対応は先天的・後天的なことの複合した理由により異なる
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2017年7月8日 (土) 21:56時点における版
対応は先天的・後天的なことの複合した理由による異なる
〔回答その6〕
事態を先にすすめて答える前に、目の前の具体的な対応やその位置づけに答えるのがよさそうです。
たとえば不登校の子どもへの具体的な手助けはどうするのか、親子のあいだで会話がなくなっている状態にどこから手をつけるのか、
外出できないでいる十代の子どもをどう外出させるのか……このような具体的な質問はいくらでも考えることができます。
それは不登校の子どもの数以上になります。
なぜなら不登校の子どもの状態は置かれた環境との関係なくしては考えられないので事例は多くなるし、しかも多くのばあい理由が複合しているためです。
それらを大きくみると、先天的な要素に関係することと、後天的(生育環境)に関係することの2つに分けられます。
ごく概略を説明するしかありません。
先天的なこととは性格特性や気質にあらわれます。
不登校や引きこもりになる子どもの多数は、繊細な感性の持ち主です。
周囲の状況を敏感に受けとめます。
その先天的な状態を変えることはできません。
ただ成長して処理能力を身につければこれに対応できます。
しかし、より重要なことはその先天的な力を肯定的に生かせるようにすることです。
弱点を直すことに向いてばかりでは、良い点も一緒に壊してしまいます。
後天的なことも多くの要素から成り立ちます。
家族・親子関係、友達・人間関係、学校と教師との関係、社会関係を主なものとします。
これらが一人ひとりのところで少しずつ色合いを違えて現われます。
それぞれに即して当面の対応策を考えます。
重要なことを一つ解決すれば全体がよくなるものばかりではありません(中心点を明確にすることは大事です)。
また、本人の力で解決するものばかりではありません。
たとえば親子関係をみます。
よい学校に進学しなくては社会人としては認められないと考える家庭で育っている不登校の子どもに、勉学よりも絵を描くのが上手いと子どものいい点を伸ばそう話して子どもが納得したとしても、事態はすすみません。
親がその意識を変えることは子ども以上に至難の技です。
周囲の環境(もっといえば社会)が変わらなければ、その改善は難しいのです。
ここで大事なのは親を攻めないことです。
1960年代に不登校生が増えた時期の教育相談ではこのような親の育て方を批判する不登校対応から始まり、大きな挫折と反省を経験しています。
親も相談員も教師も同じ社会の一員としてともに問題を見つめ解決する方向に変わったのはこの経験があるためです。
このようなことは親子関係だけでなく、子どもの育つあらゆる周囲の環境についても言えます。
子どもを中心に、親も相談員も教師も、さらにその周りの人たちの理解と協力を得る取り組みになります。
それが部分的に改善されるだけで子どもは成長を示すことがあります。
ただ子どもが学校へ行くことが改善なのではありません。
この点はのちの触れることにします。
(その1)支援方法を接触できる引きこもり経験者から学ぶ
(その2)不登校情報センターが支援団体になった経過
(その3)引きこもりの家族へのサポートの概略
(その4)親の会の始まりと役割
(その5)当事者にとっての居場所の意味と役割
(その6)対応は先天的・後天的なことの複合した理由により異なる
(その7)自活型の社会参加をめざす引きこもり支援策
*(その7)関係資料
(その8)引きこもり経験者が自活型の社会参加できる支援体制を考える
(その9)引きこもり経験者の興味・関心と気質的・文化的な背景
(その10)不登校・引きこもりの解決とは社会にある問題全体の解決に重なる