ひゅうまん通信 ひきこもりを考える
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2023年5月26日 (金) 23:30時点における最新版
ひゅうまん通信 ひきこもりを考える
■ひきこもりを考える~私がひきこもりを選んだ理由~
「けがや病気、妊娠以外のさまざまな要因で、おおむね6カ月以上社会的参加(就学・就労・交遊)を回避している状態」を“ひきこもり”といいます。
豊中市では、15歳~39歳の約2,500人がひきこもり状態にあるとされています。(平成28 年(2016)調査)
今回はひきこもりを経験した元当事者の話から、どんな生きづらさや思いを抱えているのかを知り、ひきこもりについて考えてみましょう。
◆人間不信からひきこもりへ
「日常生活でのストレスへの対処法として、遊びに出掛けたり、買い物をしたりするように、私は“ひきこもり”を選んだのです」と話すのは、これまでひきこもりを二度経験した泉翔さん(30歳、上新田)。
「一度めは中学生のとき。中学受験に失敗し、希望していなかった中学校に進学しました。
そんな落胆している時期に、生徒によって対応を変える教師を見て人と関わるのが嫌になり、不登校になりました。
私の不登校が原因で両親が言い争うようになると、つらくて家にも居づらくなり、ゲームセンターや図書館などで過ごしていました」。
そのまま中学校に復帰できず3年が過ぎ、通信制の高校に進学。
予備校にも通い、そこで似た境遇の友人と出会ったのです。
「友人宅には、親や周囲との人間関係がうまくいかず、生きづらさを感じている仲間が自然と集まっていました。
私も時間があれば訪れ、互いの気持ちを話しているうちに心が楽になり、気がつくとひきこもりではなくなっていました」。
その後、泉さんは大学に入学。予備校で出会った友人たちとルームシェアを始めました。
「私のように、誰かと気持ちを共感することで心が楽になれたらと、みんなで鍋を食べる会を始めました。
誰でも参加しやすいように出入りは自由。すると人づてに参加者が増えていきました」。
泉さんは居場所づくりの大切さを実感しながら大学生活を過ごしていました。
◆再びひきこもりに
そんな中、就職活動を機に将来に不安を感じるように。
「自分には何ができるのか悩んでいました。興味を持ったのは農業。
大学を休学し、約6カ月間住み込みの農業体験をするため北海道の富良野を訪れました。
広い畑で土に触れながら働いていると、心のつらさは次第に軽くなっていきました」。
しかし、農業体験を終えて大学に復学すると友人たちの状況は大きく変わっていました。
「友人たちは就職活動を進め、就職先が決まった人もいました。
就職先が決まっていない私は、周囲から取り残されたように感じ、居づらくなりました。
自分の部屋に閉じこもることが増え、二度めのひきこもりに。
誰かに見張られ、外出すれば捕まってしまうのではないかと妄想し、恐怖で動けませんでした。
誰かと連絡を取ることもできず、遮光カーテンを閉めた暗い部屋で昼夜お酒を飲み、本を読んでいました。
泥酔していないと眠ることも買い物に出ることも怖くてできず、とてもつらい時期でした」。
◆ひきこもりの経験から
「私の異変に友人が気付き、度々部屋を訪れてくれましたが、どうしても応えることができませんでした。
ひきこもりは長期化すると周囲の人間関係を壊してしまうのですが、その友人は根気よく関わりを持ち続けてくれました」。
転機が訪れたのはひきこもりになって約3年後。
その友人に、泉さんが熟読していた本の著者のイベントに誘われたことでした。
「その著者が『どんな状況でも、社会にあなたという人間は必要だ』と話す言葉に胸を打たれました。
当時、生きる意味を求めて苦しんでいた私は、そのヒントを見つけたようでした。」もっと著者と関わりたい。
そう感じた泉さんは著者が主催する社会貢献活動にボランティアとして参加。
少しずつ生活リズムを取り戻しながら、ひきこもりから回復しました。
ボランティア活動を通して、ひきこもりを経験した人たち同士が共感できる場所を作りたいと強く思うようになった泉さん。
予備校時代の仲間と共に平成26年(2014)にNPO 法人「ウィークタイ」を設立しました。
学生時代と同じように、当事者が自由に出入りし、時間や場所を共有しながら、調理や食事を楽しむ「もぐもぐ集会」(下記)を庄内公民館(三和町)で開催。
現在は千里文化センター「コラボ」(新千里東町)に場所を変え、同集会を続けています。
また、ひきこもりの子どもがいる家族や支援をする人たちに向けて講演活動も始めました。
◆周囲の人ができること
「講演会で体験談を話すようになってから、ひきこもりの子どもがいる保護者に『どうすれば社会復帰できますか』と聞かれることがあります」。
\泉さんは決まってあるひきこもり経験者の話をするそうです。
「母親はとても心配してくれましたが、将来のことばかり。未来の心配よりも現在の自分の話を聞いて、抱きしめてほしかった」と。
「もし、身近にひきこもりを選んだ人がいたら、どうか焦らず、話を聞いて心に寄り添ってください。
ひきこもり経験者は社会復帰しても不安や孤独に陥りやすい傾向にあります。
私のように何度も繰り返してしまう人もいます。
そうせざるを得ない理由も回復するきっかけも人それぞれ。ただ『楽しんでひきこもりをしている人』は一人もいません。
その人自身と向き合い、見守ってほしいです」と泉さんは語ります。
写真キャプション:
もぐもぐ集会では、ひきこもり経験者が集まり、料理を作ったり食べたりしながら一緒に過ごします
〔広報とよなか 2017年(平成29年)11月号〕