喫茶昭和じかん
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'''昭和喫茶、貧困に寄り添う 「保留ランチ」でお裾分け'''<br> | '''昭和喫茶、貧困に寄り添う 「保留ランチ」でお裾分け'''<br> | ||
月1回だけ開店する喫茶店が福岡市東区和白3丁目にある。その名も「喫茶昭和じかん」。<br> | 月1回だけ開店する喫茶店が福岡市東区和白3丁目にある。その名も「喫茶昭和じかん」。<br> | ||
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〔◆平成29(2017)年6月20日 朝日新聞 西部夕刊〕 <br> | 〔◆平成29(2017)年6月20日 朝日新聞 西部夕刊〕 <br> | ||
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2017年7月23日 (日) 21:53時点における版
喫茶昭和じかん
所在地 | 福岡県福岡市東区 |
---|---|
TEL | |
FAX |
昭和喫茶、貧困に寄り添う 「保留ランチ」でお裾分け
月1回だけ開店する喫茶店が福岡市東区和白3丁目にある。その名も「喫茶昭和じかん」。
生活困窮者支援のNPO法人福岡すまいの会が運営する。
メニュー表には「生活相談0円」、誰かのために食事を注文しておく「保留ランチ」の仕組みも。
昭和の雰囲気の中、悩みを抱えた人の支えになればと人々が集う。
JR香椎線の和白駅から徒歩約3分の住宅地。
昭和の歌謡曲が流れる8坪ほどの店内には3人がけのカウンター、小さな食卓3台に椅子7脚がある。
招き猫や木彫りの熊の置物などが並び、どこか懐かしさが漂う。開業は2015年9月。
生活困窮者らが暮らすNPOのサポートホームの一角を改装した。
メニューは「バナナミルク30円」「ホットケーキ100円」「スパゲティ250円」「煮物定食400円」と格安だ。
昼や夕方は元ホームレスの常連や安さにひかれた学生たちで満席になる。
NPO事務局職員で、店員の服部広隆さん(35)によると、NPOへ相談する人の多くが家賃滞納で部屋を出される寸前だったり、多額の借金を抱えていたり、事態が深刻になって初めて相談にやってくる。
「無料」「支援」という表現を恥ずかしがる人も少なくないという。
潜在的な困窮者に居場所を提供し、早めの相談を促すイベントとして喫茶店を考えた。
昭和にちなむ店名は、あの頃のおおらかな「寛容さ」、シンプルに考える「素朴さ」が生きやすさにつながると考えたから。
元ホームレスらの「無料ではなく、少しでも払いたい」との意見も入れ、価格を抑えた。
食材の多くはボランティアが持ち寄る。ただ安いだけではない。
もう一つの特徴が「保留ランチ」。
例えば、コーヒーを2杯注文して1杯は飲み、1杯は代金だけ払って「保留(suspended)」にする。
保留されたコーヒーは、生活困窮者やお金を払えない人に提供される。
イタリア・ナポリで始まったささやかな善意の取り組みが、世界各地に広がっているという。
この店で保留の代金がいかされるのは、店内に限らない。
ある時、定年間際の男性からNPOへ「死のうと思う」と連絡が入った。
老後に備えた投資に失敗して多額の借金を抱えた。
相談員が男性と会い、ファミリーレストランで食事をしながら話すと考えが変わったという。
食事代は保留ランチ代の一部を充てた。
「かつては地域コミュニティーで近所の悩みごともわかった。でも、人の出入りが多い都市では難しく、孤立が生じている」。
月1回だが、大切なことを思い出す時間と場所になればと服部さんたちは願う。
営業は毎月第1水曜日の午前11時~午後7時。次回は7月5日。
問い合わせは福岡すまいの会(092・292・6166)。
〔◆平成29(2017)年6月20日 朝日新聞 西部夕刊〕