小売店「楽笑」
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2020年11月12日 (木) 14:14時点における版
小売店「楽笑」
所在地 | 鹿児島県奄美市名瀬佐大熊町 |
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困難抱える若者の就業支援 奄美市の原田さん ネットで資金募る
支援を呼び掛ける原田さん=7日、奄美市名瀬
「不登校を経験した子に社会とつながる就業の場を」―。
鹿児島県奄美市名瀬の原田さおりさんは5日、インターネットを活用して支援金を募るクラウドファンディングを開始した。
困難を抱える若者たちの雇用創出で地域の居場所づくりを目指す。
原田さんは「働く意欲が高くてもさまざまな理由で就職が難しい人たちがいる。
奄美の若者たちへ力を貸してほしい」と協力を呼び掛けている。
原田さんは元スクールソーシャルワーカー。
不登校の子どもとその家族らを支援する中で、家庭内では解決が難しい問題や、それを本人や家族の責任として切り捨てる社会の在り方に疑問を持っていた。
中でも義務教育の中学校を卒業後に行き場がなくなった子どもたちの居場所づくりが急務として、今年4月に奄美市名瀬に小売店「楽笑(らくしょう)」をオープン。
店では不登校を経験した女性を含め4人が働く。
同店は9月から弁当製造部門を拡充し、元不登校の若者など新たに3~5人を雇用する予定。
既に奄美市内の事業所から弁当販売契約の内定を受けており、支援金は製造施設の整備や不登校児支援などに充てる。
原田さんは「子どもたちには社会とつながりを持つ場が必要。
働くことを通して地域に心の拠点を持ち、いつか別の誰かを支える存在になれるよう手助けしたい」と思いを語った。
クラウドファンディングの目標額は100万円。締め切りは8月31日。
プロジェクトの詳細はウェブサイト「レディーフォー」で閲覧できる。
奄美の南海日日新聞
〔2019年8/9(金) 南海日日新聞 奄美の南海日日新聞〕
出会い紡ぐ小さな商店 元不登校の若者も担い手 奄美市名瀬
店の窓から住民へ声を掛ける原田さん=12日、鹿児島県奄美市名瀬
元スクールソーシャルワーカー(SSW)の原田さおりさん(47)が経営する小売店「楽笑(らくしょう)」が1日、鹿児島県奄美市名瀬の佐大熊町にオープンした。
従業員の女性Aさん(15)は不登校経験者で、この春市内の中学校を卒業したばかり。
店では商品の配達を通して、買い物に行けない高齢者の生活を支えている。
「地域に居場所を見つけ、いつか次の誰かを導く存在に」―。そんな願いを込め、原田さんは一人の若者の奮闘を見守っている。
原田さんはさまざまな事情を抱えた子どもと家族へ支援を行うSSWとして、2014年度から5年間、奄美市内の小学校に勤務。
その傍ら、休日はボランティアで近隣の児童生徒の学習支援を行ってきた。
「せっかく縁がつながっても卒業後に切れてしまう。支援が必要な人をそのままにしていていいのか」―。
仕事や活動を通し、校区や学年の枠を超えた支援の必要性を感じていたという。
Aさんには学校など特定の場所や状況で声を出して話すことができなくなる「場面緘黙(かんもく)」という症状がある。
学校へはほとんど通わず、市のふれあい教室(適応指導教室)を利用していた。
進路に悩んでいた頃、ふれあい教室で知り合った原田さんから「店を開くので手伝ってもらえないか」と声が掛かった。
現在は母親と共に、週3回程度のペースで働いている。
商店がある場所は市営団地や民家が連なる住宅密集地。
店内には日用品や文房具、生鮮食品のほか、弁当やパン、店内で作る揚げ物などの総菜が並ぶ。
12日、Aさんは原田さんに連れられて近所の高齢者宅へ配達に出掛けた。
弁当を手渡した女性から「ありがとう」と感謝され、手を握られると、はにかんだような笑顔が浮かんだ。
店に出て客と話すことで、Aさんに笑顔が増えたという。
母親は娘へ「今まで自分の気持ちを発することができず心配もあったが、表情が明るくなった。頑張ってほしい」とエールを送った。
Aさんは「仕事ではいろんなことを経験できる。楽しいし、やりがいもある」と意気込む。
一番うれしいのは勤務後に手渡される給料。「お金をためて、自分専用のスマートフォンがほしい」と励んでいる。
店は通学路に面しており、原田さんは大きな窓から道行く住民や児童生徒へ声を掛ける。
窓に備えたカウンターテーブルにはお年寄りがひと休みに訪れ、放課後になると小学生や中高生でにぎわう。
店舗3階の自宅では小・中・高校生への学習支援も行っている。
原田さんは、Aさんの存在があることで不登校の子どもへの理解が広がるとともに、同じ悩みを抱える児童生徒にとっては生き方のヒントになると考えている。
今後も地域の中に若者たちが働く場所を増やしていきたいという。
「ここで自信をつけて、勉強したくなったら進学すればいい。もっと稼ぎたいと思ったら転職してもいい。次のステップに進む足掛かりにしてほしい」と原田さん。
小さな商店が、人と地域を糸のように結び付け、社会へと紡ぐ新しい拠点になりそうだ。
〔2019年4/17(水) 南海日日新聞 奄美の南海日日新聞〕