夫婦げんかが子どもに与える影響~伊根町教育支援委員会
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2018年2月23日 (金) 23:13時点における版
夫婦げんかが子どもに与える影響~伊根町教育支援委員会
スクールカウンセラー 服部恭子
臨床心理士になる前に、ある高校生が、「私が不登校になって、悪いことばかりではなかったんやで、それまでいつもけんかをしていた両親が私の事が心配になって、夫婦げんかがなくなり家族が一つになれたんやで」と、語ってくれたことがありました。
その言葉がずっと、忘れることができませんでした。
そのことを繋げるような、研究結果が明らかになったと、先日報道されていました。
「日常的に繰り返される夫婦げんかに接すると、子どもが実際被害にあっていなくても、子どもの脳の海馬や扁桃体に異常をきたし、怒りや不安を感じやすくなる。視覚野の一部も委縮し記憶力や学習能力が低下してしまう。」ということです。
夫婦げんかは、暴力や暴言、大声を上げるだけではなく、常に嫌みを言い合って、その末に、何日間も無視をし合う、などが含まれています。
暴力を見ていた子どもは大人の手が動くだけで、反射的に身をそらすこともあります。
暴言や怒声に接している子どもは、急な物音にも身震いし、不安になることがあります。
無視をし合う家庭内の状態で、子どもは父親と母親の会話を仲立ちするのが常で、子どもは必要以上に人の顔色をうかがうようになり、人づきあいが苦手になる子もいます。
このようにこころの傷が深く、トラウマとなり、子ども自身が生きづらさを抱えるようになっていきます。
子どもは両親の冷戦状態をみて「自分がどうにかしないと、この家族が壊れてしまうのではないか」、「自分が頑張らないから、お父さんとお母さんが仲良くならないのだ」という自責感や自己否定感が強くなったりします。
今回の研究結果は、日々臨床に携わっている私としても実感します。
子どもたちの抱える問題の根源が夫婦のあり方にたどり着くことがあります。
子どもの目の前で夫婦げんかをすることは、子どもの人格形成上にリスクがありうるということなのです。
〔広報伊根 2018年1月号(第558号)京都府伊根町 〕