香川県西部子ども女性相談センター
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2021年2月25日 (木) 19:52時点における版
香川県西部子ども女性相談センター
所在地 | 香川県善通寺市 |
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香川の明日:現場から 2018知事選/3 児童虐待 命守れ、児相の改善模索/香川
そのアパートは善通寺市内の住宅街に今もたたずんでいる。
両親から虐待を受け、東京都目黒区で今年3月に亡くなった船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が1月まで暮らしていた住居だ。
近くに住む女性(67)は「かわいそうに……。何とか助けられる方法はなかったのか」と声を落とした。
「もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがいゆるしてゆるしてください」
結愛ちゃんがノートに書き残していた文章は人々の心を揺さぶった。
女性もその一人で、アパートの前で水遊びをする結愛ちゃんの姿を覚えている。
時には父の雄大被告=保護責任者遺棄致死罪などで起訴=と一緒だったといい、虐待されているとは気づかなかった。
「もう悲しい事件が起きないようにしてほしい」。女性は祈るように語った。
県内2カ所の児童相談所(児相)が対応する虐待件数は増え続けている。
県子ども家庭課によると、2017年度は1181件(前年度比222件増)と初めて1000件を突破。
死亡に至る例はなかったが、10年前の約2・5倍に達した。
背景には、虐待への社会的関心の高まりがあるとみられる。
その分、児相の負担も増している。
「365日、24時間体制で対応し、夜間や休日の出勤もある。現場の職員が足りない」。
結愛ちゃんの件にも関わった「西部子ども相談センター」の久利文代所長は言う。
事案が増えれば、保護者との面接や関係機関への連絡、児相内での協議などの業務も膨れ上がるためだ。
2カ所の児相職員は昨年4月現在で92人。
県は今年4月までの10年間で計20人増やしたが、虐待件数の伸びには追いついておらず、現場に負担軽減の実感は乏しい。
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悲惨な事件をいかに防ぐか。
結愛ちゃんの一件では、香川県の児相と東京都の品川児相との連携が不十分だったと指摘されている。
香川側は結愛ちゃんの両親が転居先の住所を明かさなかったことからリスクが高まったと判断。
こうした事実を品川児相に文書と電話で伝えたが、香川の児相が指導措置を解除していたため両者で危機感は共有されなかった。
結愛ちゃんの死を受け、政府は児童福祉司の増員や子どもの安全確認の徹底を柱とした緊急対策をまとめた。
そして県は今、弁護士ら専門家5人で構成する第三者委員会を設け、児相の対応が適切だったかを検証している。
痛ましい児童虐待を繰り返さないために児相はどうするべきなのか―。県が出す答えや実効性の有無を、多くの人が注視している。
〔◆平成30(2018)年8月16日 毎日新聞 地方版【岩崎邦宏】〕