こだわりと頑固
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2019年9月27日 (金) 11:01時点における版
こだわりと頑固
その取り組みは「こだわり」か、それともただ「頑固」なだけか?
例えば、こだわりの店、こだわりの品などと言えば、何か良い意味で特別な感じがすると思います。
私はいろいろな経営者の方々とお付き合いしますが、「経営へのこだわり」「事業へのこだわり」「社員へのこだわり」など、ご自身の強い思いを語られることがたびたびあります。
尊敬できる立派な考えで、共感することが本当に多々ありますが、その一方で、必ずしもプラスに働くとは思えない「自分の趣味」「わがまま」「ただの好き嫌い」を言っているだけ、
どちらかといえば、ただ「頑固」なことを表明しているだけと思うことも、正直言ってあります。
それぞれの言葉を調べてみると、こんな説明がされていました。
「こだわる」
1.ちょっとしたことを必要以上に気にする。気持ちがとらわれる。拘泥 (こうでい) する。
2.物事に妥協せず、とことん追求する。
3.難癖をつける。けちをつける。
「頑固」
1.かたくなで、なかなか自分の態度や考えを改めようとしないこと。また、そのさま。
2.取りついて容易に離れようとしないこと。また、そのさま。
こう見ると、肯定的に感じる「こだわり」という言葉も、どうも「妥協せずに追及する」ということ以外は、あまり良い意味ではないように思えます。
また、「頑固」という言葉も、「頑固おやじの店」「頑固な職人」などと言われれば、必ずしも悪い意味ではありませんから、どちらが良くてどちらが悪いというものでもなく、
本来の意味にはそれほど違いがないのかもしれません。
ただ、「こだわり」はどちらかと言えばよい意味で使われることが多く、「頑固」はどちらかと言えば悪い意味で言われがちです。
これは、同じような言動や行動であっても、周りから見るとまったく逆の受け止め方になってしまうということでしょう。
この違いをいろいろ考えてみましたが、私が一番思うのは、「聞く耳があるかないか」「独りよがりであるかないか」という点にあるのではないかということでした。
多くの人の話を聞きながら、自分の価値観と合わせて組み立てたものであれば、それは他人から共感を得られやすいものであり、そういうものが「こだわり」と言われるようです。
逆に、自分の思いだけを一方的に語り、合わないものを排除するような態度であったとすれば、それは他人からは共感されづらく、「頑固」という表現になってしまうのではないでしょうか。
仕事をしていく上では、たぶん「こだわり」も「頑固」もどちらも必要でしょう。ただ、共感する人や賛同する人が多いということでは、「こだわり」の方が、より実現しやすいと思います。
それぞれの間は紙一重であり、ただの「頑固」を共感される「こだわり」に変えるのは、ほんのちょっとした心がけの違いだけではないかと思います。
私自身も、自分の思っている「こだわり」が、実はただ「頑固」になっているだけではないかを、あらためて考えてみる必要がありそうです。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となりま。
〔財経新聞(小笠原隆夫) 2017年6月16日〕