欧米型の食事
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2017年6月29日 (木) 08:23時点における版
欧米型の食事
欧米型の食事って、本当に悪役?
健康的な食生活において、欧米型の食事は悪者扱いされることが多いが、そうとばかりは言えないようだ。
日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸を目的に、国立がん研究センターの研究グループが実施している「JPHC研究」から、このたび新しい結果が報告された。
食事のパターンと死亡リスクとの関連を調べたところ、これまでに報告されている野菜や果物、脂の多い魚といった「健康型」の食事パターンに加えて、肉類、パン、コーヒーなど「欧米型」の食事パターンでも、日本人において死亡リスクを低下させることが分かったという。
研究の詳細は、4月26日発行の科学誌「PLOS ONE」(2017;12:e0174848)に掲載されている。
約8万人を14.8年追跡
まず、研究グループは、食事調査票の結果から134項目の食品・飲料の摂取量により、
①野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などを食べる「健康型」、
②肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品などを食べる「欧米型」、
③ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などを食べる「伝統型」―の3つの食事パターンを抽出した。
食事調査票に回答した男女8万1,720人を対象に、3つの食事パターンについて点数化を行った。
そのスコアの高低により4つのグループに分類した。
そして、14.8年ほどの追跡期間中に発生した死亡との関連を調べた。
その結果、健康型食事パターンのスコアが最も高い群では、最も低い群に比べて、全死亡のリスクが18%、循環器疾患による死亡のリスクが28%低下していた。
欧米型食事パターンでは、スコアが高いと全死亡、がんによる死亡、循環器疾患による死亡のリスクがそれぞれ低下傾向を示した。
その一方で、伝統型食事パターンと死亡リスクとの間には、そうした関連は見られなかった。
今回の研究で、健康型食事パターンにより全死亡および循環器疾患による死亡のリスクが低下した理由について、研究グループは「健康型食事パターンのスコアが高い群では、多価不飽和脂肪酸、マグネシウムやカリウムなどのミネラルの摂取が多いためではないか」とした上で、「これらの栄養素は循環器疾患のリスクを低下させるという報告もある。
食事のパターンを総合的に見ると、これらの栄養素の相乗的な効果があるのかもしれない」と推察した。
また、全死亡および循環器疾患死亡のリスク低下と関連していた欧米型食事パターンについては、「肉類・加工肉は、全死亡のリスク上昇との関連が報告されているが、日本人は欧米人に比べて肉類の摂取量が少ないことや、欧米型食事パターンに関連した他の食品(コーヒーや牛乳・乳製品など)の好ましい効果が、死亡リスクの低下に関係したのではないか」と分析。
加えて、「この食事パターンのスコアが高い群では、塩分の摂取量が少ない。このことも、循環器疾患による死亡リスクが低下した理由の1つだろう」とコメントした。
さらに、欧米型食事パターンががんによる死亡のリスク低下と関連していた点について、「がんの部位によって関連する栄養・食事因子が異なるため、さらなる研究が必要だ」と今後の課題を示した。
〔あなたの健康百科編集部 2017年06月14日〕