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カーツワイルなどの人工知能の研究解説を読む

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==カーツワイルなどの人工知能の研究解説を読む==
 
==カーツワイルなどの人工知能の研究解説を読む==
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『AIの衝撃―人工知能は人類の敵か』(小林雅一、講談社現代新書、2015年)と
 
『AIの衝撃―人工知能は人類の敵か』(小林雅一、講談社現代新書、2015年)と
 
『2045年問題―コンピュータが人類を超える日』(松田卓也、廣済堂新書、2013年)
 
『2045年問題―コンピュータが人類を超える日』(松田卓也、廣済堂新書、2013年)
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2018年2月10日 (土) 15:49時点における版

カーツワイルなどの人工知能の研究解説を読む



『AIの衝撃―人工知能は人類の敵か』(小林雅一、講談社現代新書、2015年)と 『2045年問題―コンピュータが人類を超える日』(松田卓也、廣済堂新書、2013年) の2冊を読みました。
いずれもAI(人工知能)を扱ったものです。
AIは発展し、人間社会の広い分野で有益な役割をするでしょう。
それを展望して書いたものです。問題はその先です。
人類の敵になるか、AIが人間を使用する状態になるのか。これに関わる点を述べます。
この2冊には人類の将来を予見していますが、生物学的な視点に欠けていると思います。
AI研究の全体はわかりません。
この2冊で考えられるAIは、人間の知識や情報、それらの組み合わせの部分です。知識や知見をコンピュータで蓄積します。
技術の向上により(人間の持つ感覚器を超えた能力をつくり)多方面で新たな知識や情報を獲得します。
しかし、そうであっても感情面の獲得は壁があり、両書とも十分に説明しているとは思えません。
逆にここに人類がコンピュータに負けない(越えられない)部分がありそうだと思わせます。

私は、先日のラフスケッチで「発達障害」を考える視点としてこう書きました。
(1)感覚器官の変化に見ることができます。神経過敏とか感覚が鈍感といわれるものです。
(2)感覚の大きなブレは感情面・情動面の特異性として表われています。
(3)感覚と感情面・情動面の特異性が言動(認識面と行動面)の特異性に表われています。
これは発達障害だけではなく、人間全体に関係します。
生物学的な視点として、AIの将来を考えるとき、まずは感覚器の存在を考えなくてはなりません。
コンピュータでも、視覚(見ること)や聴覚(聞くこと)ができるように進むでしょう。
ロボットなぞは立ち歩きができるように平衡感覚も進むでしょう。
味覚(味わう)や嗅覚(臭いを嗅ぐ)や接触感覚(触る)も進むはずです。
これらの多くは生物学では特殊感覚といわれるものです。
感覚には別のものがあります。特殊感覚にたいして体性感覚といわれます。
体性感覚の中心は内臓感覚と皮膚感覚です。これは生物の発生に起源をもちます。
内臓感覚とは、生物が栄養補給する(食べる)ことに由来します。
内臓の発生は消化器系から始まり、特に腸の役割が注目されています。
なかなか奥の深い分野です。
皮膚感覚もまた生物の発生に起源をもち、生物がまとまった存在であるために生じた皮膚の役割です。
皮膚には免疫機能という役割と体の内外を区別する役割があります。
その皮膚の感覚は、圧迫感(接触感はその一部)、熱さ寒さ、痛い・かゆい・快い、など広範な役割です。
先の特殊感覚の多くは、生物がかなり高等化した状態における神経系(さらに脳神経系)の働きです。
AIで論じられる(または研究されている)範囲がこの体性感覚にまで及ばない限り、人間を超えるとかどうかは問題にならないでしょう。
2冊にはその片鱗はまだ見えません。
これらの感覚器が働いて人間の感情・情緒が生まれます。
知識や知見の方から感情・情緒を生み出すことができるのかは大いに疑問です。
もちろん人間(人類といった方がいいかもしれませんが)は、下等生物から発展の過程の多くで短縮・圧縮をしてきました。
内臓感覚と皮膚感覚においてそういう短縮・圧縮が起きるかもしれません。
それはわかりませんが、単純な消去は考えられません。
最先端のAI研究者・カーツワイルは、コンピュータが人間の100億倍賢くなるあたりを想定してこういいます。
「量的な進歩があるところまで到達すると、質的な飛躍が生じると確信しています。そのパラダイムの転換点が、コンピュータに意識が生まれる時だと見ているのです」
(『2045年問題』135ページ)。
私には感覚器のところから行くのが順番で、カーツワイルは見事な弁証法を示していますが、順番が逆ではないかと思います。

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