フリーター・ニートという言葉の意味するもの
2021年5月5日 (水) 13:17時点における最新版
フリーター・ニートという言葉の意味するもの
会報『ひきこもり居場所だより』2021年5月号
まずはひきこもり国語辞典(時事通信社 松田武己監修)の「ニート」を引用します。
ニート
「若年無業者」を指します。
ひきこもりといわれているうちはなんとなく優しく見られていました。
それがニートと言われはじめて空気が冷たくなったのは「働けるのに働かない人」と理解されているからです。
それで就労させる方向に圧力が強まり、逆にひきこもり対策を空回りさせたのです。
とあります。
「フリーター」の項目がなかったのですが、この「ニート」の項目はそう呼ばれる人たちの現状の多くを語っているものだと感じます。
確かに個人の「問題のある人」を就労させる方向に「圧力」が強まっている感じがしますね。
一方「フリーター」という言葉は1987年にリクルートのアルバイト情報誌「フロム・エー」で自由を愛するとか夢を追い求めるとして自らアルバイトとしての就業をする若者をイメージした言葉として使われ始めたそうです。
今にして思うとこの言葉を流行らせたこと自体何か戦略的匂いがしますね。
ところが2000年代前半のころからはすでに白書の中で非正規雇用の若者を「フリーター」、無職の若者を「ニート」という言葉で表し、当時の特性としての若者たちの『勤労意欲の低下と職業観・労働観の未熟さ』のため若者の雇用の問題が社会問題化しているというスタンスで取り上げられてきています。
若者の(当時は15歳~34歳)自己責任の問題としてこの辺りからメディアの報道とも相まって世間の風当たりも強くなり対策を求められるようになってきます。
そういった『勤労意欲の低い職業観・労働観の未熟な若者』、正規雇用の仕事についていない若者の為にスキルを身に着けさせるための教育として働く意欲を高めようという「キャリア教育」が始まりました。
「ジョブカフエ」や「若者サポートステーション」などの取り組みも始まりましたが、あまり成果をあげないまま今に至っています。
このスタンス自体が間違っているからではないでしょうか?
果たして当時の若者の個人の資質の問題なのでしょうか?
個人個人を何とかすることでこの問題は解決するのでしょうか?
そんなことをしているうちにその元若者も年を取っていき親の年金で生活を立てざるを得ない「8050問題」「7040問題」などと呼ばれ社会問題化してきています。
その後幅広い年齢層で不安定な雇用に追いやられていく人たちが増え、「ワーキングプア」や「ブラック企業」といった言葉が取りざたされるようになり、成果主義がますます進んできています。
働く環境はますます厳しくなってきています。
最近になって政府もやっと就職氷河期への就職支援として40代の募集を後押しするようになってきました。
しかしなんと、すでにあれから30年もの月日が経っているのです!