわった不登校の子どもたちの中にも「きょうだい児」はいました。
今回はこの「きょうだい児」という視点で考えてみたいと思います。
両親の関心がどうしても自分以外の「きょうだい」側に集中しがちで、小さい時は親に甘えられずに親代わりのヤングケアラーとなる子も少なからずいるようです。
大人になってからもいろいろな問題が彼らに降りかかることもあります。
一般的に子どもたちが親から望むような愛情を得られない寂しさを抱えたままでいると、以下のような反応をすると言われています。
ヒーロー:優等生であり家族の誇りとなるような行動をとることで自分の存在価値を得ようと頑張るタイプであり、疲れていても休めない、完璧にできない自分を責めるといった傾向がある。
身代わり:家でも学校でも何かとトラブルを起こすことで、家族の中にある葛藤や緊張から目をそらさせる役割をしているタイプであり、内面にある寂しさやつらさを誰にも言えずに行動にあらわす傾向がある。
いなくなった子:ほめられるわけでも問題を起こすわけでもなく、目立たずに存在を忘れられたかのようにしているタイプで、目立たずにいることで自分が傷つくことから身を守っているものの、孤独感を強める傾向がある。
道化師:おどけた態度やしぐさで家族の緊張を和らげ、場を和ませる役割をするタイプで、自分の辛さをはっきり言葉にすることができない傾向がある。
世話役:小さい時から親の面倒をみたり、愚痴や相談を聞いたりカウンセラーのような役割を果たし、妹や弟の保護者役になるタイプで、自分のことはいつも後回しにしているため自分の感情やしたいことがわからなくなる傾向がある。
またそのほか、周囲の「障害者のきょうだいだからしっかりしている」という褒め言葉が、時には重圧になったり、自分の気持ちがわからず、いつも相手の望むことを先回りして考えてしまう癖があり苦しい思いを抱える人もいます。
子どもの頃我慢し、大人のように振る舞っていたので、そのガタが少しずつ出始め、大人になってから生きづらくなってしまった。
以上マイナスの面をあげましたが、当然それだけではありませんね。
家族のきずなが強くなったとか、弱い人に対する思いやりの心が育ったり、その経験から医学の道に進んだという人もいたりとプラスの面もあります。
先日の親の会でも弟が小さいころ病気だったので薬剤師を目指したというお姉ちゃんの話が出ました。
それぞれの状況は変わりますが・・・・・
「きょうだい児」が自分に与えられた境遇を負担に思わないためには親が孤軍奮闘してしまわないことがまず必要なのではないでしょうか。
家庭に与えられたそれぞれの状況の中で、親だけ、家族だけで解決できるものは本当に少ないと感じています。
それぞれの家庭が孤立せず、援助の手が届くようになっていかないとこの「きょうだい児」の問題だけでなく、「不登校」や「ひきこもり」の問題もなかなか明るい未来が見えないのではないでしょうか。