教育機会確保法
3行: | 3行: | ||
==教育機会確保法== | ==教育機会確保法== | ||
− | + | '''教育機会確保法施行1年 不登校の現場どう変わったか'''<br> | |
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | 教育機会確保法施行1年 不登校の現場どう変わったか<br> | + | |
関係者が集まる文科省の会議で発言するフリースクールの関係者 <br> | 関係者が集まる文科省の会議で発言するフリースクールの関係者 <br> | ||
新学期がスタートし、「学校に行きたくない」「学校に行けない」という思いを抱え始める子どもが出てくる4月。<br> | 新学期がスタートし、「学校に行きたくない」「学校に行けない」という思いを抱え始める子どもが出てくる4月。<br> | ||
314行: | 295行: | ||
[[Category:教育新聞|きょういくきかいかくほほう]] | [[Category:教育新聞|きょういくきかいかくほほう]] | ||
[[Category:京都新聞|きょういくきかいかくほほう]] | [[Category:京都新聞|きょういくきかいかくほほう]] | ||
− | [[Category: | + | [[Category:THE PAGE|きょういくきかいかくほほう]] |
[[Category:しんぶん赤旗|きょういくきかいかくほほう]] | [[Category:しんぶん赤旗|きょういくきかいかくほほう]] |
2018年4月25日 (水) 17:50時点における版
教育機会確保法
教育機会確保法施行1年 不登校の現場どう変わったか
関係者が集まる文科省の会議で発言するフリースクールの関係者
新学期がスタートし、「学校に行きたくない」「学校に行けない」という思いを抱え始める子どもが出てくる4月。
どうしても学校に行けない子どもに対し、「休んでもよい」と認めた法律「教育機会確保法」ができて、2年目となる今、現場はどう変わったのか。
不登校の子どもを受け入れるフリースクールの運営などを担う支援者からは「行政との連携が生まれた」など評価する声がある一方「まだ法律が浸透していない」との指摘も上がっている。
「子どもがのびのびしだした」評価する声も
今年3月末、法律の施行後初めて、フリースクール(不登校の子どもが学んでいる民間施設)や不登校支援にかかわる専門家が文部科学省に集まって、現状を報告する会議が開催された。
大阪で不登校の子どもたちの居場所作りなどを行っているNPO法人「トイボックス」の白井智子代表理事は「(教育機会確保法ができて)子どもが本当にのびのびしだした。
自分たちが悪いんじゃないんだと(子どもに)響いている」と報告。
不登校を研究テーマとしている伊藤美奈子・奈良女子大教授(教育臨床心理学)も「フリースクールと(教育委員会が運営する)適応指導教室が一緒に不登校に関する講演会を企画するといった動きがあった。
今まではそういうのがなかった。講演会に参加したが、(民間と教委の)双方が理解し合えたのでは」などと発言した。
教育機会確保法施行1年 不登校の現場どう変わったか
教育機会確保法とは、不登校の小中学生が、学校以外の場でも学べる機会を確保するため、施策を講じることを国や自治体の責務とした議員立法。
昨年2月に施行された。つらいときは学校を休んでもよいと「休養の必要性」を明記し、フリースクールなど学校外で行われる学習活動の重要性を認めている。
また、国や自治体が民間のフリースクールなどと連携して支援するよう求めた。
この法律が新たにできた背景には、不登校の子どもたちが減らないという現状がある。
文科省の2016年度の調査では、小中学校で不登校となっている子どもの数は13万3683人で前年度より増加した。
1997年度以降、不登校の子どもたちの数が10万人を下回ったことはない。
こういった子どもたちを支えるため、不登校の子どもたちが学ぶ民間のフリースクールや、教育委員会が運営する「適応指導教室」などが各地に設置されてきた。
また、自宅で学習する「ホームスクーリング」を選択するケースもあり、「学校以外」で学ぶ子どもたちを支援するために法律が整備されたのだ。
法律の成立を受け、新しい学習指導要領には初めて「不登校児童への配慮」が盛り込まれ、小学校の学習指導要領の解説には以下のように記述された。
「不登校児童については、(中略)登校という結果のみを目標にするのではなく、児童や保護者の意思を十分に尊重しつつ、児童が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」
「不登校を未然防止」という言い方は…、課題を指摘する人も
法律ができ、「不登校は問題行動ではない」という裏づけができた一方、3月末の会議では、こんな意見も聞かれた。
「法律ができたが、現実は周知が行き届いてない。現場の先生や教育委員会があまりご存じなく、そこに課題がある。旧態依然だなと思うこともある」「たとえば、不登校の未然防止という言葉が、いまだに使われている。悪い意味では使っていないと思うが、やっぱり不登校は問題行動なので未然防止ととられる可能性もある。この言葉は検討していただけたらと思う」
不登校の子どもを持つ保護者に取材すると、会議で話題になったように「現場の先生が、法律ができたことを知らない」「そのため、対応が学校ごとに異なったり、人によって違ったりということもある」という意見が複数聞かれた。
ある保護者は、「この4月に校長先生が替わったことで、これまでは学校に行かないことを受け入れてくれていたのに、やや難色を示されるようになった」と話す。
「先生にとっては、自分たちのやっていることを否定されたように思うのかもしれない。感情論だけではなく組織や仕組みとしての対応が必要ではないか」と打ち明ける。
また、会議ではフリースクールや、家庭で学習している子どもたちへの経済的支援を求める声もあった。
文科省の調査によれば、フリースクールの会費(授業料)は、平均して月3万3千円。自宅の近くにあることは少なく、交通費もかかるケースが多い。
また、家庭学習も、教材などを自分で購入している場合もある。
小中学校は義務教育なので、「不登校の子どもも教育無償化の対象に含めるべきではないか」という意見があるのだ。
教育機会確保法施行1年 不登校の現場どう変わったか
会議に出席する坪田課長
こういった現状について、文科省の坪田知広・児童生徒課長に話を聞いた。
Q法律が施行されて1年の受け止めは
現場にとっての不登校の捉え方にかなり変化が見られていると思う。
子どもに何か原因があるという考え方よりは、周囲の環境をどう調整していこうかということにシフトしつつある様子が見られる。
まだ十分ではない面もあるが、法律ができた意義、できたからこその対応というのが少しずつ出てきた1年だった。
学習指導要領には初めて配慮事項が入った。
先生は学習指導要領を読み込むので、間違いなく前進していると思う。
Q浸透していないという意見もある。例えば学校や先生ごとに対応が違うといったこともあるようだ
具体的な動きがみられるのはこの(平成)30年度からかもしれない。
不登校に限らず、いじめなども組織で対応することが必要だ。
校長、教委、教員、スクールカウンセラーなどがタッグを組んで、意識を統一して、対応のまちまちも起こらないようにしないといけない。
先生の経験だけではなく、組織で最善の対応をしていく。
不登校といっても要因は様々だ。
例えば、いじめや教員の指導などが原因の場合もあれば、集団での生活が苦手というケースもある。
これまではその見立てを、先生だけでやっていたが、スクールカウンセラーなどの専門職が入ったことにより、正確に見立てられるようになってきた。
今後は少なくとも、教育委員会が学校を束ねている県内、市内といった範囲では、学校・先生ごとに対応が違うという状況をなくしていかないといけない。
Q経済的な支援が必要だという声もある
今は、フリースクールへ通う交通費の一部と、課外実習費の一部などを支援しているが、年収制限があり、それほど活用されていない。
フリースクールや家庭での学習に経済的支援をすることは、限られた予算の中、公教育があるのにという形になる。
家の近くの学校に、生き生きと通えるのが本当は一番いい。
フリースクールは普通は家の近くにないので、通学にも時間がかかり、コストもかかる。
家の近くの学校が、行けるような形に変化していくことを応援するほうがよいのではないか。
例えば、一斉に教える授業から、個人のニーズに沿った教え方にというのも、学校がやろうと思えば可能。
今の学校をノーストレスで通いやすい形にしたいのは、保護者も私たちも同じだ。
最初から、学校はダメと決め付けるのではなく、どういう学校だったら行けるのか、学校と保護者がしっかり話し合って実現していくのが一番理想的だと思う。
行けないと思ったらまずは学校に相談してもらいたい。
〔2018年4/17(火) THE PAGE(取材・文/高山千香)〕
フリースクールと連携を 不登校児支援 文科省、学校に要請
文部科学省は、教育委員会や学校に、フリースクールなど民間教育施設に通う不登校児童生徒の状況を把握して施設の取り組みへの理解を深めるよう連携を求める基本指針を策定し、四日公表した。
昨年十二月に成立した教育機会確保法に基づくもので、不登校児童生徒の支援策を検討していた文科省有識者会議の最終報告の内容を盛り込んだ。
最終報告は、不登校には多様で複雑な要因があるとし、学校だけでなく民間教育施設での学習を支援し、児童生徒の自立を目指すべきだと指摘。
施設への社会の理解を促すため、学校以外で学習したり、一定期間ゆっくり休んだりすることが児童生徒の自立につながるという認識を浸透させることが必要だとした。
基本指針はこれを受け、休養の必要性を踏まえつつ、学校以外の教育活動の支援充実を求めた。
休養の必要な場合の例として、いじめに遭っている児童生徒を挙げ、「緊急避難としての欠席が弾力的に認められてよい」と明記した。
同時に学校を安心して通える場所にするため、いじめに毅然(きぜん)とした対応を取ることが大切だと強調。
教職員による体罰や暴言などが不登校の原因になっている場合は、懲戒処分を含めた対応が必要とした。
また夜間中学校の設置を促進し、外国人や不登校のまま卒業した人など、さまざまな生徒を受け入れるよう求めた。
〔◆平成29(2017)年4月4日 東京新聞 夕刊〕
【教育機会確保法】多様な学びへの一歩に
■社会の将来を担う子どもたちに適切な学びの機会を提供することは大人の責務だ
不登校の児童生徒への公的支援を明記した教育機会確保法が昨年末に議員立法で成立し、2月に施行される。
フリースクール(FS)など学校以外での多様な学びが認められ、不登校が差別されない社会への一歩として生かしたい。
文部科学省によると、学校を30日以上欠席した不登校の小中学生は、2015年度は12万6千人で、全体に占める割合は1・26%と過去最高だった。
FSなど民間受け入れ施設は全国に474カ所あり、4200人の小中学生が通う。
確保法の特徴は、国や自治体に不登校への支援を求める一方、学校復帰を必ずしも前提としない点だ。これは重要な方向転換だ。
従来、学校や児童相談所による不登校支援は、何とか学校に戻そうとする取り組みが中心だった。
それが適切な場合もあるが、一方で集団生活への心理的負担が大きい児童生徒をかえって追い詰め、苦しめる場合も少なくない。
学期初めの4月と9月に青少年の自殺が集中する事実がそれを物語る。
「学校を休んでもいい」「学校外でも育っていける」というメッセージの法律化は、不登校の児童生徒や保護者の安心感につながる。
教職員やスクールカウンセラーを再登校に向けた無理な指導から解放する効果もあろう。
………(2017年1月28日)
〔2017/01/28【京都新聞】社説〕
不登校児、学校外で支援 教育機会確保法が成立
不登校の子供の学校外での学びを支援することを明記した「教育機会確保法」が7日の参院本会議で可決、成立した。
フリースクールなど学校外で学ぶ場の重要性を指摘。
休養が必要であることを認めるとともに、子供の状況の継続的な把握や学校外施設などの情報提供を国や自治体に促した。
超党派の議員連盟は当初、同法で保護者が子供の「個別学習計画」を作り、自治体が認めればフリースクールなど学校外での学習を義務教育として認める制度を検討した。
ただ「学校教育の根本を揺るがす」「不登校を助長する」と反対が相次ぎ、内容を大幅に見直して法案を自民、民進、公明、おおさか維新が通常国会に共同提出していた。
同法は基本理念として、全ての子供が安心して教育を受けられる学校環境の確保や、不登校の子供の様々な学習の実情を踏まえた支援の必要性を明記。
国や自治体は特別な教育課程を持つ「不登校特例校」や、公立の「教育支援センター」の整備に向け必要な措置を講ずるよう努めるとした。
無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるため、「休養の必要性」を認めた。
状況を継続的に把握し、子供や保護者にはフリースクールなど民間施設の情報を提供するよう求めた。
戦後の混乱で義務教育を修了できなかった人などが通う夜間中学への就学機会の提供も盛り込まれた。
付則には「政府は速やかに経済的支援のあり方を検討し、措置を講ずる」と盛り込んだ。
文部科学省が今後具体策を検討するが、子供にきめ細かく対応するための教職員数の充実や、授業料が原則自己負担のフリースクールへの支援策などを実現できるかどうかが課題になる。
文科省によると、2015年度に「不登校」を理由に30日以上欠席した小中学生は約12万6千人。
児童・生徒全体に占める割合は約1.26%と過去最高となった。
全体の57.4%は年90日以上学校を欠席。
全く登校していない場合も含め、出席日数が年10日以下という児童・生徒も約1万3千人いた。
文科省調査でフリースクールは昨年3月時点で全国に474カ所あり、少なくとも約4200人の小中学生が通う。
〔◆平成28(2016)年12月7日 日本経済新聞 電子版〕
教育機会確保法案可決 不登校児童生徒、高止まり 家計圧迫、通えぬ子も
□フリースクール授業料月3万円
学校以外の場で学ぶ不登校児童生徒を支援する教育機会確保法案が18日、衆院文部科学委員会で可決された。
学校復帰に向けた学校環境の整備や経済的支援などが法制化される見通しになったが、
不登校児童生徒数は高止まり状態が続き、フリースクールの授業料も月平均3万円以上で家計に厳しい状況となっている。
◇
文部科学省が10月に発表した平成27年度の問題行動調査によると、小中学校で不登校(年間の欠席日数30日以上)の児童生徒は約12万6千人に上り、うち6割近くが90日以上の欠席だった。
不登校の小中学生の過半数が休日を除いた日数のほぼ半分を休んでおり、長期化している実態が明らかになった。
不登校の小中学生数はここ10年、12万人前後で推移している。
文科省が実態把握に向け初めて出席日数別に集計したところ、年間の出席日数ゼロの小中学生が4402人、1~10日が8862人と、深刻なケースが多いことも判明した。
学校側が挙げた不登校の要因で本人に関わるものは、不安傾向30・6%、無気力傾向30・2%で、この2つで約6割を占めた。
一方、文科省は不登校児童生徒の学校以外の場での学習活動についても調査を進めている。
同省が把握しているフリースクールは全国に474カ所あり、少なくとも4千人以上の小中学生が在籍。
フリースクールでの授業料(月額平均)は約3万3千円だが、負担が大きいため通うのをあきらめる子供もいるという。
〔◆平成28(2016)年11月19日 産経新聞 東京朝刊〕
不登校児童生徒の支援促進 教育機会確保法案 可決衆院委
フリースクールなど学校以外の場で学ぶ不登校児童生徒を支援する教育機会確保法案が18日、衆院文部科学委員会で自民、公明などの賛成多数で可決された。
今臨時国会で成立する公算が大きい。
義務教育段階の不登校児童生徒数は12万人前後で高止まり状態にある。
法案はこうした現状を踏まえ学校以外での学習活動の重要性を明記する一方、不登校児童生徒の学校復帰に向けた環境整備も前提としており成立後の運用の成否が注目される。
法案によると、国や自治体は不登校児童生徒に配慮した教育課程に基づく不登校特例校や学習活動を支援する教育支援センターを整備するほか、
相談体制を民間団体と連携して整えることなどを明記した。
夜間中学に通いたい人の就学機会の提供の推進も盛り込んだ。
付則では施行後、3年以内に見直しを含め必要な措置を講じるとした。
〔◆平成28(2016)年11月19日 産経新聞 東京朝刊〕
夜間中学④~教育機会確保法成立
この法律が成立した道のり・背景、法律の概要、今後の取組のポイントなどについて述べます。
■教育機会確保法成立までの長い道のり
1954年に開催された第1回全国夜間中学校研究会(当時は「協議会」)は、法制化を求める陳情書を採択しましたが、目的は達成されず、
むしろ国は「全国的な実態をはっきりとつかんだ上で、解消できるものかどうか検討。場合によっては制度上認めない」
(1963年5月荒木文部大臣・参議院文教委員会答弁)と述べました。
1966年には行政管理庁が「夜間中学早期廃止勧告」を出し、全国ではそれに反対して夜間中学増設運動や自主夜間中学の取組が広がり、
全国夜間中学校研究会は1976年より毎年「各都道府県に少なくとも1校以上の夜間中学校設置を制度化されたい」等の項目を含む要望書を国等に提出してきました。
さらに自主夜間中学や弁護士などの協力も得て、全国への夜間中学開設をめざし日本弁護士連合会に人権救済申立をおこない、
2006年8月に日本弁護士連合会より「学齢期に修学することのできなかった人々の教育を受ける権利の保障に関する意見書」が国に提出されました。
「義務教育は全ての人の固有の権利であり、学齢超過か否かに関わらず、義務教育未修了者は国に教育の場を要求する権利をもつ」
「国は全国的実態調査を速やかに行い、普通教育を受ける権利の実質保障のため、様々な手段を尽くすべきである」等素晴らしい内容が盛り込まれましたが、
全国での夜間中学増設にはつながらず、2009年大会で「議員立法による法的整備」の方針に転換しました。
あ
※日弁連意見書 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/060810.pdf
■議員立法成立の背景は?
全国夜間中学校研究会の働きかけの中、2012年より超党派の「国会院内集会4回」「公立夜間中学や自主夜間中学の視察3回」「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」結成(2014年4月)、
2015年から関係議員により議員立法に関する話し合いが行われてきました。
また国会での積極的な動きを受け、文部科学大臣は国会で度々「1県に少なくとも1校の夜間中学設置が必要」と答弁しました。
21世紀になり「人口減少社会への移行」「引きこもり100万人と言われる状況」「外国人人口の増加」という新しい社会状況が進んだこと
、超党派関係議員の努力、そして全国夜間中学校研究会や自主夜間中学等の長年のねばり取組があり、法律成立に至りました。
■「教育機会確保法」の内容は?
夜間中学に多少なりとも関わる条項の概要は、以下の通りです。
1条(総則):この法律は、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり施策を総合的に推進する。
3条(基本理念):夜間中学生等が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校の境確保が図るようにする。義務教育未修了者は年齢・国籍にかかわりなく教育機会が確保される。
4条・5条・6条:国・地方自治体は「総合的施策策定」「財政上の措置」を行う責務がある。
7条:文部科学大臣は、夜間中学を含めた基本指針の策定と、民間団体等の意見を反映させる義務がある。
14条:地方公共団体は義務教育未修了者に夜間中学等、就学の機会提供の義務がある。
15条及び付帯決議:14条のため都道府県と市町村は、「就学の機会の提供その他の必要な措置に係る事務についての当該都道府県及び当該市町村の役割分担に関する事項の協議並びに当該事務の実施に係る連絡調整を行うための協議会を組織する」義務がある。
協議会の構成者は、「県知事・県教育委員会」「市町村長・教育委員会」「義務教育未修了者の支援活動を行う民間団体その他県・市町村が必要と認める者」とする。協議会構成者は協議会での合意事項を尊重しなければならない。16条:国は義務教育未修了者等の実態把握、学習活動の支援方法に関する調査研究とそれに関する情報の収集・整理・分析・提供を行わなければならない。
17条:国・地方公共団体は、広報活動等を通じ教育機会確保等に関する国民理解を深めるよう必要な措置をとらなければならない。
18条:国・地方公共団体は、教育機会の確保等が専門的知識に基づき適切に行われるよう、学校の教職員等の養成・研修の充実を通じた資質向上、体制等充実のための学校の教職員配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する教育相談者の確保等を行わなければならない。
19条:国・地方公共団体は、義務教育未修了者等に対し、教材の提供(通 信方法含む)その他の措置を講じなければならない。
21条:国・地方公共団体は、義務教育未修了者等や家族からの教育・福 祉等各種相談に総合的に応ずることができるよう、関係省庁相互間その他関係機関、学校・民間団体の間の連携強化、必要な体制の整備に努めなければならない。
付則:夜間中学等に関する第四章の規定は、公布の日から施行する。※したがって
■公立夜間中学・自主夜間中学等関係者の当面の課題
①7条:文部科学大臣の基本方針策定に関連した民間団体からの意見聴取に際し全国夜間中学校研究会等が名乗りを上げること。
②15条:各都道府県及び市町村の「協議会」結成に際し、各地の公立夜間中学研究会や各都道府県の自主夜間中学・夜間中学をつくる会・その他の関係者が構成メンバーに入れるよう名乗りをあげること。
③17条:国・地方公共団体に対し具体的な「広報活動」の内容を提案をしていくこと。
④18条:国・地方公共団体に対し、「学校の教職員等の養成・研修」「体制等充実のための学校の教職員配置」「心理、福祉等に関する専門的知識を有する教育相談者の確保等」の具体的方策を提案をしていくこと。
★この法律の「夜間中学条項」に関しては12月又は1月の公布が想定されており、年度内の始動が重要だと思います。
「夜間中学新時代」にふさわしい積極的な取組、多様な関係団体・関係者との連携が必須になってくると思われます。
〔2016年12月13日貧困ネット関本保孝〕
経済的支援を求めるため第一歩として、この法律を推進
この法案の賛否については、超党派の議員連盟での検討がスタートする以前から、フリースクールや不登校の親の会で長い議論が交わされてまいりました。
そういった経緯もありますので、このメーリングリスト上で直接賛否を議論しても、決着のつかない議論となってしまう危険性が高いため、このメーリングリスト上で賛否の議論をする事は望みませんが、不登校をしている子どもやその保護者、関係者の中にもこの法案の成立を願い、待ち望んでいるものも多くいるという事を、皆様に知っていただきたいという趣旨での投稿です。
1.学校のあり方を改善し、誰もが安心して学べる学校をつくる。
2.不登校となった子どもが、学校外の場(フリースクール、教育支援センター 等)で学ぶことを支援する。
3.夜間中学校の設置促進や拡充による学び直しの機会の保障。
(夜間中学校について、長年取り組んできた皆様もいる中で、このような簡単な表現にとどめるご無礼、ご容赦ください)私たちフリースクール全国ネットワークでは、学校の状況の改善と同時に、今の一律の学校制度以外での学びも公的に認められる必要があると考え、活動を続け てまいりました。
学校が子どもにとって安心できる場になることはもちろん大切ですが、今現在も義務教育段階だけで12万人を超える不登校の子どもがおり、「学校は嫌でもフリースクールのような場で学びたい」という子も確実に存在します。
中には家庭の経済状況などが理由でフリースクールに通いたくてもそれをあきらめている人もいるでしょう。
そのような現実を見据えた時、現段階では経済支援の保障のない不充分な法律ながらも、経済的支援を含む実質の支援を求めるための第一歩として、この法律を推進していきたいと考えているのです。
(同時に、どんなに良い学校ができたとしても、少数でも「学校以外の場で学びたい」という人は存在し続けるでしょう。
そういった少数の人の声にも耳を傾 け、その望みにも応えていくことが多様性を認める社会のあり方だと考えています)また「人を分けることで差別が生まれるというのは、すでに歴史が証明してきた。」との呼び掛け文もあり、差別に反対をするのは私も同じ立場ですが。
今、学校に通っている子は公的な支援が受けられ、学校に通っていない子、学校以外の場で学び育っている子どもに対しては何の支援もないという状況こそが差別であると考え、学校以外の場で学び・育つ子どもへの支援を求めているのです。
平野さんの書かれた内容を否定するという意図ではありませんが、私たちの考え方もお示ししなければ、差別を助長するような法律づくりに賛同しているととられてしまうのは不本意ですので、この点だけは書かせていただきました。
〔2016年11月18日・貧困ネット・NPO法人フリースクール全国ネットワークの松島〕
教育機会法案に反対 不登校団体らが白紙撤回求める
不登校団体の代表らが集まった共同会見
不登校の子どもたちがフリースクールなど小・中学校以外の場で学べるよう支援する法案の提出を、超党派議連が目指している。
これについて、不登校問題を考える団体や有識者などが4月15日、法案に反対する共同記者会見を、衆議院第一議員会館で開いた。
参加者らは、多様な学びが保障されないなどと法案の白紙撤回を求めた。
法案名は「義務教育の段階における教育に相当する教育の機会確保等に関する法律案」。
全国に12万人いるといわれる不登校児童生徒の学習を支援するのが目的だ。
共同会見では、同法案に反対する団体の代表らが意見を表明した。
不登校ひきこもりを考える当事者と親のネットワークの下村小夜子代表は「法案には不登校を取り巻く社会的な要因が入ってない」と批判した。
さらに第13条にある休養の必要性では「学習させるという意味合いで休む権利でない」と話す。
不登校・ひきこもりについて当事者と語り合う、いけふくろうの会の伊藤書佳代表は、不登校を法律で定義すると「子どもたちを追い詰める」と強調。
不登校児童生徒のための教育課程や学校を整備するとの条文に対しては「学校に行けない子どもを排除する行為だ」と強い口調で語った。
このほか、弁護士や大学教授らも反対の声を上げた。
同法案は現在、各党手続きに入っており、自民党は了承。今後は民進、共産など各党の了解を待って今国会に提出したい考えだ。
〔教育新聞 2016年4月16日〕
フリースクールで論点整理 「迫力不足」との批判も
委員からさまざまな注文が相次いだフリースクール検討会議
文科省のフリースクール等に関する検討会が4月11日に開かれた。
不登校児童生徒を取り巻く現状や課題といった審議経過報告書のたたき台となる論点整理が示された。
委員からは「迫力不足だ」などとの意見が相次いだ。
論点整理では、不登校の子どもを取り巻く現状・課題について言及されており、発達障害の問題や貧困の課題など、不登校の状況は多様化・複雑化していると指摘。
さらに、不登校の子どもの居場所は重要だとしたほか、休養の必要性なども明記された。
支援の方向性では、教委と学校、フリースクールなどの民間団体と連携して支援をする必要あると強調した。
教育支援センターや民間団体とつながりにくい子どもがいるとして、訪問型のアプローチが重要だとされた。
このほか、民間団体の質を保証するために、団体同士が相互評価(ピア・レビュー)するような仕組みなどを打ち出した。
委員との自由討論では、論点整理について「経済的支援の言及がない。迫力不足だ。希望がもてる書きぶりにしてもらいたい」と注文が付けられた。
また「学校に居場所がない子どもは自己否定感が強い。それを防ぐような取り組みが必要だと思う」とした。
学校と教委の課題については「不登校の子どもを民間団体に丸投げしている事実がある。その現状を報告書に明記してほしい」と求めた。
超党派フリースクール議連が検討している「不登校児童生徒の教育機会を確保する法案」にも話しが及んだ。
「法案が検討されているなか、この検討会議では、学校以外の学習を認めると明記されているが、法案とどう関連するのか」との声があった。
これに対して文科省側は、法案は議員立法であるとして、今後の動きを見守っていくとの表現に留めた。
〔教育新聞 2016年4月11日〕
【中央官庁だより】 ◇不登校対策法案、再び暗礁に=文部科学省①
小中学生の不登校対策を議論する超党派の議員連盟が今国会への提出を目指す法案の協議が暗礁に乗り上げている。
3月中旬に開いた総会で示された条文案を基に、各党内で意見調整を行っているが、自民党や共産党で反対意見が続出。
取りまとめ役の民主党議員は「細かい部分で不満はあっても、今ある課題や問題点を少しでも改善するために一日でも早く成立させたい」と話すが、提出できるかどうか不透明な情勢だ。
議連が検討中の法案は、民間フリースクールなど多様な学習機会の重要性を認めた上で必要な支援を行う内容で、学習支援や学校復帰の後押しを行う「適応指導教室」の整備促進などを盛り込んでいる。
先週開かれた自民党の文部科学部会で議論したが、法案が規定する「児童・生徒の休養の必要性」の部分を複数の議員が問題視。
「学校に行かないことを是認しかねない。安易に休む結果になり、不登校を助長する」などと懸念を示した。
部会幹部も「この部分が残る限り厳しい」と話しており、原案のままでは難しいとの見解だ。
ある官房幹部は「(これまでに)フリースクールや家庭での学習を義務教育に位置付ける規定が慎重意見を踏まえて削除された段階で、法案の中身や理念は大きく変わっている。
休養の部分も削除するとなると、ますます中身がすかすかになる」と指摘。
「われわれが出した(新国立競技場などの)法案の実質的な審議は4月に入ってからで、成立は連休前ぐらい。
5月になれば参院はほとんど機能しなくなるし、日程からしても不登校法案の提出はかなり厳しいだろう」とみていた。)
〔◆平成28(2016)年3月22日 時事通信 官庁速報〕
フリースクール:容認断念 慎重論多く、義務教育化見送り 超党派議連
不登校の子どもや、夜間中学に通いたい人の就学機会を確保する法案の成立を目指す超党派の議員連盟は、不登校の子が通うフリースクールや家庭での学習を義務教育の一つの形態として位置付ける規定を見送る方針を決めた。
実現すれば義務教育の場を学校に限定していた戦後教育の大転換になると注目されたが、「不登校を助長することになる」などの慎重論が上回った。
議連が昨年の国会提出を目指した法案では、保護者がフリースクールや自宅での学習内容や方法を「個別学習計画」にまとめ、これが市町村教委に認定されれば、学校に通わなくても義務教育を修了したと認める条項を盛り込んでいた。
だが、「学校による子どもへの支援を充実させるべきだ」「時期尚早だ」などの反対意見が議連内で相次ぎ、合意に至らなかった。
一方で議連は、時には子どもが学校を休む必要があることを踏まえて、学校以外で学ぶ子の支援を規定する「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の実現を目指す。
11日の議連総会で各党の同意を得て今国会中の提出を目指す方針を確認した。
法案の試案は基本理念に、全ての子どもが安心して教育を受けられる学校での環境の確保▽不登校の子の個別の状況に応じた支援▽義務教育段階で普通教育を十分に受けられなかった人の教育を受ける機会の確保――を挙げている。
この理念を踏まえ、必要な財政措置をとることや、不登校の子の学習支援をする施設の整備などを国や自治体の努力義務に盛り込んでいる。
フリースクールなど学校以外の場での多様な学習活動の重要性や休養の必要性についても触れる。
議連事務局長の林久美子参院議員(民主)は「無理して学校に通って苦しんでいる子に『休んでもいい』というメッセージになる」と話す。
◇現状変える一歩に
フリースクールを義務教育の一つの形態と認める規定が見送られたことに、「フリースクール全国ネットワーク」の奥地圭子代表理事は「学校以外にフリースクールなどに通うことも選択肢にできる状況にならなかったのは残念だが、法案で学校以外にも学習の場があるとは認められた。理解が広まれば現状を変える一歩になりうる」と前向きに受け止める。
一方、「不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク」の下村小夜子共同代表は「学校に行けない子どもとその家族を今以上に追い込むことになる」と批判する。
〔◆平成28(2016)年3月15日 毎日新聞 中部朝刊〕
教育機会確保法案の座長試案
不登校対策に懸念続出
国会内でフリースクール等議員連盟・夜間中学義務教育拡充議員連盟の合同総会が4日開かれ、自民党の丹羽秀樹衆院議員・立法チーム座長による教育機会確保法案の座長試案が報告されました。
この間、超党派議連で不登校と夜間中学について検討が続いてきました。
今回の座長試案では、昨年の試案の中心だった「個別学習計画」が強い批判を受けて全文削除となった一方、法の目的に「不登校児童生徒に対する教育の機会の確保」が掲げられました。
不登校に関する部分には、当事者や関係者のあいだに懸念の声が広がっています。
「白紙撤回を切に願います」というのは、中村祐樹さん(30)=仮名=。小学校でいじめにあい、中学2年のとき、「エネルギーが切れるように」学校に行けなくなりました。
「この法案では、不登校になった子どもと保護者が、支援という大義名分で学校や教育関係者に情報を共有され、『指導』される。シェルターであってくれるはずの家庭に学校の目が追いかけてくる」。
不登校に追い込まれた子どもたちが心から安らいで休息できる場所を奪わないでほしいと願っています。
「不登校ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク」の下村小夜子代表は、「なぜ子どもが不登校になるのかが置き去りにされている」と拙速な立法化に憤ります。
下村さんは28年前、長男が小学校2年生で学校に行けなくなり、地元で親の会を立ち上げました。
30年近く、大勢の不登校の親子の相談を受けてきた経験から「不登校は子どもの問題ではなく、学校の問題」といいます。
いじめや管理教育、学力競争など本来の人間らしさから遠のいた今の学校に、「行かない」という形で自分を守っている子どもたち。
「不登校は学校のあり方そのものを社会に問いかけています。急いで不登校対策の法律をつくるよりも、学校のあり方について国民的な議論を重ねていくことが大事」と下村さんはいいます。
議連合同総会には日本共産党の畑野君枝衆院議員、田村智子参院議員が参加。
夜間中学部分をまず立法化し、不登校部分は当事者らの意見をしっかり聞いて拙速にすすめないよう求めました。
合同議連は8日に関係団体のヒアリングを行い、11日に総会を開きます。
居場所こそ必要 フリースクール「フォロ」事務局長 山下耕平さん
誰のため、何のための立法なのか。
「不登校はあってはならない」「学校を休んではいけない」という社会通念が、不登校の子どもだけでなくすべての子ども、学校、教師、親を縛りつけ、教育現場を息苦しくさせています。
子どもたちにとって一番必要なのは、教育機会の確保以前に、学校を休むこと、不登校が否定されずに認められることです。
フリースクールには教育機関としてより、子どもたちが孤立しないでいられる居場所としての役割が求められてきたと感じています。
不登校の子どものさまざまな支援は新しい立法がなくてもできるはずです。
教育行政や学校が不登校への否定的なまなざしを変えていけば、連携も進むと思います。
〔2016年3月6日、しんぶん赤旗〕