板倉レディースクリニック
2017年3月10日 (金) 16:23時点における版
所在地 | 長野県長野市 |
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周辺ニュース
ページ名板倉レディースクリニック、長野県長野市、(子どもの貧困の周辺ニュース)
貧困の子ども孤立させぬ地域に 長野市更北で産婦人科医呼び掛け、関係者連携 食堂や学習支援へ
長野市稲里町の産婦人科医院「板倉レディースクリニック」副院長の渡辺貴之さん(38)が、地元更北地区の福祉・行政関係者らに呼び掛け、地域で子ども向けの食堂や無料学習支援の実施に向けて動きだした。
渡辺さんは、治療が手遅れとなった患者との出会いや子どもたちへのアンケートを通じ、取り組みの必要性を痛感。
貧困状態にある家庭の子どもを孤立させない地域づくりを目指している。
渡辺さんが呼び掛けを始めたのは、市内の総合病院に務めていた数年前、来院した30歳前後の女性患者との出会いがきっかけだった。
腹部が膨らみ、卵巣がんと判明。
腫瘍は大きく「早期に受診できなかったのか」と思った。
女性は生活保護を受給していた。
母親と暮らしているようだったが、定期健診などの健康管理への関心が低かった様子だった。
「貧困が健康に悪影響を及ぼしたのではないか」と感じた。
女性は転院先で手術を受けたが、がんは転移。緩和ケアを受けていた昨年1月、渡辺さんが見舞いに訪れて間もなく、女性は亡くなった。
医師として無力感を覚えていた時、日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあるとの報道に接した。
医療現場にとどまらない支援が必要な人がいるのではないか―。
そう考えて、社会福祉協議会などに協力を呼び掛けた。
昨年10月、診療所のスタッフと一緒に、地域の祭り会場で子ども約300人にアンケートを実施した。
「朝ご飯を食べていますか」「ご飯は家族と食べるか」「悩みごとを相談する相手はいるか」など5項目を質問。
3項目以上で「いいえ」と答えた子が1割近くいた。
栄養不足や孤立をうかがわせる子どもが身近にもいると実感した。
2年前から勤務する板倉レディースクリニックは、年間約600件の出産を扱う。
元気に送り出した子どもが健やかに育っていくことを願う渡辺さんは「地域みんなで子どもを見守り、支援する環境をつくりたい」。
早ければこの春からのこども食堂開催に向けて準備を進めている。
〔◆平成29(2017)年2月25日 信濃毎日新聞 朝刊〕