カテゴリ:児童相談所・熊本県
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+ | ◆'''子供の異変 相談120件超 熊本地震で県内児相=熊本''' | ||
+ | ◇'''家の夜 怖がり「眠れない'''」 | ||
+ | 最大震度7を2回観測した熊本地震で、子供の体調や言動に異変を感じた保護者から県内の児童相談所(児相)に、120件を超える相談が寄せられている。「一人でいるのを怖がる」「怖い夢を見て眠れなくなった」といった子供の変調を心配するケースが目立つという。 | ||
+ | 県中央児相(熊本市)には、22日までに47件が寄せられた。熊本市児相は68件、八代児相(八代市)は7件で、県内3か所の児相で計122件に上っている。 | ||
+ | 相談者の多くは、幼児や小学校低学年の子供を育てる母親。主な内容は「あまり話さなくなった」「夜泣きをするようになった」「一人で外出するのを怖がる」などだという。 | ||
+ | 県中央児相で相談に応じている臨床心理士の西田稔さん(42)は「親は子供に安心感を与えるように接することが大切」と指摘する。話をしっかり聞いて共感することや、スキンシップを増やすこと、食事を一緒に取ることなどが効果的だといい、「体や言動の変化は不安な気持ちの表れ。親は気負って特別なことをしようとせず、落ち着いて受け止めてほしい」と話す。 | ||
+ | ◇'''PTSDも懸念 心のケア必要''' | ||
+ | 自宅で熊本地震に遭遇し、恐怖やストレスから自宅に戻るのを嫌がるなど、言動に変調をきたした子供は少なくない。過去の震災では、しばらくして心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が出たケースもあり、中長期的な心のケアが必要だ。 | ||
+ | □'''車中泊せがむ''' | ||
+ | 「地震で家具が倒れたり、食器が落ちたりした。子供が家で寝たがらない」。熊本市内でも被害が大きかった同市東区にあり、震度7の揺れに2回襲われた益城町にも近い県中央児相に母親から、こんな相談が寄せられた。幸い自宅建物の損傷はほとんどなく住める状態だが、子供は「夜が怖い。車だったら眠れるから」とせがみ、この世帯は仕方なく車中泊を選んだという。 | ||
+ | 八代児相でも「自宅の天井がはがれ落ちた。子供が地震の音を怖がって家に入らない」との相談があった。 | ||
+ | □'''友達に意地悪''' | ||
+ | 「乱暴な言葉を使う」「友達やきょうだいに対して、意地悪をするようになった」など、行動が粗暴になったことを悩む親もいた。 | ||
+ | 相談は、地震から2週間が過ぎた4月下旬頃から増え始めたという。県中央児相は「地震発生直後は緊張感もあり、子供は我慢もしている。避難生活が長期化するに従い、異変が表に出始めたのでは」と推測する。 | ||
+ | 東日本大震災で被災した福島県でも、震災後に児相への相談は増えた。2011年度に寄せられた相談は約6000件で、10年度より約400件多かった。 | ||
+ | □'''保護者は相談を''' | ||
+ | 県内の3児相は、中長期的に、地震の恐怖やストレスから、子供にPTSDの症状が出たり、不登校や暴力行為などの問題行動が増加したりすることも懸念している。過去の震災では、親が子供を虐待してしまうケースもあったという。 | ||
+ | 3児相では、相談に訪れた保護者に「一人で抱え込まずに相談することが大切。家や学校で対応できない場合は、病院や福祉施設など関係機関を頼ってほしい」と助言。学校の教員らにも同様の呼びかけを行っている。 | ||
+ | 〔2016年6月1日・貧困ネット、平成28(2016)年5月25日 読売新聞 西部朝刊〕 <br> | ||
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2016年6月2日 (木) 08:33時点における版
児童相談所・熊本県
周辺ニュース
◆子供の異変 相談120件超 熊本地震で県内児相=熊本
◇家の夜 怖がり「眠れない」
最大震度7を2回観測した熊本地震で、子供の体調や言動に異変を感じた保護者から県内の児童相談所(児相)に、120件を超える相談が寄せられている。「一人でいるのを怖がる」「怖い夢を見て眠れなくなった」といった子供の変調を心配するケースが目立つという。
県中央児相(熊本市)には、22日までに47件が寄せられた。熊本市児相は68件、八代児相(八代市)は7件で、県内3か所の児相で計122件に上っている。
相談者の多くは、幼児や小学校低学年の子供を育てる母親。主な内容は「あまり話さなくなった」「夜泣きをするようになった」「一人で外出するのを怖がる」などだという。
県中央児相で相談に応じている臨床心理士の西田稔さん(42)は「親は子供に安心感を与えるように接することが大切」と指摘する。話をしっかり聞いて共感することや、スキンシップを増やすこと、食事を一緒に取ることなどが効果的だといい、「体や言動の変化は不安な気持ちの表れ。親は気負って特別なことをしようとせず、落ち着いて受け止めてほしい」と話す。
◇PTSDも懸念 心のケア必要
自宅で熊本地震に遭遇し、恐怖やストレスから自宅に戻るのを嫌がるなど、言動に変調をきたした子供は少なくない。過去の震災では、しばらくして心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が出たケースもあり、中長期的な心のケアが必要だ。
□車中泊せがむ
「地震で家具が倒れたり、食器が落ちたりした。子供が家で寝たがらない」。熊本市内でも被害が大きかった同市東区にあり、震度7の揺れに2回襲われた益城町にも近い県中央児相に母親から、こんな相談が寄せられた。幸い自宅建物の損傷はほとんどなく住める状態だが、子供は「夜が怖い。車だったら眠れるから」とせがみ、この世帯は仕方なく車中泊を選んだという。
八代児相でも「自宅の天井がはがれ落ちた。子供が地震の音を怖がって家に入らない」との相談があった。
□友達に意地悪
「乱暴な言葉を使う」「友達やきょうだいに対して、意地悪をするようになった」など、行動が粗暴になったことを悩む親もいた。
相談は、地震から2週間が過ぎた4月下旬頃から増え始めたという。県中央児相は「地震発生直後は緊張感もあり、子供は我慢もしている。避難生活が長期化するに従い、異変が表に出始めたのでは」と推測する。
東日本大震災で被災した福島県でも、震災後に児相への相談は増えた。2011年度に寄せられた相談は約6000件で、10年度より約400件多かった。
□保護者は相談を
県内の3児相は、中長期的に、地震の恐怖やストレスから、子供にPTSDの症状が出たり、不登校や暴力行為などの問題行動が増加したりすることも懸念している。過去の震災では、親が子供を虐待してしまうケースもあったという。
3児相では、相談に訪れた保護者に「一人で抱え込まずに相談することが大切。家や学校で対応できない場合は、病院や福祉施設など関係機関を頼ってほしい」と助言。学校の教員らにも同様の呼びかけを行っている。
〔2016年6月1日・貧困ネット、平成28(2016)年5月25日 読売新聞 西部朝刊〕
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