Center:143-生命現象の生物学と物理学をあわせた説明の試み
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2018年2月24日 (土) 20:32時点における版
生命現象の生物学と物理学をあわせた説明の試み
〔『生命の起源を探る』柳川弘志、岩波新書、1989年〕
〔⇒2011年10月27日記載〕
(1)「生命の特徴は個体保存と種族保存にむけて合目的的にできていることである。その合目的性は化学進化とそれに続く生物進化の過程で形成されたに違いない。その合目的性を物理化学的に分子機構として解明することが、今後の分子生物学に残された課題である」(ⅲページ)。
(2)生命の4つの特性
第1=入れ物を持っている。「ただ単に生体成分が水に溶けているだけでは生命とは呼ばない」。生命の最小単位は細胞である。(25ページ)。
第2=自己複製、自己増殖することが出来る。「古い細胞が死に、新しい細胞が生まれ、新陳代謝している。だから生命は自己増殖によっていつも一定の状態に保たれている。子の自己複製、自己増殖能はすべてDNA(デオキシリボ核酸)の配列に保存されている」(26ページ)。
第3=自己維持機能を持っている、いいかえれば代謝する。毎日、植物や水を摂取し空気を吸っている。
第4=進化する能力をもっている。
第2から第4の自己保存・種族維持・進化についての生物化学の詳しい説明が書かれている。今のところは関与することはないと思えるので省略。
*乳幼児期には自己維持機能がきわめて旺盛であり、成長とともに体力、知恵・知識、人間関係、精神力などで補充していきます。
ところが成長とともにこれらが補充されない場合には相対的に乳幼児期の自己維持機能が表面化しやすくなるのでしょう。
精神障害者にみられる幼児性とはこれに関係するのかもしれません。
(3)シュレーディンガー『生命とは何か』(岡小天、鎮目恭夫。岩波新書)について
1943年発表の論文。
「生物学と物理学の間で宙に迷っている基礎的な観念を物理学者と生物学者の双方に対して明らかにしようとした野心的な著作である。内容の大半は生命現象に秩序を与える鍵として遺伝の仕組みを物理学者の頭で整理し、紹介したものである。彼は生物体は絶えず周囲から「負のエントロピー」(秩序度)を吸収することによってその秩序ある構造を維持していると結論している」(116ページ)。
*「負のエントロピー」(秩序度)とは何か?