久留米市社会福祉協議会
2020年11月11日 (水) 14:03時点における版
所在地 | 福岡県久留米市 |
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ページ名 久留米市社会福祉協議会 福岡県久留米市 (社会福祉協議会・福岡県、)
子どもの近未来の姿を見る
中島さんには考えがありました。
「学校に行かなくなったから『じゃあフリースクール』とはいきません。
接点の持ち方が大事。カフェなら遊びに行くくらいに思える。
そして、ここにフリースクールの卒業生が居る。
行き詰まり、悩みを抱え込んだ親子にとって、近い将来の姿を重ねる存在になると思うんです。
カフェで、子どもたちはだんだん表情が明るくなり、今も良い関係が続いています」。
さらに、カフェがあるのは高齢者施設。「子どもが居ると高齢者はうれしい。
お守り役には困りません。保護者も安心して働けるし、カフェのお客さんも増えますし」。
子育て世代の力を最大限に
中島さんは、カフェを使って、働きたい母親の就業支援に取り組む団体「ままごと」と連携した取り組みも進めています。
「あるWEBプログラミング会社の社長は人材が足りないと言っていた。一方で働きたいけど働けない子育て中の人が居ます」。
そこで講座の場を提供しようと発案。
会社は仕事に必要なプログラミングの知識を、仕事をしたい母親に教えます。
「ここで欠かせないのは子守役。お昼に時間が取れる生徒に、講座の時の子守役として関わってもらいました。
若者はママたちよりもITに強い。学習の伴走役も果たしてくれています」と説明します。
知識を得ても仕事ができないと意味がありません。そこで着目したのが施設内の談話室。
施設の協力で、コワーキングスペース(共同仕事場)の設置を計画。
親子で出勤し、互いに面倒を見たり、入居者に子守をしてもらったりする予定です。
混じり合う場をつくる
自分が役立つ場所が誰にもあることを知って欲しいと言う中島さん。
「高齢者も子育て世代もフリースクールの生徒も地域の戦力。支える人と支えられる人の区別はありません。
課題を分野や立場で分けず、いろんな人が活躍できる『新しい居場所』をつくる。それが幾つもの課題解決につながっていると思います」。
未来学舎のマークは笑顔を囲む無数の手のひら。手の大きさがまちまちなのは、関わる人の年齢や立場、力、関わり度合いの大小を表しています。
「どんな関わりでもいい。なるべく多くの人が関わるのが大事で、それで笑顔が守られると信じています。僕はとにかく混じり合う場を増やしたい」。
世代や背景を超えて混じり、相互に役割を持つ「地域課題の解決力強化」。
地域共生社会を実現する大切なポイントです。
幅広い人々と触れ合う喜び
通信制高校を卒業後、未来学舎で過ごしていた時、代表に声を掛けてもらい、突然働くことに。
最初は戸惑ったけど、人との関わりがすごく楽しい。お客さんは2歳から90歳代まで。
子どもたちと遊んだり、入居者にスマホやタブレットを教えたり。ここまで幅広い年代と関わる場はありません。
カフェをもっと楽しみにしてもらえるよう、頑張ります。
「地域」と「活動」つないで解決
地域の支え合いを考える場が各校区に立ち上がっています。
校区ならではの課題解決には、「地域軸」と「活動軸」の異なる立場の人々の混ざり合いが重要です。
「深掘りしないと地域課題の根本は見えない」。
生活支援コーディネーターの荒木裕太さんが経験を語ります。
支え合い推進会議36校区で
住民や活動団体が、買い物やごみ出し、日常の移動支援など、地域の困り事を把握し、すでにある支え合いを見える化するなど、地域について話し合う「支え合い推進会議」。
市内36校区で立ち上がっています。
運営のサポート役は、市社会福祉協議会職員の「生活支援コーディネーター」。現在11人が活動しています。
市南部を担当する荒木さんは、校区単位で活動する理由を次のように説明します。
「ほとんどの校区で課題認識されていることに『つながりの希薄化』があります。
でも深く掘り下げると、地域の環境や歴史的な背景によって課題の本質が違うんです。
例えば、新築マンションが多く、出入りが多い地域と、大規模な宅地開発などで、同世代が同時期に流入した地域では、つながりのつくり方も全く違います。
原因をしっかり分析し、そこなりのやり方を考える必要があるんです」。
課題と解決の力をつなぐ
荒木さんは住民を「地域のプロ」と感じています。
「住民の皆さんが感じている課題こそ本物。私たちは、一緒に悩み、お手伝いをするんです」。
地域のプロとはいえ、必ずしも解決の手段を持ってはいません。
一方、いろんな市民活動団体があり、地域には活動に関わっている人も居ます。
そういった人たちと一緒に考えることで、解決の糸口が見えてきます。
「子ども会が無くなる校区も増え、住民同士の接点は年々減っています。
課題を把握している人々と、解決の糸口を知り、それを担える人材とが結びついていないケースも多い。
『地域』を考える校区住民と、『活動』を担う団体や関係者の連携を促すのも、私たちの仕事です」。
制度のはざまに横串を通す
生活支援コーディネーターは個別支援も行います。
荒木さんは「世帯丸ごと支援」を大切に、日々活動します。
「例えば、障害のある子どもには福祉制度や、支援機関のサポートがある。
一方、保護者が仕事や近所付き合いの時間が取れないなど、困り事があったとして、そこへの支援はほぼ無いんです。
制度はある程度縦割りにならざるを得ない。
だからこそ、分野にとらわれない私たちが、制度に横串を通して、世帯全体の困り事を減らしていきたいんです」。
荒木さんは、校区の役員や民生委員・児童委員、時には近所の人など、あらゆる人と共にその人に寄り添う。
制度のはざまで苦しむ人を生みたくない。荒木さんたちの切なる思いです。
問い合わせ先:広報戦略課
電話:0942-30-9119
FAX:0942-30-9702
〔広報くるめ 令和元年11月15日号〕