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Center:1996年11月-言葉の集積から未来像が浮かぶ

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2017年7月17日 (月) 12:02時点における版

Center:1996年11月-言葉の集積から未来像が浮かぶ

『スクールガイド』1996年初版より
〔文書入力未完成の途中状態〕

学習塾、フリースクール、大検予備校、サポート校……わかったようでよくわからない世界だ。
オープンスクール、オルタナティブスクール、バイパススクール、無認可高校……となってくるとさらに言葉的な意味さえわからなくなる。
それらを実態面からいくらか知ってもらうのに役立つのが、今回の各スクールからの報告とメッセージ(第1章 MY SCHOOL GUIDE)だ。
もしあなたが、あなたの子どもさんが、あなたのクラスの生徒が、学校外の"フリースクール"のような「認可校と違うスクール」に行きたい、行かせたい、行っているようだ、となったときそこがどんなところなのか、ある程度の雰囲気をこの本でつかむことができる。
それらは一つひとつ違うから、しかも時間の経過によってさえ姿を変えるから、実像となるとそこに行ってみるしかつかめない。
学校が一つひとつ違うというのとははるかに大きな違いと思ったほうがよい。
いまこれらの「認可校と違うスクール」が、現実の学校に影響を与えはじめている。
百年をこえる歴史をたどった日本の学校制度は、これまでの比較的小さな変化の時代を終えて、劇的な変化の時代を迎えようとしている――私にはそう思える。
このような大きな変動の時代においては、すでにその将来の姿が、その社会のあちこちでいくつかの片鱗を示しているものだ。
実際、全国各地のいくつかの小学校、中学校、高校で、それらしきものを見ることができる。
だがもっと明確な姿を示しているのが、この「認可校と違うスクール」だ。
おそらくこのなかのいくつかは、後には公式の学校、すなわち認可校になっているに違いない。
いや認可という制度そのものも、現在とは同じではないかもしれない。
周辺から新たなものが生み出されるというのは、学校の場合にも当てはまる。
現在の学校制度は、国民の教育、とくに義務教育の実現に大きな力を発揮した。
高校もほぼ義務教育に近づいた。
だがその頂点に近い状態に達したとき、現行の学校制度は子どもによって拒否されている。
子どもの登校拒否とはそういう役割を果たしている。
もちろん、子どもはそんな背景を知らない。
しかし、たとえ精神的に子どもが混乱していても、その拒否の姿勢に疑問がつくわけではない。
体が拒否していること、この事実は重い。
意志以前の本能というか、生存にかかわる動物的本質において拒否しているのだ。
これは深刻で本物の学校拒否である。
高校中退も、実は同じことの延長にある。
行政的な分類では、それは生徒の進路変更とか、不本意入学とかに分類されるだろうが、そんなものは社会(大人)=行政側の勝手な仕分けにすぎない。
大部分の生徒にとっては、高校(卒業)はほとんど生存のための必要条件にまでなっている。
なのに、そこには、行くべき価値のない学校があるにすぎない。
これに対する自然発生的な異議申し立てが、高校中退であり、その本質は学校拒否である。
近い将来、学校はどのように変わるだろうか。
その将来像を「認可校と違うスクール」の現場で、情熱と生活をかけて築いている人たちのナマの言葉で表そうというのが、この章だ。
私はそれを、国民の教育を保障し、現在よりもいっそう充実させることのできる新しい学校群の創出になるものと予想している。
公教育の否定でなく、一層の前進である。
現状の推移に対する見方をあえて大胆に言おう。
大検予備校と通信制高校のサポート校が革命的な力になるだろう。
両者とも認可校ではないし、自ら高校になる以外に認可校になる道はない。
大検予備校は大検という国家資格のために、サポート校は通信制高校での高校卒業資格のために、実質的な教育活動を要請され、実践している。
高校卒業とその同等資格といういわば資格取得を目的とする学校の代行者である。
一方、両者とも学校教育法とそれに関係する諸条件が、学校ほどではない。
かなり自由にやれる。
生徒の実情からしてそれだけの屈伸性が要求され、それを受け入れるだけの対応力が実現できる。
要点は生徒個人中心の指導である。
外形は大検や通信制高校に与えながら、内実を自由につくっている。
いまの時代に、きわめて活発に発展しているのは、大検予備校とサポート校だ。
いずれ両者は“実権”を持つ。
特にサポート校はそうだ。
認可がどうこういう問題ではないかもしれない。
そこで蓄積された教育力・ノウハウは、日本の、特に後期中等教育に影響するだろう。
これはあまりにも一方的な見解になるだろうか?
なお付け加えておこう。
そのとき現行の学校もかなりの部分は残るだろう。
しかしこれまでは想像もつかなかった状態が、いわば公式の学校として承認される。
それは実は世界のほかのかなりの国ではすでにずっと昔からやられていることでもある。
日本でも伝統的で各地にあった生存のために必要な社会教育組織のある種の復活になるかもしれない。
各スクールからの発言は、スクールガイドを編集するために、不登校情報センターに「公表しないことを前提にして」寄せられた意見である。
従って、どのスクールの誰の発言かは明らかにできないし、していない。
これらの意見を、編集者がごくおおまかに構成したものだ。
そこには互いに相反する指向を表わすものもある。
十分に整合性が考えられていない論理展開もある。
しかしそれらの委細にかまわず、いわば細部にとらわれず、大筋の指向を読み取っていただきたい。
いずれも短いコメントであり、それだけに主張の力点は明確だ。
編集技術上のいくつかの点(用字の配慮、主語などの補足、文法上の修正、長文を短文に区切る、そして見出し付けなど)を除いて、加工はしていない。
文体もですます体、である体が混在している。
文章のリズムに影響するのであえて変えなかった。
これらの言葉は未来の日本の学校の姿を予測させる。
一見バラバラではあるが、実践的なコトバのパッチワーク的なハーモニーを示している。
(構成者・今形ダスタム)

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